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頻繁に文字を書き間違える話

俺はよく文字を書き間違える。「シ」の点は3つで書くし、「学」の上の点は4つで、「左」は「みぎ」と読む。いや、間違えるというより、昔読んだ漢字の本にはそう印字されていたのを鮮明に記憶している。

そのようにして、変な文字を矯正できないまま18歳になってしまった。いよいよ受験は近づいた。

俺には家で勉強をする習慣がなかった。ゆえに、家で勉強することは体力を消耗させる。23時35分にもなると、瞼が重くなり、視界がぼやける。無理に目を開けると、眼球が飛び出しそうなほどに頭が痛む。

さて、今日も寝るか。タスクリストにあるタスクのうち、16個は明日に持ち越しだ。まったく、完璧な1日だったよ。笑

気がつくと俺は、洗面台のシンクに顔を埋めていた。何だかやけに陶器はザラザラした質感だ。顔を上げたが、何かがおかしい。確かにここは自宅だが、こんな景色は見たことがない。

なぜなら俺は、ぶち破られた鏡から上半身を乗り出して、洗面台に倒れていたからである。鏡のフレームの手前側は、闇。

足を割れたガラスで切り刻みながら、蛍光灯に照らされる奥側へと這っていった。

やっべ、もう寝なきゃ

睡眠不足というのは、1日くらいなんてことないが、慢性化させてはいけないのだ。リビングのテーブルに放り出された携帯電話で、時刻を確認する。

そこに、一つの通知が表示された。クラスLINEのようだ。

“自己採点シート明日締め切りです!”

何かがおかしい。

「シ」の点が、3つなのである。

iOSって、こんなバグり方するんだろうか?

言語を中国語にすると、よくシンニョウの点が2つになったりするけど、中国語にカタカナなんてないよな?

いや、おかしいのではない。これが正しい字なのだ。

俺はメモアプリを起動して、さまざまな文章を入力してみた。やはり、「学」の点は4つだし、「ひだり」と打てば「右」がサジェストされる。

「シ」の点が2つなのが、間違っていたのではないだろうか?

そうだ、きっとそうだ。中学生になった頃から今までずっと、妙な感じがしていたのだ。おそらく、ストレスか何かで知能が低下したか、幻覚を見ていたに違いない。

皆さんも、ぜひSafariの検索窓などに何か入力して、よく目を凝らしてみて欲しい。日常に潜む違和感は、至る所にあるはずだ。

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