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咳をする金魚(シロクマ文芸部)


咳をしても金魚というお話を知ってるかな?

ある日、ケン君の家に新顔の金魚が一匹やってきて、さっそく水槽に入れられた。水槽の金魚たちは新しい仲間に興味津々。

「ねえ、君。君は本当に金魚なの?体が青い金魚、初めて見たよ」
『金魚売り場から来たんだから間違いなく金魚なんだろ。なんだか突然変異みたいだけど。コホッ』

「確かに珍しいけど、なんで青?」
『そんな事知らないさ。コホッ』

「色なんて気にしなくていいよ。たとえ君が金魚でなくても君を歓迎するよ。でもその人間みたいな咳、気になるな。金魚の咳って初めて聞いたよ。もしかして君、やはり金魚じゃないのかも」
『金魚売り場に居た僕を、ここのケン君が買って連れてきてくれたんだよ。コホッ』

そこにケン君のママがやって来て、水槽を見ると驚いたようでバタバタと二階のケン君を呼んだ。
ケン君は小さくなって現れた。
ケン君はママにこっひどく叱られた。
ケン君は今日買った金魚の全身に青色を塗ったんだって。マジックインキでね。

金魚売り場にママは電話をした。
すると、お店の人は段々色は抜けてくるって言ったらしい。

「君の突然変異はこの家に来て起こったんだね」
金魚たちも納得したようです。

そうそう、青いインクを塗られた金魚は、色が抜けるにつれて咳も出なくなったんだよね。金魚にもアレルギーはあるらしいよ。


咳をする金魚の話は、これで終わりです。みんなも、金魚にこんないたずらしてはだめですよ。気をつけてお帰りなさい。また明日ね。

おしまい




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