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Movie is music

幼い頃に祖母が口ずさんでいた歌、クラスメイトが好きだった歌、誰の心にも忘れられない音楽があります!

私のオススメの3曲はどれも映画の中で流れたもの、どれが一番かなんてとても順位は付けられません!それは、ある時は優しく包み込むように、時には背中を押して私の心をずっと支えてくれているかけがえの無い歌達だから・・・

1曲目は「君に想いを・・It Might Be You」歌手はスティーヴン・ビショップ(Stephen Bishop)、ダスティン・ホフマン主演のコメディー映画「#トッツィー: Tootsie」のテーマソングです。
私にとっては人生のDIVISIONポイント(分岐点)になった映画でもあります。今思えばこれを観た時に私の人生は自ら呼吸を始めたのかも?そんな気がします。
ラストシーンでマイケルとジュリーは会話を始めます、ずっと女性と欺かれて傷ついたジュリーの氷の心をマイケルの真摯な眼差しと愛情が溶かして行く・・時間が止まり私もその場にいるような錯覚と感動、後ろ姿の2人を優しい風が包み込みメインテーマが流れた瞬間、私の心はサラリーマンを辞めて演劇の道へ進むことを既に決めていたのかも知れません・・・
何がそんなに良いのか?それはとても文章化出来ませんので一度映画をご覧ください!と言っても人それぞれ感じ方やその時代その時だけの何か?例えば"空気感-atmosphere-“も異なるのでとても難しいのですが・・そうそうもう一場面、ドロシー(実はマイケル)がジュリーの実家で赤ちゃんを抱くシーンでもこの曲が流れます、女装した男性なのに女性にしか見えないその佇まいは優しい歌声と美しいメロディの魔法ではないかと思わされます。この曲を始めサウンドトラックを作ったデイヴ・グルーシンに心からスタンディングオべーションを贈りたいと思います。

2曲目は「The five pennies-五つの銅貨-」歌手はダニーケイ(Danny Kaye)、クレイジーキャッツの谷啓さんがリスペクトして芸名にした話は有名ですね。1920年代に実在したコルネット奏者レッド・ニコルズの半生を描いた映画ですがその中で娘のドロシーへのおやすみSONGがこの歌、ダニー・ケイの優しいコットンのような歌声が幸せの島へ向かう小舟に乗せてくれます。
自分の所為で娘を小児マヒにさせた罪悪感はGゲートブリッジからコルネットを捨てさせ、残りの人生全てを娘の治療に捧げることを決心します。自分ならこんなこと出来るかな?一瞬考えさせられます。
ラストは色々な苦難を越えての再起のステージなのにガランとした客席はかつての名声とは裏腹、落ち込むレッドの前にルイ・アームストロングが仲間を連れて入って来てセッションが始まり、クライマックスのプレゼントはドロシーが歩けるようになるなんて!その場面を想像するだけで胸が加熱して涙が落下しそうになります。
リパブリック賛歌、ラグタイムの子守唄や聖者の行進と素敵な曲が流れますが"The five pennies"を選んだ理由は主人公レッド・ニコルズの娘への愛であると同時に自分自身へ向けた応援歌なんだと感じたからです。

「This little penny is to wish on And make your wishes come true -この小さなコインには願いを叶える力があるんだよ、そして君の願いも叶えてくれるよ!」

コインは彼のコルネットを指しているのではないでしょうか?そしてラストには"娘の歩行"と"復帰"2つの願いが叶う!まさにこの五つの銅貨という映画の主題に相応しく、優しくて暖かい声がシンプルなメロディと溶け合って62年経った今もその輝きは衰えることなく、例えば燻し銀のアートのようにその存在感を深めながらも心を癒やしてくれる。時々、そしてずっと聴きたい私の宝歌です。

3曲目は「A step you can't take back」パイレーツオブカリビアンで有名なキーラナイトレイ主演映画「はじまりの歌-Begin again-」の挿入歌です。パートナーに裏切られたSinger song writerのグレタと落ちぶれた音楽プロデューサーのダン「失くして、落胆する」という共通の心情が2人を引き寄せた小さなライブ居酒屋から物語は動き出します、この映画のタイトル「はじまりの歌」のように・・・

♪地下鉄にいて気付けばひとりぼっち♪とはじまる歌詞は聴いて行くうちに絶望モードに入って行きサビでも♪この一歩を踏み出せば、もう後戻りは出来ない♪と究極の選択を迫りますが映画を観終わってみるとこんなメッセージがフワッと浮かびました「本心で向き合えばどちらを選べば良いのかが見えてくる、そして全てに対して良い結果が得られると確信したら迷わず決断するべきだ!」そういうことか?と久々の音楽映画に元気をもらい、私もまた暫く置き去りにしていたことをはじめる機会を得ることができた歌です。

-まとめ-
私自身が音楽好きだからかも知れませんがどの曲も映画のストーリー(シナリオ)があって歌ができるのではなく、歌ありきで映画が作られたと思えるほどの完熟度、それを敢えて言うなら"Image seed"映像の種子、そのシードの中に映画の全てが封じ込まれていて曲が流れた時、ランプからアラジンが出てくるみたいに視覚化される!そう想像させるほど私のスキな3曲、どれもパワーと安らぎを与えてくれる素敵な歌達に一言「今迄ありがとう、そしてこれからも・・・」

P.S. Tootsieを観て演劇の道に進んだ私はバイト先で天使と恋に落ち、今でも2人で一緒に映画を観ながら音楽を聴きながら暮らしています。

by れしふぁ

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