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コンセプトプラン、サッカー談義

学生Q.観光地を設計するにはやはりイメージづくりが大切なのでしょうか。最近、マイナーな隠れた観光地を求める人々が増えたきたということを聞いたことがあります。将来、観光地の概念は変わっていくのでしょうか?
コクジーA.イメージづくり、というよりはコンセプトづくり、といった方が良いでしょう。イメージは作り手だけでなく、伝える人や受け止める人によってかなり曲げられる可能性があるからです。あるいはイメージは受け止める側の人が作り上げるもの、と言っても良いかもしれません。しかし、コンセプトは地域側で綿密に検討して自主的に作り上げることができます。観光地側の色々な立場の人がコンセプトを無視した施設やデザインや機能を追い求めると、ばらばらになってなんだかわからなくなってしまいます。それを防いで、ひとつのテーマでまとめていこう、というのがコンセプト・プランづくりなのです。後段の質問は君の考える通りです。隠れた観光地というより、従来は観光地とは言わなかったような所を訪れる人が増えた、ということであり、そういう人たちは「観光客」という言葉では言い表せなくなっています。観光協会という組織が観光地にはある、と授業でお話したと思いますが、最近は「ビジターズ・ビューロー」という名前を使うところが出てき始めました。そういうような表現も君の指摘と同じ流れです。ついでに言っておくと最近DMOという言葉がはやっています。観光庁の規定した日本版DMOの定義は・・・『地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人=Destination Management Organization とされています。何か最近急に注目されてきた言葉のように思いますが、要は観光協会のバージョンアップです。とはいえ、従来の観光協会はあまりに貧相な体制、創造性のない活動に従事していましたから、人心一新・組織改編ということでしょう。でも新鮮な言葉に飛びつくのではなく、古くからあるものを見直すことにも注力したいものです。先人の積み上げてきたものには敬意を表すべきです。

学生Q.最近授業中におなかがすきます。これからの時期、スタミナが必要なので、学食に加古川名物「かつめし」を入れてほしいですね。
コクジーA.君は甘い。静岡名物「ウナギパイ」というお菓子の包装紙には「夜のお菓子」と書いています。スタミナに関してはこっちに負けるでしょう。人気が出て、メジャーなお菓子になっても、そのキャッチコピーは変わっていません。甘くておいしいけれど、子供のお土産にはなりません。ところで、加古川ではないのですが、姫路にばかでかいアナゴを使ったドンブリがあると聞いたのですが、もし知っている人や食べた人がいたら、教えてください。

学生Q.今日は昨日の疲れが残っていて、授業中に少し寝てしまいました。すいません。ところで、今は意外なものまで観光資源になるんですね。私は個人的に老人ホームや保育園で手伝いをするのが好きなんですけど、いつかはそんな光景も観光の対象になりますか?
コクジーA.君のボランティアは貴重なものだし、誰もができることではないと思います。でもいくら想像力を働かせても観光資源となるかというとどうかなぁ。別の講義で事例として紹介することがあるのですが、愛知県足助町の老人福祉施設「百年草」ではおじいさんがソーセージづくり、おばあさんがパンづくりをして、観光客向けのレストランで提供しています。結構いい味で、観光客にも受けています。そういう形での観光貢献はあるでしょうね。観光が発展すると、地域住民とりわけ高齢者の人々の生き甲斐を生み出します。

学生Q.今日は自由席に座ったので、少し私語が気になって集中できなかった。授業と関係ない話ですみません。気になって仕方ないのですが、もうすぐチャンピオンズリーグが始まります。先生はバルセロナとマンUどちらのファンですか?
コクジーA.私は、悪いけどリバプールです。メッシは万引き少年が逃げ回っているみたいだし、ロナウドはフェイントが悪趣味になってきています。マンUなら素直にうまいルーニーの方が好きだし、一番の好みはオーウェンですかね。でもやっぱり、30年前にケビン・キーガンが活躍していた頃のリバプールが好きでしたね。昔からのファンなのでこれはしようがないです。ナショナルチームということでは、チェコやユーゴなどの東欧のサッカーが好きです。へそ曲がりですけど。ところでプレミアファンなら、トットナム・ホットスパーズに所属していたアーチー・ゲミルという選手を知っているかな? ユーチューブでも動画は見つからないかも。とにかく走り回る中年おじさんでした。ああいう、労を惜しまない選手は少なくなったなぁ。

学生Q.先生、先週のQ&A読みました。僕もリバプールは大好きです。ジェラードやトーレスのサッカーが好きですが、一番はネドベドですよね。惜しい選手が引退しました・・・(泣)。
コクジーA.一時、ジェラードがセリエに移籍するのでは、という噂が流れたことがありました。私は自信を持って反対しました。誰も聞かなかったけど・・・。「イタリアン・ジェラートはすぐに溶けてしまうで。それで手も服もネドベドになってしまうで」・・・・ブーイングかな?

学生Q.観光地の見所を朝昼夜に分けた時の代表的なものを教えてください。
コクジーA.見ることの出来る時間があらかじめ限定されているものもあります。授業中に話した「朝市」などはおおよそ6:00-10:00あたりに開かれますから、大学生諸君には無縁かもしれません。自然の妙というか、見頃というのは様々ですが、雲海、ご来光、落日などははっきりしています。たいていの場合、早朝と日暮れは景色が美しくなるようです。有名な赤富士というのは、日の出の一瞬に真っ赤に染まる富士山だったと思います。瀬戸内海は夕刻、風がハタと止む「凪」の光景が美しいです。だいたい朝は空気に透明感があって、何を見ても綺麗に見えます。彼女とデートする時も朝6時から8時くらいまでがベストです。一物多価という言葉を知っていますか。同じものでも多様な価値を持つと言う意味です。春の桜は何万人もの人を集める魅力がありますが、花が散ればだれも見に来ません。多くの観光資源は旬や遊び時があるのです。好天と雨天でも価値は変動します。だからオンとオフがあって旅行費用も変動するのです。車やテレビでは価値の変動はそうはありません。車を売る、なんて商売は観光事業と比較すれば簡単なんですよ。

学生Q.写真を見て感じるものと、行って自分の目で見るのでは、伝わる思いが全く違う。どうしてだろうか? 授業中で出てきた伊勢神宮の話もそういうことを言っていたのですね。
コクジーA.人間の五感というのは、すごい能力だと思います。単に視覚だけで判断するなら、写真や絵画でも魅力を感じることはできますが、鬱蒼とした杉並木を歩く時にひんやり頬をなでる風、玉石を踏み分ける時に生ずるザクザクという音、古い建物からそこはかとなくにじみ出てくる匂い、そういうものが一体となって、伊勢神宮を取り囲んでいるのでしょう。正殿に到達するまでのリズム感・・昔の人の空間設計理念はたいしたものです。もちろん、伊勢神宮がどういうものなのか、ということをいかに事前知識として持っているかどうかも大きく影響します。

学生Q.奈良公園の鹿はとても凶暴と聞いたことがあるんですが、どうなんですか?
コクジーA.凶暴というほどではないと思いますが、確かに餌のねだり方は厚かましいのぉ、と思います。小さな子供だと押し倒したり、確かに恐怖感を与えます。奈良だけでなく宮島もそうです。一度ゼミ生とともに観光客にアンケートをしに行ったことがあるのですが、用紙を奪われて食べられるのを防ぐのに大変でした。元はといえば、可愛い可愛いといって、餌をふんだんにあげていた人間の方が悪いのだと思います。

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