ドームの2階席から見下ろした世界はあまりにもうつくしかった。 突き抜けるほどに高い天井。来訪を祝福するかのように降り注ぐまばゆい照明。端から端まで伸びる巨大なステージ。 そして――無数の観客席。 開演2時間前の座席は人こそまばらだったが、今はからっぽの空間にも、数十分のうちにたちまちペンライトの色が宿るのだろうという確信があった。 これがライブ前の空気――。 会場に踏み入れた瞬間の恍惚感を、私は未来永劫忘れることはないのだろう。 『NCT DREAM TOUR