技師事件簿1~貞操が奪われる~

仕事をしていると、毎日色んな出来事がありますね。
腹が立つこともしんどいことも、はたまためちゃんこ笑えることもあります。
それらを事件簿と称し、残していこうという所存です。
守秘義務、個人情報、身バレ防止のためにフィクションも交えつつ真実は8割ぐらいのスタンスでお願いします。

事件簿1 貞操が奪われる

ふぁ??って感じですが、1年目に体験したことです。

容疑者は80代入院患者さん。
看護師さんと一緒に車いすで胸部撮影にやってきました。

被害者は20代放射線技師。新人。入職して間もないひよっこです。

手すりを持っても不安定だったので、プロテクターを装着し介助に入ります。
先輩に曝射ボタンを押してもらい、私は患者さんを支えます。

背中を支えて正面撮影。
続いて側面です。

腕が上がらず、頭上の手すりを掴むことができなかったため、
患者さんに向き合って立ち、私の肩を持ってもらいました。

私は、患者さんが転倒しないようにズボンの腰のとこを
しっかり掴みます。

そう、この姿勢、患者さんの顔面が目の前です。

「おおきくいきをすってーーしっかりとめてくださあーい!」
うーーん控えめに言うても近すぎる!!
先輩はよ撮ってくださあああああい!!

バシャッ ゴゥンゴゥンゴゥン…(ブッキーが揺れる音)

「らくにしてくださいぃ」
って顔を上げたら

目前に爺のキッス顔

2㎝のとこに患者さんの顔ー!!!!

「ぎょわぁあ!!」

逃げなければ!奪われるぅ!

しかしこの人の安全をまもってるのは私の手


この手を離したらこけちゃうかも!
そうなったら、この部屋で起きたことは私の責任!!
私が手を放してこけてしまったら!
万が一頭ぶつけたら!
億が一打ち所が悪くてお亡くなりになったら!
どうすればぁ!あああ!
絶体絶命八方塞がり四面楚歌背水の陣 陣?(ちょっと違う)

唇奪われるなんて学校で教えてもらってへんわぁ…
実習でもそんなんなかったぁ…
放射線技師ってこんなことあるんやぁ…
ちょっときつすぎひんかぁ…
聞いてへんでぇ…
お彼氏すまね…
と諦めようとしたそのとき

「それはだめですー!!!!」

 間一髪のところで先輩が気付いて
私と患者さんの間にカルテを差し込んでくれました。

「ついつい~ごめんやんか~」と笑う患者様。

半泣きのワタシ。

新卒ひよっこ。
入社2カ月病院の洗練を受けたのでした。

一応未遂です。(実話)

今では完全に笑い話なんですがね。
今やったら頭突きかますか
むしろこっちから奪いにいきますよ。え



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