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2024/10/5 『 舞踏 (②) 』

本質と呼ばれるものが
この部屋から、出て行く時
雁がねの灰色の翼は抑揚する
這い出るこの飢饉の年の
物語る年寄りに身をまかせて
かがんだ身長の
とくとくと山脈がシハイを奉じる
こんだら、こんみゃく、ことさら、こうたいす
眼をみはり、耳をかしいで、鼻はミルクの
コウタイする、そのいのちのしんから
とうぜんのこととして
山から走り降りて来る、この、どの、もの
てんつくてん、つくつくてん、名をなのれ
必然と偶然と浴然と木然と
手の奥から肘がでる
てん、とうてん、くん、くんてん
この踊る男は空気です
その踊る空気は、とてん、とらん、ぐらん
と、ななめの飛行を押しやっている
あまつさえ、ひこばえの
よもやま降臨の世も山も光輪の
ささげものにて後光をもちている
しんからこれらは、しんからこの世は
陶酔色のコダック色に
おおいかぶさる色まじりて
踏み鳴らす、こわ、いろごとし
おみなは、おおたぶらかしの
尊王攘夷の軍艦からのひどくせきこむ
ヒバリ料理のひどくやわらかに
包み焼くこのヒバリ料理人は
踊り手なり、ぴー、と鳴くその口をむすび
サルベージ船の焼けた鉄板に
そのてのひらで、むすびつけては
ひたすらのまじかに見ゆるべきかな
ぴー、とささくれて
香港の港に舞踏の足先が
いずれは焼けた石を
トロールのわたしの
モズの声にてぴしゃりとおわる。