フォローしませんか?
シェア
私がこの世の者でなくなり、どのくらいの年月が流れたのか。私の体は無色透明だったはずだが、少しずつそうではなくなってきた。 街を歩いていても、私にギョッとした視線を向ける者、振り返る者が少しではあるが出てきた。 私はなぜ、未だに人間界を彷徨うのか。あの世を楽しめば良いと思うのだが、いつのまにか人間界を目的も無く彷徨っている。 ある日、私は出会った。 二歳くらいの男の子と母親に。 二人は浴衣を着て、男の子は手に虫カゴを抱え、母親はウチワで蚊を追っている。 この風景、どこかで