見出し画像

私にとっての海とは

海のイドバタ会議の方にメッセージをいただいて、
「私にとっての海」がなんなのかを考えていました。
(メッセージありがとうございます。)

・海は生まれてずっとそばにあったもの
・海は眺めるもの
・海は一人では、いってはいけないもの
・海の中は神秘的で、怖い
・大人になってからの海は特別なもの

ざっくり、こんな感じかなあと思う。

・海は生まれてずっとそばにあったもの

文のごとく、私は海がある町で育った。
高台にある家からはだいたい海が見える。
よくいえば、耳をすませばの、図書館がある町、みたいな構成だ。
山もあるし、海もあるから、山のお祭りと、海のお祭りに、夏になると行った。

・海は眺めるもの

そんな場所で育ったから、夏は家族で海に出かけた。
お父さんは忙しい人で、土日が必ず休みというわけでないから、
お父さんがお休みの週末限定で、海に連れて行ってくれた。
普段家にいないお父さんがいる休日の海は、特別感があった。

なぜお父さんがいる日しか行けないのか。
それは、私は兄弟が多いし、お母さんは海が苦手だったからだ。
海の怖さを知っているから。

以前、お母さんと、祖父母か誰かと子供たちで、海にいった日がある。
そこにお父さんはいなかった。
末っ子の私は、背が低く、海に入っても、足がつかない。
だから、浮き輪に乗って、浮き輪には犬のようにひもがくくられていた。

身体の半分が水につかって、気持ちいいなという感触のすぐあと
幼いながら、恐怖を感じた。

海の中に、誰かがいる。
海には、かなわない。

力が強くて、まるで水の中に誰かがいるみたいだった。
私の海は外海だから、波の力は、外に外にと、まるで連れ出そうとしているように強い。

そして、くくられたひもを誰かが持っていたけれど、
波の力が強く、浮き輪に乗ってる私は、まんまと沖のほうへ流されてしまったのだ。

私の声は今もむかしも、通らない。
だからなかなか気が付かれず、、、半泣き。手を振ろうとしたけど、
手を振ろうとすれば、浮き輪からすっぽりぬけて、水の中の誰かに飲まれてしまう。

幸い、波が横に逸れたタイミングで、ひもがテトラポットにひっかかって、
よく知らない誰かに、なんとか救出してもらった。
だけれど、あのまま誰にも気が付かれずに流されていたらと思うと、
今でもぞっとする。だから私は、今でも少し、水の集合が怖い。
水の中の誰かに引っ張られる感覚が、いまだに恐怖だ。

・海は一人では、いってはいけないもの
・海の中は神秘的で、怖い

だから、この二つに続くのだ。

海は、頼りになる誰かといきなさい。
海坊主にさらわれるから、お盆過ぎたら海には近づかないで。

そうやって、母は子供たちを守ることに決めたようだ。
だからか、海水浴は、あの日から家族で行かなくなった。
夏といえば、プールになった。(プールでも実は溺れかけたけど、その話はまた今度)

・大人になってからの海は特別なもの

すっかり、海に入らなくなったけれど、思春期になり、海のロマンを感じることになる。
友達とおしゃべりしながら海沿いを散歩したり、高校終わりに彼氏と二人で、線香花火をしたり、
海でのいい思い出ができるようになる。入る場所から、眺めたり、散歩する場所に変わった。

町の半分の景色は海だから、いやでも視界に青が入ってくる。
怖い思いはしたけれど、それでもやっぱり、
海は、かなわないもので、雄大で、心癒されるものに変わりはなかった。

そうこうしているうちに、海の上を走ることができる道ができた。
駅からは海がきれいに見渡せるスポットができた。

そうやって眺める場所に変わった海は、一日の景色の移ろいがすばらしく、
思春期から大人にかけて成長する私の心を簡単に奪っていった。

社会人になって、サーフィンを始めた。
いまでも足がつかない沖は、やっぱり怖い。水の中の誰かがいるから。
でもサーフボードが守ってくれるし、何より、
サーフボードに乗ってみる朝焼けや、夕焼けが綺麗で、
水の中の誰かが気にならなくなった。

波まちの海で夕陽をみていると、もやもやとする心はするすると溶けていく。
波に荒がろうとすれば押し返されるけれど、素直に、波に乗ろうとすれば、
優しく力を貸してくれることを、サーフィンを通して知った。

正しく自分の心に従い、自分を信じて、できると思うと、波に乗ることができた。

これは海の中に限ったことじゃないと、哲学的に考えるようになってから、
ますます海の中で自分のちっぽけな存在を感じることが好きになった。

今はサーフボードは売ってしまったけど、海の中にぽつんとたゆたう感覚が
懐かしく、たまに入りたくなる。

海にはかなわない。
いろんな気持ちにさせてくれて、いろんな気持ちを溶かしてくれた海は、
大好きな場所である。

海の景色や、町の景色を守っていきたい。
できるなら、東京と地元で、2拠点で仕事をして、
地元では海の良さを伝えるゲストハウスとかを運営するのが、ひそかな夢なのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?