炊き出し~宮城県丸森町~

「さえちゃん、日曜日朝からなら行ける?」

復興支援隊チーム府中のリーダー大間さんからLINEがきたのは木曜日の夜20時。大間さんは緊急性がない限り私に連絡をしてこない。続けてこうLINEがきた。「日曜日朝から行こう。」本気のやつだ。

日曜日の朝6時。中野坂上で待ち合わせをし5名で丸森町へ向かいました。片道4時間。往復8時間。炊き出し時間は11時30分から終わるまで。荷物は前日、大間さんが準備してくれていた。座席の下にコンロとか入っててすごいんですから。

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今日の炊き出しのメンバーは全部で6人。作る食事は炒飯とスープ150食。それに甘酒や野菜ジュース等を提供させてもらう。前回、千葉県鋸南町で炊き出しをさせてもらった時はもう少し人数がいたので、6人でできるのか不安がなかった訳ではない。

到着してすぐに丸森町の役場へ立ち寄った。役場の目の前は集積所になっていて家電や畳が山積みになっていたし、自衛隊の方々もいてお風呂など設置されていた。

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今回、炊き出しをさせて貰うのは避難所の目の前にある佐藤商店さんの前。到着をしてご挨拶をしたあと、さっそく準備をしていく。その手際の良さは学習塾の経営者ですか?本当はテキヤですよねと言わんばかり。それはメンバーも同じ。東日本大震災からずっと地元のお祭りやガード下で物販をしている賜物で、あうんの呼吸。

あっという間に場所をつくり、それぞれの持ち場にかかる。

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最初の予定では私は炒飯担当。もりもり作るぞと燃えていた。ところがいつのまにか炒飯を作っている間に場を持たせる場持ち役として前へ押し出され、出来立ての炒飯とスープをお渡しする担当になっていたのだ。役割的には皆を盛り上げる前座的な。

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お陰さまで冷たい風が吹くなか待って下さる皆さんと色んな話ができた。もっぱら話題は半袖で寒くないのかと皆に聞かれ「道産子ですから」を連呼していたけれど、途中からやっぱり寒くてカーディガンを羽織って笑われたりした。そう。ほんとは道産子寒がりなんです。

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天気の話から、この地域のおすすめのお土産は何が良いか。子どもからお年寄りまで色んな方と触れあえました。そのなかでおすすめしてくれた「しそ巻らっきょう」買いましたよ。食べるのが楽しみ!

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避難所にいる40人分の炒飯とスープを取りにきた男性2人は、北海道出身だった。わたしもわたしもー。聞いてみたら北海道道庁から派遣されてこの避難所へ手伝いに来てるとのこと。北海道だけじゃなく各地からこの丸森へ来てると聞きました。

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炊き出しの列は途絶えることなく当初用意してきた150食が間に合わないことが判明。そこはさすがのリーダー大間さん。すぐに車を走らせ足りない食材や入れ物を買いに向かってくれ並んでいたすべての人たちへ提供することができた。全部で210食。

美味しかったと戻ってきてくれる方や、わざわざ東京から来てくれて有難うと声をかけてくれる方、温かいものが食べられて嬉しいと喜んで頂くことができました。

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ある男の子が「お母さんが風邪をひいて寝てるからこれを持っていってあげたい。」と選んだのは野菜ジュース1本でした。「何人家族?」「えっと5人。」野菜ジュースと甘酒を家族分いれてあげ、出来立ての炒飯と温かいスープを渡すと有難うと言って自転車へ乗せて帰っていきました。

また、寒いなか長い列で待っていた小学生の男の子と話をしているときのこと。「待たせてごめんね。寒いでしょう。大丈夫?」「うん。大丈夫だよ。」「お。強いなぁ。もう少しだけ待っててね。」「うん。だって皆も待ってるし、みんな家族と同じだから大丈夫だよ。」

家族と同じだから大丈夫。そんな言葉を聞いた日には泣きそうになっちゃって、こちらから握手してくださいってお願いしたよね。

11時30分からはじめた炊き出しは、一度も途切れることはなく持ち場を誰一人離れることもなく13時30分完配しました。

その後、少し丸森町をまわらせて貰ったのですが、被害が大きい地域もありボランティアさんがたくさん入っているところもありました。まだ避難所で過ごしている方もいますし雨が降ると不安になるとおっしゃる方々もいます。

まだ何も終わっていないし、私たちに出来ることもたくさんあると思います。私は手に職をもっている訳でもないし、誰よりも不器用だと自信をもって言うことができます。

だけど炒飯とスープをお渡しすることや、目の前にいる誰かと話をするならできます。 

もしボランティアのハードルが高いと感じて足踏みしている人がいるならば、躊躇している人がいるならば一度私と話をしてみませんか。一緒に行ってみませんか。優しくて温かい仲間もたくさんいます。

どうか皆さんの力を貸してください。
私も今、出来ることをさせてもらいます。

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