高安(角田)奈緒子さんのWNI退社とウェザーマップ移籍を考える。

2022年3月29日限りで角田(かくた)奈緒子キャスターが惜しまれながら株式会社ウェザーニューズ(WNI)を退社したが、4月に入るとある気象予報士がTOKYO MXの堀潤モーニングFLAGでデビューを果たした。
その名は高安奈緒子。名門ウェザーマップ所属。

その高安さんのキャッチコピーはとても興味深いものがあった。

彼女については、ウェザーニュースLiVEを見続けてきた人には説明不要であろう。

愛称は「なおこーん」。これはWNI角田奈緒子キャスターの非公式愛称でもある。彼女は元々学生時代からこの愛称で呼ばれ続けてきたが、キャスターデビュー時に愛称を決めるコーナーが設けられてWNIの公式愛称である「なおちゃん」の次点に終わってしまったが、その時のインパクトが強かったのかなぜかその後も彼女のことは非公式に「なおこーん」とか「こーん」とか呼ばれてきた経緯があった。

WNIも依田(よだ)司さんをはじめ、同社に所属する気象予報士の派遣事業を行っているが、テレビ局などへの派遣を前提に気象予報士の有資格者を数多く集めて実績も豊富なウェザーマップに比べたら体制は貧弱であると言える。かつて読売テレビに同社所属でSOLiVE24のキャスターも務めていた気象予報士の木島(きしま)由利香さんが所属し「朝生ワイドす・またん!」に出演していたが、木島さんが産休を余儀なくされるとWNIは後任の予報士を送り出すことが出来ず、代わってウェザーマップから後任の予報士が着任した。
※木島さんのWNI内での身分はよくわからない。

 筆者は最近まで、ウェザーマップは気象予報士派遣事業に関してはWNIのライバルのような印象を抱いていたが、実態としては大人と子どもであると言える。木島さんの時は単純に派遣するべき人材がおらず、自社では後任を送ることができなかったのであろう。したがって彼女は今後産休期間が終わったとしても、ウェザーマップ所属の予報士が番組を務めている以上は、読売テレビと同社との契約が終了しない限りは彼女が番組に復帰できる見込みはないだろう。

WNI所属で地上波放送で活躍している気象予報士と言えば、依田司さんの他はウェザーニュースキャスターとして籍を置きながら、現在、テレビ朝日系列の報道ステーションで気象予報士を務める眞家(まいえ)泉さんなどがいるが、全国津々浦々に気象予報士を派遣しているウェザーマップと比べると数は限られる。逆に言えば現在のWNIにとってはウィークポイントであると言え、気象予報士の資格を有する高安さんは是非とも引き留めるべき存在であったと思われるのだが、WNIは彼女を引き留めることはできなかった。

印象に残ったのは、「ウェザーニュースNG」の番組中で高安さんと同時期にWNIを退社した武藤彩芽さんについて意見を求められた石橋知博常務取締役(通称・バシ)と村田泰謁(ひろゆき)総合プロデューサー(通称・ムラP)は何と「ノーコメント」とし、2人の幸せを祈るだけと話していたが、高安さんのウェザーマップ移籍はWNIにとってはかなりの打撃であったことは容易に想像がつく。

一方でウェザーニュースキャスターはWNIの社員ではなく、同社と専属契約を結んでキャスターなどの業務に従事しているとされ、本人から契約解除の申し入れがあれば契約は打ち切りとなる。逆に会社側が必要がないと判断すれば契約は終了するとみられる。常識的に考えて、WNIが高安さんのウェザーマップ移籍を支援していたとは思われず、彼女はWNIには3月限りでの契約終了の意向を伝えたうえで自力で「就職活動」を行い、ウェザーマップに気象予報士として採用されたと考えるのが妥当であろう。

なお、ウェザーマップは芸能事務所的なマネジメントを行う会社であり、所属する気象予報士はそれぞれフリーの個人事業主である。WNIと契約を結んでウェザーニュースキャスターを務めていた頃の契約内容はよくわからないが身分的には同社の契約社員または、現在と同様に同社と専属契約を結ぶ個人事業主(一人親方)であった可能性もあるが、気象予報士として多方面で活躍することにかけては、現在のようにウェザーマップに籍を置くことの方が有利なのかもしれない。

また、高安さんは2020年12月に結婚していることを公表していたが普通、この業界関係者は結婚して名字を変更した場合でも、なじみのある旧姓で活躍することが多い。それでも彼女はこれまでなじみのあった「角田」は用いず、あえて結婚後の名字と思しき「高安」でいくことになった。また、WNIで呼ばれてきた愛称の「なおちゃん」もあえて名乗らず、これまで非公式であった「なおこーん」をあえて愛称として用いている。このことから現在のウェザーマップ気象予報士としての活動はこれまでのWNI時代とは「断絶」があると考えられる。

また、2022年3月で戸北美月(ときたみづき)キャスターが同志社大学を卒業してこれまでの学生アルバイト的な雇用形態から「本採用」的な立場へと移行したと思われることから、「10」と思われるキャスターの定数が1つオーバーする状況になったことも高安さんがウェザーマップへ去ったことと無関係ではなかったと推定される。

WNI側はこれまで多くのキャスターOGがそうであったように、高安さんについてはせいぜいマイナーな事務所での活動継続は想定していたかもしれないが、それが気象予報士派遣にかけては「名門」と言えるウェザーマップに所属して、TBS及びTOKYO MXのニュース番組に気象予報士として登場。現在のように活躍するとは思ってもいなかったことだろう。

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