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英語はなぜ難しいか?     (音声実践編②)

 我々オジさん世代がかつて憧れていた「英語ペラペラ」を目指して(私自身がまだペラペだが😅)、English speakerへの道を模索する「音声実践編」。第2弾の今回は、前回記事で扱っていない「音の知識」について説明する。前回・前々回の内容が定着しているのは、当然の前提として話を進めるので、未読の方は必ずコチラ ↓ を読んでから、本記事に取り組んでいただきたい。
 日本社会では、まだまだcorrect pronunciationの必要性・重要性が浸透していない。Englishの「音」を習得する際の最大の障壁は、「練習しようと思えない」ことだ。English speakerになれるかどうかは、心理面での障壁を克服できるかどうかだけ、と言っても過言ではない。

音声編の総復習

音声実践編①(English speakerを体感する)

 本記事は、前回記事で書き忘れた(!)ことから始める。それは、動画を紹介させていただいた、3人のEnglish speakerにお礼を申し上げることである。大変失礼いたしました🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️
深く感謝致します。御三方の見識には、ただただ敬服しております。また、私はEnglish speakerになってから半年余りの新参者ですが、先輩方(年齢はわたしが一番上だが😅)、どうぞ今後もよろしくお願いします🤲 なお、私のnoteは全て無料記事であり、「動画使用料をよこせ!」と言われても払えないので、ご了承ください😝

 ということで、いつものように本記事の要約を。

音の脱落・省略、音と音の連結(リンキング)、弱く発音される音など、英語を実践的に用いるためにはいくつかの「音の知識」が必要だ。細かい知識は練習で身につけるとして、まずは「文字からではなく、音から入る」という意識をもつことが大切だ。飛んでくる音を素直に捉えれば、音の現象としての英語を理解できるようになる。理論や文法はその後に学ぶべきことだ。

 まずは、コチラ↓の動画をご覧いただきたい。前回記事で「予習」として紹介した動画だ。

 本記事は、動画内で紹介された「音の知識」を、私なりに解説する形式をとる。「動画だけで十分理解した」という方は、このままお帰りいただいて結構だ😅。そのレベルまで来ているのであれば、本記事から得られることは少ないだろう。

 以下、英語を実践的に使う(いわゆるネイティブの発音を聞き取る、自分もそれに近い発音をする)ための方法論について述べる。

 Are you ready?

①音を「出さない」

 単語末の「t」「d」「k」「g」「p」「b」は、ほとんど発音されることがない。文字を見るのではなく、音から入ればすぐに分かることなのだが、多くの日本語speakerが誤解している。まず、この事実を受け入れることだ。spoken Englishを捉える上で大切なのは、「聞こえてくる音を素直に聞き取る」ことだ。無理に文字との関係性を理解しようとしない。文字を見るのは、音を正しくコピーできるようになってからだ。

 では、例えば「shock」と「shop」をどう区別するのか? という疑問が湧くかもしれない。ここで大切になる感覚が、「寸止め」だ。
 「寸止め」とは、口がその形になってから音を出さないことを意味する。「口の形」? そう、私がtrilingual speakerになった際のkey wordだ。特定の音を出す為に必要な口の形を作りつつ、音そのものは出さない。そうすると、同じ口の形を作れる相手には聞き取れるのである。

 「そんなバカな‼️ 出てない音が聞き取れる訳ないだろ‼️」と怒った貴方。気持ちは分かるが、ちょっと待ってもらいたい(お約束😝)。
 そもそも、我々は全ての音を聞き取っている訳ではない。マイクの調子が悪い放送(今時、ない?)を思い出してほしい。「ガガ・・、本日・・いてんなり」という音が飛んできたとしよう。貴方は、「本日は晴天なり、だろう。マイクの調子悪いなぁ」と思うだろう。決して、「何を言っているんだ?」とはならない。それはなぜか?
 貴方の中で、「本日は晴天なり」というフレーズを予想できているからである。もっと言えば、貴方の脳内ではそのフレーズは聞こえているのだ。なぜなら、貴方はそのフレーズを知っており、なおかつ口から出すことができるからだ。

 私は、音声編を通じて、「出せない音は聞き取れない」と繰り返し述べてきた。それは、多くのEnglish speakerが主張するところと一致する。そして、「出せる音」には、「こういう音を出そうとしているのだろう」という予測も含まれるのである。なぜ予測できるか? それは、自分も同じように発音しているからだ。speakingとlisteningの関係の深さがお分かりいただけるだろうか?

②音を「省略する」

 現象としては先程と同じだが、分けて考えた方が全体像を捉えやすいと判断した。
 特に注意したいのが、代名詞に含まれる「h」だ。「he・his・him」「her」が該当する。このうち、「him」「her」の「h」は発音しないのが基本だ。両者は「目的格」と呼ばれ、動詞の後ろに置かれる。すると、動詞と代名詞が一息で発音されるという現象が起きるのだ。日常会話で頻出(というか乱発?)の現象であり、必ず知っておくこと。音のつながりについては、次項で説明する。
 

③音が「つながる」 

 単語の最後と次の単語の先頭が、1つの音になる現象だ。「リエゾン」「リンキング」と呼ばれ、日本社会でも近年、広く知られるようになった。貴方も一度は耳にしたことがあるだろう。
 様々なパターンがあるので、一度に覚えようとするのは現実的ではない。とりあえず、以下の例は知っておこう。

 I had done. → 「I hadone」のイメージ
「had」の「d」と「done」の「d」は同じ音なので、くっつけて発音される。「体育」は文字としては「たいく」だが、発音するときには「たいく」と言っているハズだ。それと同じことだ。
 なお、文字として同じかどうかではなく、音として同じ(似ている)かどうかが重要だ。具体的には、「tとd」「bとp」でも上記の現象は起きる。音を出すための口の形が同じだからである。「口の形?」となった方は、コチラ↓を参照あれ。

 ②で紹介した、代名詞の「h」の省略との合わせ技も頻出だ。
 I'll ask him. → 「I'll askim」のイメージ
某有名CMでも紹介されたネタ(笑)だ。本当によく出てくる表現なのだが、聞き取れない日本語speakerも多いだろう。

 I'll drive her. → 「I'll driver」のイメージ
なまじ「driver」という単語を知っているだけに、「?」となりやすい。と言うか、私はなりました😅。文法的に考えればdriverなハズがない(動詞がなくなってしまう、名詞に冠詞などがついていない)のだが、実践の場でそんなことを考えている余裕はない。1回目で聞き取れる人は、かなりセンスがあると言ってイイだろう。

 まだまだ紹介したいパターンはあるが、とりあえずここまでにしておく。大切なのは、実際に飛んでくる音をそのまま受け入れるマインドだ。文字を見ない、小難しい理屈を捻り出さない。

④音が「弱くなる」

 「弱形」「曖昧母音」などと呼ばれる。「音」というより、「音が弱くなる」という現象を理解することが大切だ。発音記号にすると「ə」。「schwa」というドイツ語名もあるらしい(最近知りました😅)。
 例えば、「beautiful」の「ti」「fu」の部分は弱く発音されるので、発音記号で表記すると「ə」となる(他の表記をされることもある)。
 ここで大切なのは、「どう発音するか?」などと間違っても思わないことだ。重要でない音だから弱く・曖昧に発音するのであって、どう発音するかなどドーデモイイ。実際、「aでもiでもeでもない音」という説明がなされることがある。要するに、発音しやすいように発音すればイイのだ。correct pronunciationが身につけば身体で分かる感覚なのだが、「学問研究の対象」として捉えてしまうと、現象として理解しているのに実践できない、という奇妙なことが多発する。
 なお、曖昧母音について、分かりやすい図解があった↓ので、紹介しておく。


⑤音声練習を続けるためのマインド

 本記事は技術的に難しい内容を含んでいる。ぶっちゃけ、この内容をスッと理解できるくらいなら、とっくに英語を話せる・聞き取れるようになっているだろう。理解は後だ。練習あるのみ‼️
 とは言え、理解していないことを練習し続けるのは精神的にキツい。そこで、本記事の締めくくりに、音声練習を続けるためのマインド(上級編)をお届けする。私自身がEnglish speakerとなる過程で感じたこと、覚醒後に学んだことを紹介する。


・音を捉えるまでは、文字を見ない。
 
 語学と言うと、とかく「テキストを開いて〜」となりがちな日本社会。それはそれで大切なことだが、文字から入ると言語学習は苦痛である。言語習得は必ず音から。聞こえた音を自分の中でも真似(sound imitation)できるようになってから、「ところで、これを文字で書くとどうなるんだろう?」となるのが自然な順序だ。特に、英語は発音と綴りの乖離が大きい言語であり、先に文字を見てしまうと、実際に飛んでくる音を素直に受け入れられなくなる。日本語speakerが英語を聞き取れない理由は、ほとんどがこれである。
 なお、「文字から入っても、正しく音を操れる」という人も当然存在する。きっと、音感が鋭い人なのだろう。イイなぁ‼️ その人達は、文字から学べば良いだけの話だ。


・文法は、音を操れるようになった後に学ぶ。
 
 まずは、言語として最低限使えるようになること。その後に法則性を理解することで、より高度に、より正確に言語を使いこなせるようになる。日本語を使えるようになった時は、そうしたでしょ?
 ちなみに、英語は文法が超シンプルな言語だ。英文法で躓くようならば、他の言語の文法など覚えられるハズがない。嘘だと思うのなら、アラビア語orスペイン語の文法を学んでみればイイ。動詞だけでなく、名詞・冠詞・形容詞(!)までが複雑に変化する。これを一覧表などでいきなり覚えようとすると、頭がおかしくなる。
 そうではなく、音として・言語として捉えた後に、「実はこういう法則性があるんですよ」と言われて、「へぇ〜」となれば良いだけの話だ。まぁ、その頃には、「単に音を揃えているだけじゃないか!」とツッコミを入れられるようになるが😄。
 いずれにせよ、文法は音を捉えた後に学ぶと非常に優秀なtoolなのだが、その使い方を誤ると無用な混乱を生む。


・「1つの音=1つのイメージ(意味)」と思う。
 
 例えば、「What do you want?」という文を読むとき、いくつの音が聞こえてくるだろうか? 「whatは2音節で〜」などと考えたら、大間違いである。正解は「3」。無理矢理カタカナ表記すれば、「ワ」「ジュ」「ウォン」の3音が飛んでくる。人によっては「ワジュ」で1つのように聞こえるので、「2」も正解だ。
 「6」と答えた人は、文字を追っている証拠だ。辞書に載っている「音節」「アクセント」などは、実用の場では役に立たない。音声環境が整っていなかった時代には有効だったと思うし、これで英語を習得した先輩達はスゴいとも思うが、現代においてどうなのかは、ここまでの内容を理解した貴方には分かるだろう。
 「音節」「単語」という発想を捨て、1つの音で1つのイメージ・意味(例えば、「ワ」=疑問)だと思うことが大切だ。ちなみに、フランス語では一般的な感覚なので、英語の音を習得したら、是非とも挑戦してみてほしい。


・ネガティブな感情を肯定する

 見るからに「軽薄な」「小娘」(失礼🙇‍♂️🙇‍♂️)がペラペラなのに、「賢い」自分は英語を使えない。それが、英語の(と言うか、言語の)世界だ。言語は「勉強・学力」ではなく、「スポーツ・練習」なのだから、仕方がない。勇気を持って認めよう。「自分は英語を使えていない」のだ。
 その悔しい気持ちに向き合い、練習する方向にエネルギーを使えば、いずれ必ずできるようになる。10年続けた私が言うのだから、間違いない😅。 
 いや、どう考えても時間がかかり過ぎだ。私の場合は、「自分は頭がイイのに〜」「自分は留学したことがないから(と言うか、海外に行ったことがない)〜」「自分は言語センスがない(全くだ‼️)から〜」「自分は文法は完璧だから(実は大きな誤解があった。文法編でお話する予定だ)〜」などの心理が障壁となっていた。くまりん19の記事を読んでマインドセットを改めれば、貴方はもっと早く英語を話せるようになるハズだ😝😝。
 なお、いつも言っていることだが、決して自分を責めないこと。英語ができないのは日本社会and日本語のせいであって、貴方のせいではない。自分にはどうしようもないことで、自分を責めるのは不健康だ。合言葉は、「俺が英語を使えるようにならないのは、日本社会のせい」。


 という訳で、今回はここまで。안녕히 가세요(アンニョンヒ カセヨ)!

夢が叶ったんじゃない。
叶うまで、夢を見続けたんだ。

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