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海の人たち

こんばんは。kです。
おうち時間が増えますね。

自分の機嫌を良くするために
(という以上に気持ちが落ちないようにするために)
こんなに気持ちや体調に耳をすませているのは一体いつ以来なのだろうと少し反省です。

自分が何が好きで、どういうことに心地よさを感じるのか
改めて考える良い機会かもしれない。

まずは健康でいたい、ということなのだけど。

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さてさて、今回は外国のこと。

と言っても、しばらくインドのチェンナイにいたので、
チェンナイで出会った人についてや考えたことなどを。


「海の人たち」


チェンナイは南インドの東側に位置していて、
人々は海の恩恵を受けて暮らしている。
ガンジス川付近に住む人と違い、
沐浴も海に入って行うのだ。

ある休日の早朝に海に向かった。
日の出と共に始まる魚市場が近くにあると聞いたので、
まだ暗いうちにUberタクシーを拾い、
ショッピングモールや会社の立ち並ぶ大通りを抜けて、
市街よりは少し小さめの住宅街の中を通り、
狭い路地で降ろされる。
ここからは歩いていけ、と
手振りとなんとなくの英語で言われる。


タクシーを降りると、ツンと生臭い匂いが鼻を刺激した。
コンクリートの地面もすぐに終わり、砂浜を歩く。
よそ者がやってきたぞ、と
人だけでなく野良犬や野良猫にも見られる。
掘っ建て小屋の間を通り、小さな魚市場にようやく到着する。


しかし、人はいるが魚がいない。
少し早く来すぎたようだった。
女性や幼い子ども、老人が自分たちのテリトリーを空のカゴで示している。


日が昇り始める。
暗くてほとんど何も見えなかった海に人影が見える。


そう、男性たちが漁から帰ってきたのだ。


船が岸辺について、男性たちは網を港に引き揚げる。
静かなはずはないのだけど、
彼らの息のそろったそれは静寂な凄みを感じる。


そうか、
日常の営みは普段そこにいない者には静けさを感じさせるのか、
とひとり思う。


小ぶりな鯛と
ホタルイカのような小さなイカを
袋いっぱいに詰めて家路に着いた。

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(2020年4月13日に02:00に掲載された文章を再掲載しています。)

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