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英語はなぜ難しいか?   You haven't said

 英語ペラペラ(私自身がまだペラペだが😅)を目指して、「使える英語」を習得するための「英語はなぜ難しいか?」シリーズ。

 今回は私の実体験から「英語の時制」、特に「完了時制」について考察してみたい。


 渋谷駅で複数のEnglish speakerが会話していた時のこと。その中の1人が
You haven't said "Good-bye" to him.
と言ったのが私の耳に飛び込んできた。

 このphraseが、今回のお題だ。


①なぜYou didn'tではないのか?

 単純に「言っていない」と言いたいだけならば、
You didn't say "Good-bye" to him.
の方が自然だ。これは異論が無いところだろう。

 では、なぜわざわざ完了形にしたのか、言い換えれば、You haven't〜と口にした話者の心理はどのようなものなのか、ここに完了時制を理解するヒントがありそうだ。



②話題は「今」のこと

 「現在完了形」は過去ではなく、「今」の話をしている。この辺りは、学校の文法の授業で習ったことがあるだろう。

 そう、You haven't〜は、「今、言わなかった状態だよね」というニュアンスだ。

 この感覚がピンとくるかどうか、言い換えるならば、過去の出来事を今に引き付けて話す感覚を受け入れられるかどうかが、英語の時制をモノにできるかどうかに大きく関わる。

 ちなみに、現在完了形については、「完了・結果」「経験」「継続」の3用法があるらしいが、全て「今に引き付ける」感覚である。厳密には「継続」は少し異質だが(だからこそ、現在完了進行形が存在する)、ここでは深く触れない。



③和訳すると余計分からなくなる

 現代日本語には、基本的に「完了形」の言い回しが存在しない(古代日本語、つまり古文には存在した)。従って、「過去を過去のまま述べる」と「過去を今に引き付けて述べる」の区別がつきにくい。

 無理やり、「〜してしまった」「〜したところだ」などとそれっぽい訳を考え出しても、普段使わない日本語の言い回しに戸惑うばかり😱である。

 日本語とは大きく異なる英語の時制を理解するには、「英語ではそう言うんだなぁ〜」となんとなく受け入れることが大切だ(時制に限ったことではないが)。


 長らくガラパゴス日本の英語教育の中核をなしてきた「和訳」には、様々な弊害がある。本シリーズでも何度か述べてきたが、「英語の語順に馴染めない」「英語表現の感覚が失われる」などが代表的だ。
 
 今回はそれに加えて、「不自然な日本語訳を強要される」を挙げておく。「これを日本語に訳しなさい」に対して、「訳せません」「無理やり訳すと◯◯になります」と答えられるような人(私のような、図太い人間😝)ならばともかく、日本語にないものを要求されても困るのだ。

 そうではなく、「英語では◯◯と言うんだけど、それは△△ということが言いたい場合」のように学習することをお勧めする。

 ちなみに、現在完了はともかく、過去完了・未来完了は日本語にするとマジで不自然になる。日本語に無い感覚を、日本語に訳せと言われても無理というものだ。無いものは無いと、素直に割り切ることが重要である



④You haven't saidの言いたいこと

 ここまで本記事を読んだ貴方には、もう理解できたことだろう。冒頭の
You haven't said "Good-bye" to him.
は、相手の今の状態に言及した(軽い非難?)表現だ。「言わなかった」という状態を「今まで持ち越している」と言い換えても良い。だからこそ、完了形には「have」を用いるのである。

 ちなみに、完了形を作るhaveは日本の英文法では「助動詞」と説明されるが、実際に使う時の感覚は限りなく動詞である。少なくとも、私にはそう思える。

 「動詞を2つ並べてはいけない」という文法事項と整合性をとるために助動詞扱いしているだけであって、実際の感覚とズレている思う。


 英語を日常的に使っている人間が自らの感覚を言語化しているのが、本シリーズ「英語はなぜ難しいか? 文法編」である。「英語ペラペ」ならではの文法解説を、今後も続けるつもりだ。


 という訳で、キレイにまとまった🤣🤣ところで、今回はここまで。Nos vemos‼️



どう訳すかじゃない
どう伝わっているかだ

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