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MD04 ガジェの最適枚数は?

■初めに

 デッキ考察の第1弾をなぜ人気のカオスではなくガジェにしたか。その理由から説明しようと思う。
 04環境における主要デッキは大別して3種。
・カオス(戦士、RRC、変異など)
・ガジェ
・バーン

 ほとんどのカードゲームで共通することだが、デッキ構築を行う際に防御札の割合を決めるのはアグロデッキの速度である。そのため環境の中で特に速度が速いガジェットは、どんなデッキを使う場合も必ず意識する必要がある。(現代遊戯王はカードゲームとは認めない)

■ガジェットのコンセプト

①ミッドレンジ型
 1:1交換を繰り返し、相手の息切れを狙う
②アグロ型
 豊富な除去で場を開けて、6-7回殴ってライフを削りきる

 一概にガジェデッキといっても目指す勝ち方は2種類ある。どちらも採用カードは類似しているがプレイングが多少異なり、対戦中にスイッチすることもある。いずれにせよ2つの勝ち筋を意識したプレイングが求められる。

①ミッドレンジ型

9ガジェの初手率(遊戯王カードwiki「確率」より引用)

 中長期戦を想定しているため9ガジェが基本。当時と異なりハンデスも未実装であり、2枚目のガジェは無価値のためデッキ枚数は上記表を参照に要検討。当時は42~46枚が主流だった記憶があるが、初手2枚以上の確率はなんと1/3以上!もはやこれは事故と呼べる確率ではなく、その後のドローも考慮すると被るのは必然である。そのため、9ガジェを使っておいて2-3枚の重なりでキレるようでは構築への理解が浅いと言わざるを得ない。さすがに50枚越えのデッキは質が低くサイチェンを生かせないので、被りを許容してライボルやサンブレ採用が丸いか。(1103環境ではエクシーズやマシンナーズもありガジェ本体の対応力が上がっているが、04環境では束になってもモリンフェンすら倒せない。ガジェを重ね引くくらいなら、サブアタッカーで戦うほうがまし。)
 必然的にメタビート寄りのデッキとなるため、採用魔法罠の選択が非常に重要だが、モンスターを主体とするカオス(特にRRC)と戦闘を否定するバーンが環境に両立しているため、主人公並みのご都合ドローがない限り両方に有利を取ることは不可能である。バーンがいない環境であればありだが、高度な環境読みが求められるデッキである。

②アグロ型

40枚デッキでの初手率(遊戯王wiki「確率」より)

 こちらは短期決戦を想定しているため、防御よりも攻めを意識した構築となる。壺や嵐、強奪、破壊輪などのパワカを引き込むためにデッキ枚数は40枚にすべきであり、6ガジェが基本。ガジェを消費した後のデッキの質は非常に高いため、もし手札が0枚になってもあきらめず戦おう。
 6ガジェは長期戦になると9ガジェに物理的な量で負けるため、質を活かして短期決戦を狙う意識が大切。ミラーを意識しすぎるあまり他デッキへの勝率を下げた構築にはあまり賛成できないが、ミラーが多い環境なら7ガジェを考慮。ミラーでは初動の色が強いほうがテンポを取れるため、グリーンを追加した7ガジェであればコンセプトをそれほど崩さずに、十分戦えると考える。(ただしその場合は上記の表のとおり、ガジェ1枚率はむしろ下がるため事故ハンドが増えていることは意識すべきである。)

■リーサル

 仮にガジェットの直接攻撃だけでライフを削りきる場合、
 緑3+赤2+黄1=8000
 これは後攻緑startで攻撃を全て通した時の3ターン目に該当する。しかしこれは上振れであり、赤・黄スタートでは残り300となる。実際はモンスター同士の戦闘により計算通りにはいかないが、100点の重みが大きいことは理解いただけたと思う。そのため裏守備を攻撃するときの選択を雑に行ってはならない。しかし当時の環境で守備ラインとして意識されるのは下記の数枚しかなく、基本的にはイエローや女戦士から攻撃するのが正解となる。

2000:皿、偵察
1900:イグザ、番兵
1800:デスコアラ、柔術家
1700:ステバ
1600:女戦士、浅井
1500:ザルーグ、赤ガジェ
1450:ネズミ
1400:月読、ピラタ
1300:アビス
1200:黄ガジェ、阿修羅、てんとう虫

■サンプルデッキレシピ

 6ガジェのためサブアタッカーとして増援セットを採用。対バーンはサイド後からが本番という考え方もあるが、今回はどんな対面にもある程度戦えることを目標とした。

■採用カード

・抹殺の使途
 ガジェ相手の1ターン目、アタッカーを処理されて直接攻撃されるのを嫌がり、2体目やお触れ・砂塵を準備できる2ターン目から動こうと考えるプレイヤーは多い。すると必然的に1ターン目は裏守備から入ることが多いため、このデッキは他デッキ以上に裏守備に遭遇する場面が多く、このデッキにおけるシルクラと抹殺は他デッキ以上に強力である。
 シルクラと比較した弱点としては死霊やカオスの対処くらい。カオスはそもそもシルクラやSASUKE(ゾンバイア)警戒で縦で出すことが多く、月書奈落を採用することで対応。いずれも最悪戦士ギミックや地砕きで対処可能。
 前記事(note.com/0409_1103/n/n36b3892014c3) では、キラスネエラッタにより低評価としていたが、このデッキでは別の役割がある。
①デッキ内の嵐・激流などを確認すること
②カオスの召喚条件を満たす前に倒しきること

 特に①は重要で、ある程度上級者になればデッキを見れば残りの手札・場のカードが推測できる。攻撃側は予想を元に行動を変更できるが、防御側は盤面に対応するので精一杯であることが多い。そのためお互いのデッキ確認は、基本的に攻撃側に有利な行為である。またこのレシピは一般的レシピと採用札や枚数がやや異なるため、相手が誤認するという副産物もある。

・月の書
 優先権の廃止によりブレイカーや同族、サウサク、導き手をいなせるが、カオスは突破できない。キルターンの面から考えても奈落の方が優秀だが、サウサクが流行しているため採用。ミス2もあり意外と腐りにくい。相手の罠除けとしても使えるが、破壊輪は相手のライフも削れるので通すことも多い。女への強奪や心変わりへの対策としても重要。
・炸裂
 3積み基本のカードだが、相手には当然ケアされる。重なると弱く、月書奈落と散らした。代わりに地砕きは3積み。
・SASUKE
 このカードを除くと増援からのサーチ先の最高攻撃力は1500であり、ブレイカーやウイルス、ステバやマシュ、偵察などを上から倒せるモンスターが欲しい場面は多い。ゾンバイヤとは一長一短だが、ハイビートには有利なはずであり、アグロゆえ不採用。
・クリフ
 ロックバーンを重く見て採用。お触れも処理できるが、お触れ採用型のデッキではスケゴや月に阻まれることが多い。明確な役割があるのでザルーグよりは優先度が高い。
・ザルーグ
 豊富な除去によりハンデスが可能な場面は多いが、ミッドレンジ向きのカードである。アグロでは相手の手を潰すより、こちらの次の手を用意した方が強いので基本的にはガジェ召喚でよい。
 ただ今回は6ガジェのためガジェ切れになることも多く、アド鳥要因として追加で採用。ガジェと違い2アドの可能性も秘めている。
・ケイローン
 効果はあくまで1:1交換だが、増援で変異カオスのお触れを割ったり、月書や地砕きでロックバーンの永続を割ったりと、見かけ以上の働きをする。打点も優秀で、このデッキではブレイカーを上から叩ける貴重な存在である。
・砂塵
 ラグで読まれて腐った抹殺に打たされたり、スケゴを手打ちされたりすることもあるが、圧倒的に丸い。強奪や蜃気楼があるのでメビより優先。
・神宣
 ライフコストは大きいが開闢が出る前に決めることを目標にしているので、バーン以外には腐りにくい。バーン相手に複数枚持っているときの小技として、ライフ4000の時に2000バーンを2枚チェーンで撃たれると負けるので、2000バーンを2000コストで止め、チェーンさせないという一見意味不明な賢者プレイがある。

■不採用カード

・激流
 負けている盤面を取り返せるが、6ガジェのため盤面が負けた時点でリソースが厳しい。バーンにもあまり刺さらないため不採用。
・メビウス
 一見強いカードだが攻撃反応が少ない現環境では、伏せカードが発動されない場面はほとんどなく、月の書・サイク・スケゴチェッカーになることがほとんどであった。アドを取るのは主にお触れやロックカードがあるときであり、クリフやケイローンで十分と考えた。心変わりは上級が無くても一時的除去+バーンとして十分強い。
・ならず
 このカード単体での対応範囲は広いが、召喚権を使用するのが欠点。増援のサーチ先としても、女戦士、ミス2、SASUKEがおり、このカードにしかできない役割はサウサクとラヴァゴの処理くらいである。しかしそのサウサクに対しても月の書でかわされることが多く、優先権がなくなったことが痛手。蘇生札やギガンテスとの相性が良いというメリットはあるが、アグロ的視点ではだいぶ怪しい一枚。
・ハンマーシュート
 自分の場も対象となるため、月書で躱され味方を割ってしまうこともしばしば。明らかな仮想敵がいない限り地砕き優先。
・突進
 おしゃれ枠。前述の通り、ガジェ6回の攻撃では8000にわずかに届かないことが多いので、このカードによるリーサルはそれなりの頻度で遭遇する。また月読や赤ガジェ、ステバ、デスコアラなどを倒せるのも収縮にはない魅力で、あまりやりたくないがリクルーターの攻撃からガジェを守ることも一応できる。リクルと女戦士は炸裂で処理しよう。
 類似の役割としてリミ解であれば先行3ターンキルも狙えるが、スケゴで壊滅するので注意。チンパンムーブしたい人は0503のフラガジェへ。
・グレイモヤ
 基本的に炸裂の下位互換。上手な相手は攻撃反応をリカバリーできない場面では攻撃してこないため、打ちたい相手がいない。被ると弱いので攻撃反応は2-3枚で、フリーチェーンや召喚反応に振り分けたほうが安定する。

■まとめ

 「ガジェはプレイが簡単で初心者向け」という論調もあるが、確率や環境を考慮したデッキ構築が必要であり非常に奥が深い。ガジェ使いの皆さんは誇りを持ってデッキやプレイを磨いていってほしい。
 ガジェを使わないプレイヤーは下記2点を覚えて帰ろう。
①対戦開始したらデッキ枚数を確認する癖をつけること
②6-7回殴られたら負けること(最速で後攻3ターン or 先行4ターン)


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