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英語はなぜ難しいか?   文法編 時制②

 英語ペラペラを目指し、英語を言語として習得する方法を考察する「英語はなぜ難しいか?」シリーズ。文法編の第三弾「時制」の2回目にあたる今回は、「過去形」について考察する。

 貴方にも経験があるだろう。「過去形と現在完了形の違いが分からない」「動詞の不規則変化が覚えられない」となったことが。

 
 そこで今回は、英語学習において時制がネックとなる理由を考察するとともに、過去形をどう捉えるかを考えてみたい。


 Do you wanna master English "tense"?
    Then, why don't you read this article?




①なぜ時制を難しく感じるのか?

 日本語大辞典によると「時制」とは、「tenseの訳語であり、インド=ヨーロッパ言語などの文法的カテゴリーの一つ」とある。

 英語をはじめとするヨーロッパ言語では、動詞の変形によって時制を表す。
 対して、我々が慣れ親しんでいる日本語では、動詞ではなく助動詞の変化によって時間(正確には時間に対する意識)を表している。例えば、

 今日は学校に行
 
昨日学校に行っ

 の2文を比べてみよう。「行った」は動詞「行く」の連用形「行き」に、過去の助動詞「た」がついたものである。そして「行きた」では言いにくいため「行った」と音が変化した(促音便)。

 ・・・、

 ・・・。

 はい、訳分かりませんね😅。

 我々が当たり前のように日本語で用いている「行った」という表現1つとっても、文法的に解釈しようとするとここまで複雑になるのである。
 どう考えても、「行った」という表現をそのまま覚えた方が自然かつ効率的だ。

 私は以前の記事 ↓ で、「wentはgoの過去形ではない」と述べた。

 より正確に言えば、「askedがaskの過去形である程には、wentはgoの過去形ではない」ということだ。

 何? 意味が分からない? では、次の文を音読してみよう。
 「行ったが行くの過去形である程には、来たは来るの過去形ではない」。なぜなら、音が違うから

 いかがだろう? 頭で考えるのではなく、口に出してみた感覚で捉えてみると、何となく私の言いたいことが分かるのではないだろうか? 


 本シリーズで何度も述べてきたことだが、文法は言語現象に後から理屈をつけたものであり、特定の言語をある程度使えるようになってから学ぶと非常に有効なのだが、「理論大国日本」では残念ながら文法が先に立ってしまっていた(若手教員を中心に、現在ではかなり状況が変わってきている)。


 「5分型」などの分類にもあてはまることだが、本来は英文を読むための「英文法」が、英語を分解・分析するための「英分法」になってしまっている。これでは本末転倒である

 なお、上記の「英分法」は、ある方からのコメントに書かれていた表現だ。大変面白かったため、以降は私も使わせてもらう。ありがとうございました😊😊😊。



②時制は音声と一体化している

 言語は「音声」と一体化した「意味」によって伝わる。「読む」とは、目で見た文字列が脳内で音声化されることに他ならない。

 従って、音読が最強の読解練習法である。

 ・・・、

 ・・・。

 ここまでは、我々「ガラパゴス日本のオジサン世代」も言われていたことである。


 問題は、我々が英語を「勉強」していた頃は良質な音源が少なかったことだ。そもそも「正しい音を出す」意識自体が薄く、結果として、自分が出している「間違った音(English speakerが共有しようと思えない音)」で単語や英文を覚えてしまう。


 ええ、私のことですとも😭😭。

 そして、英語として正しい音を出せない・聞き取れないということは、本来ならば音が運んでいたイメージを捉えられないということだ。

 言語習得の過程で、幼児は「来る」と「来た」の違いを音声として覚える。音声と一体化したイメージが徐々に脳内で「現在と過去の違い」として体系化されるのだ。

 なのに、音が運ぶイメージを捉えられないまま、言わば時制を単なる文字の違いとして「頭で理解」しようとすると、「この場合は◯◯だから過去形を使う」「動詞goの過去形はwentだから〜」という、余分なstepが入ってしまう。このイチイチ文法的に正しいかどうか確認してから口に出すクセが、いわゆる「英語を話せない日本人(もちろん、かつての私も含まれる)」に共通する現象だと考える。
 なお、現在の私は「音を発しながら」文法的なチェックを入れている。native speakerならばそのようなチェック自体が不要であり、これが、私が自身を「英語ペラペ(ペラペラではない)」と評する最大の理由だ。

 ・・・。

 結論。反射的に「I went there last week.」と言えるようになってから、「なぜwentなのか?」を考えるようにすること🤗。
 ある表現を完璧に覚えるまでは理由を考えない。少なくとも、私は20カ国語の学習においてそう心がけている。



③例文が不自然

 私がEnglish speakerとして覚醒してから3年が経過した。覚醒以前と比べて多くの点で自分の感覚・価値観が変わった訳だが、いわゆる英語教育に関して感じるのが、テキストに載っている例文が不自然であるということだ。

 もちろん、「文法的には」「理屈の面では」間違いではないのだが、「いや、◯◯で良くねぇ?」となったことは数知れずである。

 そして、その不自然な英文を様々なテキスト・指導者が引き写すため、不自然な英文が「正解」として日本社会に蔓延することになる😱。
 テストで点を取るだけならばそれも悪くないのだが、natural Englishを習得しようとする際には、不自然な英文で学ぶことは大きな障害になる。

 私の体感では、不自然な英語例文が特に多いのは「時制」「関係詞」の項目である。文法のメカニズムを説明する上でやむをえない事情があるのは理解しているが、それでもなるべく自然な例文で時制の感覚を身につけるべきだと考える。

 私のお勧めはコチラ ↓ だ。

 値段が高いのが難点だが😅。




④和訳するとさらに難しくなる

 ユーラシア大陸の東西を代表する(?)ガラパゴス言語である日本語と英語は、主要言語の中で最もかけ離れている。英文和訳は高度な技術と知識が要求される「職人芸」であり、初習者にやらせるようなことではない。
 なのに、「英語の勉強=和訳」という謎の公式が日本社会ではまかり通っている。さすがに現在では変わってきたと思っていたが、生徒達に聞いてみたところ、学校によっては和訳が授業のメイン😱というケースが多い。

 和訳自体は否定しない。和訳を通じて両言語の違いを理解することは楽しいし、そもそも現代日本語の大半は明治時代にヨーロッパ言語を「和訳」したものである。
 また、国立大学入試で英文和訳が課されるため、対策として練習が必要ということもあるだろう。

 問題なのは、上記のような事情を理解しないまま、「この単語はこう訳す」「△△文法が使われているから、◯◯という日本語にする」などの、定型的な1対1対応訳を覚えることだ。

 特に時制では、英語と日本語の乖離は甚だしい。

 例えば、
Did you finish your homework?
は過去形だから「宿題終わった?」と訳すとする。

 では、
Have you finished your homework?
はどうなるのか?
 現在完了形だから「宿題終えてしまった?」とでも訳すのか? 不自然な日本文だと感じるのは私だけではないだろう。ちなみに、前項で私が「英語の例文が不自然」と述べたのはこの感覚だ。
 日本語としての自然さを追求するならば、「宿題終わった?」となり、過去形の日本語訳と同じになってしまう。

 両言語で時制に対する感覚が異なるのに、無理に対応させようとするからおかしくなるのだ。そもそも、現代日本語は「完了時制」の感覚が弱い。古典文法を学習する際に、多くの生徒が完了の助動詞「ぬ・つ」を苦手とするのもここに原因がある。

・・・。

 結論。無理に和訳しようとするのではなく、特定の時制を用いる「話者の心理」「状況」を理解すること(過去形と現在完了形の相違については次回以降説明する予定だ)。correct pronunciationが運ぶイメージを捉えられればなお良し😊だ。
 


 という訳で今回はここまで。See you again‼️



言語習得に必要なのは、難しい理屈ではない
幼児の頃の素直さだ

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