見出し画像

climbgrow LOVE CROWN TOUR静岡

この日のことを書かないときっと一生後悔する気がして、今急いで書いている。そのくらい、この瞬間を切り取りたいと思ってしまった。

初めてclimbgrow を聞いたのは、ApplemusicのSIX LOUNGEから、似ているアーティストだかなんだか、そんな感じから聞いたのか、友達が貸してくれたたくさんアーティストが入ったアルバムの曲の中の一つの「THIS IS 」だったか、YouTubeの「極彩色の夜へ」だったか、実はいまいち覚えていない。最初は、「いいな」くらいで、特に特別よく感じたわけでもなく、そのまま見たいと思っても見る機会がなかったりで見れず仕舞いだった。

SIX LOUNGE のツアー松本にて、対バンアーティストとしてclimbgrow がきた時は、素直に嬉しかった。ムロフェス2023では暑さにやられてclimbgrow を見れなかったから、やっと見れるチャンスだと思った。そこから新譜を聴き始めて、「やばい」と思ってからどんどんclimbgrow を聴いていった。松本で見た日、Boom Boomに合わせて出てきた四人を見て、なんだか凄く緊張した。山の中で、熊にあったような。逃げれない、ここから逃げたいと思ってもなぜか逃げれない。「食われる」と反応が感じていた。気づいたら涙が出ていて、わたしは多分、この日を忘れないと思う。

そんな日から一ヶ月以上空き、自分の地元にclimbgrow がツアーで来ることを知り、チケットを取っていた。7月17日。松本の日から、climbgrow しか聞けず、インタビューを読み漁ったり、谷川将太朗くんと杉野泰誠くんのMANGKINGradioも最新回まで聴き尽くしてしまった。知れば知るほど、杉野泰誠くんはとくに自分が思っている以上にチバユウスケへのリスペクトが強く、優しく、それでいて音楽を愛してる人間なんだな、と思った。

climbgrow の番になって、リハーサルとして四人が音を鳴らしていて、なんだか緩くて、climbgrow も人なんだな、と思った。Boom Boomがなって、また緊張して、四人が出てくる。歓声の渦中、自分はボーッと杉野泰誠しか見れなかった。「あ、食われる」とまた思った。もうその瞬間から、心がグッと掴まれてしまう感覚。やばいという3文字しか動かない口、周りが普通に動く中、自分はスローモーションになったような、そんな感覚。

「瘋癲世界ノ少年少女」
本当に本当に、ギターがいいなぁ、と思う。少しダークな歌詞、世界観なんだけど、カズシくんのギターのフレーズで、少し明るくなっていて、耳馴染みのいい曲になっているなぁ、と思う。力強い歌声もやっぱりいい。ここは致死量のロックンロールを浴びて、眩暈がして来そうなほどクラクラしていた記憶しかない。

「BANG BANG BANG」
金星とか彗星とか月とかの「宇宙」空間を彷彿させるイメージの歌詞から、「BANG」で、自分の脳みそ撃ち放って意識をそこまで飛ばしてほしい、という意味なのかな?と冷静になるとわかる。特にサビのメロディのリズムが良くて、小躍りしたくなるような、それでも少し奥の方にダークな、ブラックユーモアというか、そういう感じがたまらない。

「THIS IS 」
Welcome to LOVE CROWN TOUR!静岡UMBER!ぶち込みに来ましたー!から始まるこの曲。一回生で聞いているはずなのに、鳥肌が脳みそまで一気に立つような、待ってた待ってた待ってた!となるような、そんな曲。特に杉野泰誠のカリスマが溢れ出る曲というか、とにかく彼しか見れない。歌う仕草、声、全部が全部あの人を彷彿とさせるのに、でも本髄はずっと彼自身で。この前までは彼にずっとあの人を投影していたけど、彼は彼で、今生きて自分に対峙してると思うとそれだけで涙が出てきた。

「LILY」
LILY (リリィ)というタイトルの曲はとにかく名盤が多くて、これもそのうちの一つに入ると思う。「どこかで聞いたカナリアのイカれた声に似た」のフレーズだったり、ライブバージョンにアレンジされたら杉野泰誠の「Oh,Yeah」の吐息混じりの声が、この曲の雰囲気にあっている。 この曲の間か忘れたが、ギターの近藤和嗣くんの誕生日を祝うように彼のギターリフでファンが一致団結して拍手してたのはかなりおもしろかった。

「MARMALADE 」
MVの明るい感じ、イントロのギターリフの中毒性、それでいて曲の短さが何度も何度もこの曲を聞こうとさせてくる。SIX LOUNGE と対バンの松本の時は、この曲から始まりこの曲で終わった。そんなこの曲の印象はとても強くて、脳みそから幸せドーパミンが今溢れているな、と思うような刺激。近藤和嗣の実家で書いたこの曲は、日常の一節のような、それでいて「賽は振られた」「ツモるは二盃口」「最大級の目」は賭け事を表していて、それがバンドとかけていて、きっとこのclimbgrow と言うバンドに彼ら四人がかけていて、「頸動脈で踊るメロディ」というのは、climbgrow の音楽を表す言葉で最高級だと思う。そして、後半の追い上げで杉野泰誠くんが歌詞を飛ばしてしまったのも、彼が完璧すぎる人間ではないことを表してくれて、逆に嬉しかった。

「沈まぬ太陽」
ホーンとギター、不気味なイントロから始まる沈まぬ太陽。子供の時に、TKOのネタを見た時のような、胸がザワザワする感じ。なんだか嫌な予感がするというか、とにかく落ち着かない感じが気持ち悪い。ただそれがこの曲の良さを出している。

「罪ト罰」
ここの繋ぎは本当に気持ち悪いほど気持ちいいなと思う。落ち着いた歌声から、どんどんヒートアップしていく、そんな感じがたまらない。この曲のMVが出て、YouTubeのおすすめに出てきた時に見た時には、新しいアルバムが出ることも、それがこんなにいいアルバになることも知らなかった。罪ト罰は、LOVE CROWNの中でもかなり暗めの曲だけど、それでこそこの胸がなんだかざわざわする不気味さが演出されてていいと思う。

「未来は俺らの手の中」
バンドにも人にも、他人に勝手に期待して、絶望して、そういうのが最近は多かった。解散したり、脱退したり、死んだり。そんな時代に、「光れ俺らの時代だ」なんて歌われて、泣かないわけがない。何度も何度も好きな音楽に救われたのに、好きな音楽に傷つけられる。それでも、またclimbgrow に出会って、自分は音楽に救われた。あーもう会えないんだな、とか、もう聞けないんだな、とかそういうのを吹き飛ばして、会いに来てくれたような、そんな気がした。そして彼らの真っ直ぐな気持ちが、私には届いた。

「ラスガノ」
これも本当にずるいな、と思う。終わったのは始まったから、という言葉をずっと好きでいたけど、だったら出会わなければよかった、と思うことが最近は増えた。こんなに好きなのに、もう見れないから、こんなに好きなのに、別れなければいけないなら、とかだったら出会わなければよかったなぁと。「未来を変えるのはお前自身だろ」あー本当にそうだな、と思った。クヨクヨしててもしょうがなくて、まあ立ち止まってもまた歩き出せばいいし、きっと多分上手くいくってそう思えばそうなる気がする。此処からが勝負だ。

「ROCK’N ROLL DRUNKER」
涙を吹き飛ばす最高の曲!明るめで、特に谷川将太朗のベースソロがたまらん!
「俺らが日本のロックンロールバンドじゃ」の言葉が今は本当に嬉しい。
「ありがとうね」
そう言ってはけるclimbgrow 。

アンコールの声が鳴って出てきた。
やった曲は
「Poodle」
climbgrow が出るのを待ってる時、GT400が流れていて、あー粋なことするなとか思っていた。(ただ多分好みで流してるだけだろうが)さっきまでの明るい仲のいいくだりから、急に
「自分の親友が死んでしまって、もう会えないんですけど、、」とプー太郎の話をし出した。
「俺は音楽を、弟のために、家族のために、そして天国の親友のために、歌い続けるし、多分今後も生き続けてロックンロールやり続けます」
彼が歌い続ける理由は、誰かを救いたいとか、きっと多分それもあるだろうけどそこじゃなくて、自分のために、自分の弱さを肯定して前を向くために歌を歌ってるんだな、と思う。きっと自分が誰よりも弱いことを知っているから、ロックンロールに助けられて、誰かをロックンロールで救いたいと思ったんだろうな、と思う。
「今年も来年も、次の年も、夏だけはお前に会えたらいいな」
そうこぼした杉野泰誠の声が、なんだか少し寂しげで、良かった。

climbgrow が音楽を今もなおずっと続けてくれることも嬉しいし、生きて生きて生きてずっと音楽を曲げずに続けてほしいとも思う。彼らの歌が好きだ、、、。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?