日記「ニューヨークバンドライブ in JAPAN 2024」10/20
・9時 起床
今日はニューヨークバンドの日
狩野とニューヨークさんの動画に出て
吐露した時に身体がデカくて、姿勢悪くて
売れてないのに不摂生太り意味わからんくて
痩せなきゃと決意し、この日の為に
ダイエットを開始した。77㎏から72㎏へ。
本番当日の体重は72㎏で目標ピッタリ。
数週間前に着信が来て
電話の向こうは屋敷さん嶋佐さん。
「ニューヨークバンドのイベントで
あとむ、狩野で歌ってくれ!」
ニューヨークバンドの活動は知っていたけど
いや、お客さん俺らわかる?
しかも、サプライズゲスト?
しかも、しかも、曲が浅草キッド?
ニューヨークさんに関われるのは
本当に嬉しいけど荷が重すぎて
真っ先に狩野にLINEを入れる。
「とりあえずカラオケ行こう」
「行きましょう!」
「替え歌とかの方がいいのかな?」
「ニューヨークCHのファンの方の前なら
「カツ丼」「豚汁」ってワードを
出すのもありかもしれません!!」
電話の切り側に言われた
「替え歌とかしてくれてもいいよ!」という
フリなのか、なんのなのか
わからないニューヨークさんの言葉に
そもそも迷えるあとむと狩野は
さらに深い迷宮に飛び込んでいった。
「お前と会った道玄坂の♫
豚汁しかない♫ カツ屋で♫」
こうなる可能性を考えていたら恐ろしくなり
狩野からのLINEを既読して返事せず
汗ばむ暑さの部屋で布団にくるまった。
練習は結構したんだけど
自分でいうのも嫌だが
甘い系の歌声と言われるのが
浅草キッドを歌う上で邪道であり
それこそ「シャバい」という事で
あえてメチャクチャ癖入れて歌うなどしたり
結構な試行錯誤を重ねていた。
僕らの世代の劇場 神保町漫才劇場から
「浅草キッド」を「神保町キッド」に
変更するかという、試行錯誤という名の
血迷いも同時に重ねた。
・11時 リハーサル
お笑い以外のライブハウスに
入るいうのが経験ないので
若干の戸惑いを感じながら
リハーサルが始まる。
何回、何千回とリハを重ねた
ニューヨークさんも、スタッフさんも
音楽のリハ、しかもワンマンのリハは
全く別の大変さが伝わってくる。
狩野は当日にM1の2回戦があり
リハには最後まで出られなかったので
楽屋から近い非常階段で
あとむ、狩野、ギターのひろしさんで
浅草キッドを練習した。
そして狩野はM1へ向かった。
バンドのリハを見学したり
小虎りょう、チェひろしさんという
並んだらのび太とセワシくらい似てる二人と
芸能界の嫌なゴシップを話したり
普段味わう事のない音楽ライブという
空間を楽しませてもらってた。
俺が某配信番組の優勝者をネタバレしてしまい
りょうを中心にイラッとされる事件が起きたが
結構ギア入れて怒ってたりょうを見て
近くにいたニューヨークさんへの
先輩にもキレ芸がいけるという幅見せで
ギアを入れた可能性を考えてしまい
謝りは少量に抑えさせてもらった。
ネタバレは普通にごめんね。
俺は目立とうとしたのかもしれない。
2回戦の会場でウケた狩野が帰ってきて
一応シークレットなのでマスクをして
浅草のカラオケで練習しにいった。
1時間半練習した後に
二人で丸亀製麺の端っこの席で
バレないようにうどんを食べていたら
ニューヨークさん単独のグッズであった
キャップを被った女性が真隣に見つけ
シークレットを守るために
狩野に声を出すなと
SATさながらの指での指示を送り
隠密行動を守りながら店を出た。
・19時 本番
楽屋でまんぷくの漫才の出来を聞いたり
雰囲気はいつものお笑いライブの
開演前の空気そのものなんだけど
開演5分前になり
会場がお客さんでパンパンとわかると
一気に音楽ライブ童貞マインドが湧いて
メチャクチャ不安になってくる。
円陣を組んで嶋佐さんが声を出し
最後は「オッケーですっ!!」に合わせて
バンドメンバーで「オッケーですっ!!」と
照れてニヤニヤしながら声をあげる。
開演し、屋敷さんが先頭で登場する。
その大歓声はメンバーを高揚させ
最後に堂々たる登場のボーカル嶋佐さんの
登場時の歓声は会場のキャパシティを超えた。
あの時「嶋佐さん」ではなく
完全に「SHIMASA」だった。
R-1に出場時に名乗った「SHIMASA」ではない
紛れもなくアーティスト「SHIMASA」だ。
1曲目の奥田民生「さすらい」から
客席は興奮の坩堝と化していく。
そして楽屋の待機しているメンバーも
坩堝に飲まれて行く形で
何故か全員が立ち上がり、揺れていた。
バンドメンバーが曲を終えて
他のメンバーと交代する時も
拍手とハイタッチで迎え
「どうだった!?やばいの?やっぱやばい?」
と普通にみんなキャッキャしてた。
出番が終わっていくメンバーの横で
あとむ、狩野は顔が強張っていく。
いつもの非常階段で練習を再開する。
さっきまで、ミスなんてなかったのに
「煮込みしかない鯨屋で」を
「煮込みしかないアパートで」と
「一人尋ねたアパートで
グラス傾け懐かしむ」を
「一人尋ねたアパートで
コタツ傾け懐かしむ」と
と歌詞を間違いまくる。イップス発動。
さっきまでミスのなかった
ひろしさんも毎回どっかしら間違える。
でもやり切るんだ。
歌詞がモニターに出ているとはいえ
一曲しかない俺たちが
モニターを見ることは完全にシャバい。
俺たちの鬱屈とした思いを。
売れることでしか晴らされない
この感情をオーディエンスにぶつけるんだ。
そんな意識だった俺たちは
あまりにミスが何度も何度も続くので
「まぁ、モニターに歌詞出てるし」
「ミスってもミスってない顔しましょう」
「間違えたら替え歌だって言えばいい」
などという、失敗前提の弱気集団に変貌した。
りょうの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」が
分厚いはずの扉から漏れ聞こえてくる。
客席、演者たちの興奮とは裏腹に
非常階段でギュウギュウで練習していた
弱気集団は「盛り上がってるわ、やば」と
ハードルが上がっている事に困惑していく。
本当だったらゆっくり聴きたい
ニューヨークさんの「白い雲のように」
リハで後輩全員がカメラを回した
ニューヨークさんの「白い雲のように」
緊張で全く耳に入ってこずに
弱気キッドたちは肩を組んで覚悟を決めた。
「サプライズゲストはこいつらだ!!!」
屋敷さんの呼び込みで
狩野、あとむの順で飛び出していく。
異常な歓声を浴びて
訳がわからなくない。理解が追いつかない。
「あとむー!」「狩野ー!」と
何人かが名前を呼んでいる。
「あ、この人たちに知ってもらってるんだ」と
思うと緊張は高揚に変わっていく。
歌が始まる。
お笑いライブで感じてきた視線とは
確実に何かが違う。全く違う。
物凄く顔を見られている気がする。
俺らより苦労していて
年数も重ねている芸人さんなんて
溢れるほどいるんだろうけど
30年目の芸人にも、1年目の芸人にも
NSCの生徒にも、お笑い目指してる人にも
それぞれの浅草キッドはあるはずで
10年目ピン芸人あとむの
浅草キッドを振り絞って歌い切った。
歌詞を間違う事はなく
なんせ、ひろしさんのギターが
自分らを浅草の空気に乗せてくれた。
出番が終わって楽屋に戻ると
みんなが優しく出迎えてくれる。
なんか気持ちよかったな。
そら、アーティスト薬やるわ。
嶋佐さんタトゥー入れて欲しいもん。
てか、アーティストそらモテるわ。
芸人は大好きだけど
普通に考えて
この世で一番気持ちい仕事って
アーティストって思ってたけど
やっぱり間違いなかったな。
芸人みたいに新ネタじゃなくて
雑にいうと有りネタの方が盛り上がるし
あぁ、とんでもない経験できたな。
ニューヨークさん、奥田さん、スタッフさんに
めちゃくちゃ感謝しよう
あとむ・狩野で
盛り上がってくれたお客さんにも感謝しよう
ライブ終わりにXで感想を見たら
隠密行動だったはずの丸亀製麺で
隣に座ってた人が完全に気づいてたらしく
全く隠密できてなかったけど
黙ってくれたお客さんにも感謝しよう
バレないように浅草の街を
メガネ、マスク、パーカーのフード被って
歩いたの恥ずかしくなってきたけど感謝しよう
打ち上げで屋敷さん、本田さん、りょう
マッチョ、狩野と同じ席になって
今日のライブの話から
OWVのオーディションの話から
飛田新地の話からエロ漫画の話まで話して
最後は今日は良い思い出になったと
映像見返して褒めあった。
ニューヨークさんに思い出を頂いたので
こういう誰かに思い出分けれるような
イベント作れるように頑張ろう。
もしまた何かに呼んでもらえる事があれば
着実にレベルを上げておこう。
今日の日をそんな時代もあったねと
今より充実した日々を送った状態で懐かしもう
今日摂取した曲。
SHIMASA
「さすらい」「Basket Case」
「キスしてほしい」「ツバサ」「BELOVED」
「東京」「Don't Look Back In Anger」
YASHIKI
「忘却の空」
OWV本田 with 青木マッチョ with りょう
「ロビンソン」
りょう
「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」
あとむ・狩野
「浅草キッド」