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子供番組に人生救われた話

「明日からは毎朝6時に起きて一緒に皆のお弁当を作りましょう」

旦那さんの家族と同居を始めて1週間経った頃、お姑さんにそう告げられる。毎朝8時に起床していたズボラ人が、明日から6時ちょうどのキッチンでわたしはお姑さんと家族全員のお弁当を作らねばならなくなった。しんどい…。もし、わたしがあずさ2号だったら8時ちょうどでも怒られなかったのだろうか?

そうしてその日から、嫁&姑の狩人(デュエット)がはじまった。

その日から6時ちょうどのキッチンで狩人(デュエット)が始まった。あずさ2号がまだ車庫の中で眠る頃、わたしは初日からお姑さんへの「おはよう」の挨拶が蚊のように小さ過ぎたことと何も出来ずただボサーッとしていたのが原因でやんわり怒られた。人としてどうしよもない嫁のせいで1日目で狩人解散の危機に陥った。

わたしは、わたしは、あなた(姑)から旅立ちたい

限界はすぐに訪れた。朝6時に起きて無気力なままひたすら弁当を作る。その当時一番ウッ…!ってなったのはわたしが詰めたおかずを後からお姑さんが全部やり直されるとこだった。(ちなみに今はお弁当の詰め直しをされるときは【はみがきじょうずかな】の「仕上げはおか〜あさ〜ん♪」の合いの手を心の中で入れられるようになっている。)

話は戻り、あぁ、いよいよメンタル厳しいな思った矢先、知人から偶然とあるテレビ番組をオススメされた。

7時ちょうどのシャキーンで

その番組はEテレで毎朝7時放送中の「シャキーン」という子供向けの15分番組。子供たち2人と2匹のキャラクターがMCをつとめ、ミニゲームコーナーや音楽、ミニドラマなどさまざまなコーナーが詰め込まれた番組だ。

なにより子供番組なのに子供に媚び過ぎず、自分が良いと思ったらそのまま信念を曲げず真っ直ぐ突っ走るスタイルにとても惹かれた。全員に分かってもらえなくてもいい!誰かに刺さればそれでいい!というメッセージがとてもかっこよかった。

朝から椿鬼奴氏とレイザーラモンRG氏が突然ロンリーチャップリンを熱唱したり、いつものスタジオを抜け出してプロレスのリングの上から番組を進行したり、ホフ・ディランの小宮山氏が松尾芭蕉をイメージさせるような格好で全国の学校給食を食べて俳句を読むという「給食のほそ道」というコーナーも謎過ぎるし、向井秀徳が出てきたときには腰が抜けそうになった。

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これは番組MCのキャラクター、はるか(左)とゲストの大西ライオン氏(右)。あのライオンキングの名シーンをなぜか白菜で表現していた(イラスト:ニク・ジャガー)

こんなにシュールでときどき子供を置いてけぼりにしていいのだろうか?でもそこがシャキーンの魅力だった。わたしは一気にハマっていった。

7時ちょうどにテレビの前へ

シャキーンを知ってからはもう、お姑さんとのお弁当作りにも精が出始めた。これが終わればシャキーンが見れる!という気持ちが止まらない。挨拶も蚊の鳴くような声から「8時ちょうどのおお!!!!あずさ2号でええぇ!!!」くらいの気合いが入った。あずさ2号も一緒に6時ちょうどに出発しようぜ!イェーイ!くらいにわたしの気持ちは変化していた。驚きの変化だ。こんなにも人の気持ちは変わるものなのか。

7時ちょうどのシャキーンで、わたしは、わたしはお姑さんから旅立ちます。

そうしてわたしのルーティンは6時起床でお姑さんと一緒にお弁当を作り、7時ちょうど前になるとお姑さんから旅立つのである。お姑さんも嫁が7時ちょうど前になると旅立つのを当たり前のように思ったのか何も言わなくなった。まるであずさ2号に乗ったわたしを見送る立場だ。シャキーンのおかげでわたしは7時ちょうど前に自室へ旅立つことに成功した。

8時ちょうどの狩人たち

そんな生活も当たり前になり、わたしたち狩人(デュエット)にも変化が訪れたのでそれをあずさ2号の替え歌で報告したい。

8時ちょうどの〜

静かなリビングで〜

わたしはわたしは姑と〜



朝ドラ見て〜ます〜♪


決して仲が良い訳ではないですが、今は8時になるとリビングで2人揃って朝ドラを見る関係になりました。わたしが8時ちょうどにリビングにやってくるとサッとNHKに変えてくれるので、その習慣は大事にしたいなと思うのでした。




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