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ショートストーリー

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2022年5月の記事一覧

君に贈るランキング|毎週ショートショートnote

ハルト君は、宿題と格闘中。今、掛け算と割り算の問題が視界に広がっている。ハルト君はなんとか九九を覚えたばかり。 「面倒臭いなあ」思わず声が出た。 その言葉に反応してプリントの中から➗と✖️の記号が現れた。 前にも似たような事があったような…   『ハルト君…』 ✖️が話し終わらないうちにハルト君が口を開いた。 「わかってるよ、ちゃんと宿題やってるよ、でも算数は好きになれないんだ」 そう話したハルト君に✖️と➗は一枚の紙を渡した。 それには見た事もない算数の問題らしい

飛行機雲

私は今、占い師の前に座っている。 ここへ来るのは初めて。占い師と言う人の元を訪れるのも初めてだ。 薄暗い所を想像していたが、気持ちの良い風と明るさが占いを受けるらしく無かった。 ここの占い師を紹介してくれたのは妹。彼女はこの占い師を信頼しているようだが、まだ私にはなんの評価もできない。 占い師は、その職業に見合わない化粧っ気の無い女性だった。 占い師という人たちは神秘的に見えるような独特な化粧をしていると思っていた。 裏切られたような気がしたが、それは私の勝手な先入観に

黒と白のアレ

何がキライかって、ヘビとゴキに決まってるだろ。男だって、イヤさ、怖いさ。 君も、そう思うだろ? ヘビが怖いのはまだ分かる。 だけど、ただの昆虫にすぎないゴキがなぜ怖いのだろう。 君んちにはいないの?僕んちは古いアパートだからな、いくらでもいるさ。 夜、電気を点けると、一目散に驚く程の数のゴキが散っていくよ。一瞬でね。 しかも彼らは飛ぶだろ。飛距離は長くは無いけど、ぼくらの顔をめがけて飛び掛かって来るのは…、あーもうイヤだ! だからさ、食糧の置き場所には本当に困ってい