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オンラインにおけるポスター発表をどうするんだ問題

久々に学会ネタです。
新型コロナウィルスの影響で各種学会やシンポジウム、学術研究発表大会もオンラインで開催することが一般化している2021年10月現在です。

覚え書き的に書き記しておこっかな~ちょっとメモっとこかな~という軽いノリの乱文ですので悪しからず。主催者側視点と、参加者側視点とが混じってます。


どのツールを使ってオンラインでポスター発表するか

ポスターの掲示のみでよいのか、双方向のオンタイム質疑が必要なのか、テキストでの質疑でもいいのか、必要とするものでチョイスは変わってくるかと思う。掲示&質疑が必要というところが多いかな。

ツールとしては、現在の日本社会で広く人口に膾炙しているものとしては、やはりZoomになるかと思う。それ以外のものは、まず使用方法の説明が必要だったり、そもそもアクセスの厳しい企業の研究部門は使えなかったりすることがある。

質疑はZoom的なもの、掲示はBox的なもの、あるいは動画資料の先行アップロードと、当日の質疑とか、質疑と掲示で分けて実施するのも手かと考えている。


Zoom

スマホからも参加できるし、もはや説明の必要があまりないのはラクではある。ポスターを掲示しておきたい(画面共有しておきたい)という場合、参加者はZoomに貼り付くかPC立ち上げっぱなしにする必要がある。ので、ポスターの掲示は後述するBoxなどの別サービスを使うという切り分けが必要かもしれない。

あ、口頭発表をzoomで実施していて、ポスターもzoomで実施していると、違いが分かりにくいというか、差がないというか。
口頭とポスターという切り分けは現地開催もので、オンラインの場合は別の名称や考え方が必要なんだろうか。
この先また現地開催あるいはハイブリッドになっていくことを考えると、むやみに変更するのも混乱しそうでもある。

Box

各講演番号のフォルダを用意しておいて、発表者はそこにアップロードしておく、聴講者はそれを閲覧する、といった運用が考えられる。資料の掲示、として切り分けて考えて、質疑は別のサービス(Zoom等)で行うとか。


Webex 

最近使ってない。


Remo

テーブル内にホワイトボードがあって、そこに掲示しておく、といった使い方ができる。ホワイトボードの機能はRemoの純正ではなく、外部サービスを使っている。最近、deskelから別のものにホワイトボードサービスが変わったらしい。そのためにユーザがログインだか、登録だか、そういった面倒くささがちょっとある。


oVice

近付いたら声が聞こえる系。パーテーションで囲われた部屋なら、そこに入らないと内容は聞こえない。


SpatialChat

これも、近付いたら声が聞こえる系。


Gather Town

海外の若手イベントで、ゲーム風のこのシステムを使っているのを見たことがあったような気がする。


vimeo

https://vimeo.com/jp/

動画を提出というパターンその1。

YouTube

動画を提出というパターンその2。

音楽系のイベントで、事前審査のために自分のバンド・団体の音源をアップしてURLを送る、なんていうのもあった。その場合、使用音源が最近のものだと著作権に引っかかってNGになったりすることがある。


あとはteamsとかGoogleMeetとか。VRchatでやるのも面白そうだが、これは特定の層でないと難しい。

他にも、多種多様なツールはあるんだろうし、これからも出てくると思うが、多くの人が使えて、アクセスできるというところで考えると、現状はZoomに分がある気がする。



オンラインにおけるポスター発表(に限らないかもだけど)の懸念


懸念1 交流の不足

廊下の立ち話的な交流が難しい・人的交流の新規開拓、深堀が難しい

限りなく雑談に近い会話から研究のネタが生まれたりすることもあるそうなので。オンラインだとそれが難しい。

スティーブ・ジョブスさんもこんなこと仰っているらしいです(裏は取ってません)。

But innovation comes from people meeting up in the hallways or calling each other at 10:30 at night with a new idea, or because they realized something that shoots holes in how we've been thinking about a problem.

Steve Jobs (1955 - 2011)

オンラインオンリーにおいては、これは主観ですが、特に若手の育成やネットワーク形成に困難が生じているように思います。

現地開催での学会だと、発表が終わったら居酒屋に行ったり、史跡名所を見たりしながら、研究室の仲間とワイワイしたり、普段は論文で名前を見るだけだった人とお話して交流を深めたり、ということがあったと想像しているんですが、どうでしょうか。

あるいは、こういう学会会場で会ってしまったがために、委員会の面倒な役回りを引き受けざるを得なくなったり、ひょんなことから次のポストが見つかったりとか。


懸念2 ぱっと全体が見れない(一覧性がない)

なんかこう、システム的に、サムネイルの一覧とかが実現できればいいんでしょうか。

オンサイトでポスター発表やってる時は、会場にいって、ぶらぶら眺めて歩いたり、目当てのポスターが混んでるから隣のポスターで話し込んでたら思いのほか盛り上がったり、そういうことがあったり、しないですかね。

紙の本と電子の本の違いとも似たような感じがします。


懸念3 学会に集中できない

オンライン参加ゆえに、会社や大学で仕事しながらの参加だったりすると、仕事の割り込みが発生して学会参加がおざなりになったり。家から参加している場合、別の誘惑(Netflix、Twitter、漫画、お菓子、お布団など)に負けてしまったり。


懸念4 パワハラ/セクハラ問題

例えば、Zoomのブレイクアウトルームで各ルームに発表者がいて、聴講者はそこに入っていくような形の場合、ルーム内で発表者と聴講者が1対1になる場合がある。オンラインにおける密室で、パワハラやセクハラなどを防止、抑止する必要がある。

これはオンラインに限らずだけども。

組織としてはパワハラ/セクハラの類は駄目ですよという姿勢を示しつつ、万一そういった場面に遭遇したら主催者にすぐ知らせてもらうとか、そういう対応かなあ。


オンラインの良いところ

良いところ1 資料が見やすい

自分の手元のパソコンや端末で資料を閲覧できて、拡大縮小もできて、見やすい。現地開催で参加者多数の会場の場合、後ろのほうで立ち見しつつなんとかスクリーンが見える、みたいなものに比べると、オンラインで資料が見れる有難さよ。このへんは今後、ハイブリッドでも取り入れていく気がする。

良いところ2 場所・時間の融通が利く

開催地によっては移動に数時間かかったりするわけで、それはそれで旅情があったりもしますが、時間の節約にはなる。

オンラインの懇親会に、育児真っ最中の方々が親子で参加してくれたり、なんてのも、よき。

真夏の学会で汗をかきかき、移動しなくていいのも嬉しい。

良いところ3 準備が(比較的)ラク

オンサイトの準備に比べれば、オンラインのみの場合は、会場や人員の手配はラクと思う。オンサイト開催は規模によってはバスの手配とか必要だったりして、それはそれで手間やコストが掛かる。弁当、コーヒーといった飲食関係も。そういやオンラインでも、懇親会でみんな特定のおつまみセットを注文して盛り上がりましょう、なんてのもあったなあ。

しかし、オンラインは事前準備が肝要という面もある。

なんというか、オンサイト/オンラインで準備する必要があるモノの質が違う。

現地会場は行ったらなんとかなる、というところがある。特に私のような意識が朦朧としている参加者視点だと、とりあえず発表資料をパソコンにぶち込んで会場に到着すればよい、というところはある気がする。


あ、オンラインだと、顔と名前が一致するのもメリットだなー。顔だけみて、あー誰だっけ、顔は覚えてるんだけど…みたいなのが、オンラインだと名前が出てるのでありがたい。隙を見てググることもできる。

これからの学会

オンラインとオンサイトを併用していくんだろうなあと思いつつ。

資料はネットにアップしておいて見やすくしつつ、基本的に発表は現地会場で行うけど、オンライン配信もしつつオンラインからの質問、オンラインからの登壇も受け付ける、といった形式がスタンダートになっていくんでしょうかねえ。

問題がひとつあって、手弁当でやってる学会は資金と人手の問題で、ハイブリッドの運営はすごく、とても、とっても、とっっっっても大変です。単純に、いままでの現地開催の対応に加えて、オンライン配信も整えないといけないという。いずれ方法やシステムが整ったり、安価になったり、手慣れてくるんでしょうか。もう既にやってるところもあるしね。

オンラインでやるとなると、じゃあ安く済むんでは?と思われがちですが、システム構築費用、サーバ費用、対応する人件費、人的教育、そういうのもあるんだよなー。なんとかしないといけないんですけどね。お金の無い小さな組織が知恵と工夫で難局を乗り切る、というストーリーは好かれると思いますが、札束で解決するという世界線も世の中にはあるんだろうなあ。小中規模の学会はお金が無いので、ひーこらやってるところが多いかと。医薬系でスケールメリットのあるようなところは業者丸投げでどうにかなってるのかもしれない(業者さん大変かもしれない)。知らんけど。

視覚や聴覚に困難がある方への対応、サービスの展開も課題かと思う。
Zoomに字幕機能があることは知っているが、活用はできていない。

ハイブリッドの場合、現地とオンラインの温度感の差、オンラインは置いてきぼり感もある。そのへんも工夫するやり方があるんだろうか。


オンサイトのポスター発表は密になりやすい

ピンと来ない人は、「ポスター発表」 とか 「ポスターセッション」 で画像検索していただくとイメージが掴めるかもしれない。

一枚のポスターボードの前に、発表者がいて、それを取り囲むように参加者がて、という従来のオンサイトのポスター発表は、いわゆる密になってしまう。ボードの前で喧々諤々するので、飛沫も大量発生だ。

ポスターボードの間隔を空けるといった対策を取るにしても、オンサイトでポスターができるようになったとすると、もうその頃にはコロナとの共存がだいぶ上手くいっている状況な気もする。


その他

発表者サイドの工夫として、この方のnote面白かったです。



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そんな感じです。


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