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余暇と自由時間、公的宿泊施設、テンミリオン計画

学生Q.今までグリーンツーリズムとエコツーリズムの違いがよくわからなかったのですが、事例写真を見たりすることで少しイメージが確かになったような気がします。事例としてあげられた新潟の農村はすごく魅力的で私も行きたいと強く思いました。でも先立つお金が貯まっていないのが現状です。結局、余暇を楽しむためには、必死で労働しなければいけないということですね。そうすれば余暇時間がなくなるし、なんだかよくわかりません。
コクジーA.色々な講義で私は言っていますが、余暇という字は「余った暇」という意味です。金八先生のせりふみたいですが・・。君たちは金八先生といってもわからないかな。余った暇というのは「労働は正しく、その他は付け足しのようなもの」という思想を表しています。明治の開国以来、欧米に追いつき、追い越せというスローガンのもと、社会も国民もみんな労働至上主義を引きずってきたのです。そのおかげで、日本は経済的には先進国の仲間入りができたのですが、これからは、「余暇」ではなく「自由時間」と称して、「人は何のために生きるのか」を考え直しましょう。


学生Q.先生、よく頑張りました! 良い授業でした。
コクジーA.それほどでもないよ・・なんて、まともにリアクションしていて良いのかなぁ。それはともかく、正直に言いますと、以前、私は教員になりたてで緊張していた頃、奇妙な夢を見たことがあるんです。この大学では教員も皆4年間のうちに128単位をとらないと学生に格下げされる学則がある、という夢です。なんじゃそれ、と思いつつ、学生に混じって教員も皆履修届を出して、授業を受けていたのです。夢ですから、あらすじはアバウトですが、確かあと2単位でOKという時にどういうわけかドイツ語の定期テストの試験教室の場所がわからなくて大学の中を85分くらいかけて探しまわりました。「あと5分で終わりじゃー」と思いつつもどういうわけか、まだ学食の中をうろうろ探していたり、そして気持ちは焦っているのに全然足が動かず、学生で押し合いへし合いの廊下では前に進めず、ついにギブアップしたのです。変な夢だけれど、教員も結構悩みやストレスが多いのです。君の激励のおかげで胸くそ悪いことを思い出してしまったよ。

学生Q.農村で昔の家を手入れし、宿泊施設にしているのを見て、観光地ではない所も努力しているんだなぁ、と思った。私も泊まってみたいと思った。
コクジーA.ケーススタディで紹介した高柳の宿泊施設には、①古い民家をそのまま移築したもの、②古い民家を真似て新しくつくったもの、③環境は農村であるが新しい素材やデザインで作られたコテージ、などのタイプがありますが、①に圧倒的な人気があるそうです。でもテレビはないし、部屋に鍵はかかりません。トイレも共同です。君たちは大丈夫かな?

学生Q.観光の勉強は難しいです。
コクジーA.やさしいものは何もないです。やさしいと感じるのは目標や理想を失った時かも。その時あなたはおそらく不幸。

学生Q.私は観光行動における「ノーマイカーのシステム」は環境にも良いし、周りの地域の交通機関も活性化されて良いと思うのですが、ノーマイカーについての長所、短所を教えてください。
コクジーA.マイカー規制は言うまでもなく、環境保護のための手段です。しかし、代替交通(バスなどの公共交通機関)への乗り換えに関して、観光客に不安を与えないわけではありません。自分の車を置いておく駐車場自体がオーバーフローしていて空きスペースがなかったら、どうすればいいのか、並ばずにバスに乗り換えられるにはどれくらい早く出かけねばならないのか、そういう情報が出発前にはないため、スケジュールを立てにくいのです。また、小さな子供やお年寄りがいる場合には自家用車の便利さは否定できません。でも自然環境の保全のためにはこういうシステムは必要です。上高地、乗鞍、尾瀬などがよく知られています。私は中国雲南省の五龍雪山という山岳観光地でも経験しましたが、あちらは桁違いの規模でした。乗り換えの公共バスの数にも驚きましたが、ケーブルに乗るのも前日に予約しなければいけません。それよりなにより、観光客の多いこと。確か標高は5000mを越える山だったと思いますが、中国という国は何をコントロールするにしても桁違いの仕組みや労力、エネルギーが必要なんだなぁ、と思いました。

学生Q.山里の古民家でかやぶきの家に人気があるらしいのですが、茅葺きって何ですか? 
コクジーA.そうか、知らないか・・。普通、家の屋根は瓦かスレートかあるいはトタン(もうない?)などで作られていますが、カヤというのは河原に自生するススキのような草のことで、葦とも言います。上部で長い茎葉を束ねてそれを屋根材にします。部屋の中ではいろりの煙が全体を燻して耐久性を確保しています。換気や空調も自然に行われて快適ですが、白川郷のような大きな合掌造りの家ですと、葺き替えるのに総額2~3000万円もするそうです。それだけ貴重なのです。耐用年数は20年、30年といった長さです。ただ、葺き替えといっても、茅場が消失して材料が枯渇し、職人の不足も顕著で、いつまで維持できるか、心許ないですね。

学生Q.「エジプトで水をくれ、と言ったら、泥水が出てきた」という先生のエピソード、とてもおもしろかったです。これが文化の違いなんだなぁとも思いました。衛生面で安全な国、日本。この技術を発展途上国に分け与えて、手助けをしていけたら、いいと思う。アメリカもハリケーンの影響で悲惨な状況に陥っているので援助していくべきだと思う。
コクジーA.水は大事です。生きていくために最も必要なものといっても良いでしょう。そういうものをベイシック・ヒューマン・ニーズといいます。アフガニスタンで努力されている中村医師などはまさにその部分の貢献で国民に感謝されています。ところで、エーッと驚くような話は海外旅行をするとたくさん転がってきます。私のエピソードはどちらかというとくだらない話ばかりなのですが、パキスタンのカラチという町でのこと。露店の黒いゴマ団子がうまそうで、「それ、ひとつ頂戴・・」と言って、金を払おうとしたら、手品のようにアッという間に真っ白の団子に変貌。たかっていた無数のハエが逃げただけでした。諸君は途上国を訪れた時にはお店でビン入りのコーラを注文してはいけません。ボトリングは結構、彼らの技術ででもできるのです。そこで不衛生な水が使われます。しかし、カンコーラは大丈夫。カンにコーラを詰める技術は難しいらしいのです。だから売っているのはすべて輸入物です。では注文したコーラがグラスに入って出てきたら、どうか。氷が入っていると、それが溶ける前に飲まねばなりません。そんなん冷えていないのに意味ないやん、なんて言わないこと。汚い水で氷を作っているからです。そして即ストローをもらいましょう。急いで上澄み液を飲むのです。汚れが上に浮くか下に溜まるかは賭けですが、大概は下にたまります。ただし、目に見えるよごれだけですが・・。でもストローがキレイか、というとこれは100%汚い。絶対何回も使い回ししています。もう絶望的です。頭に来て、ゴミ箱にストローを投げると中はゴキブリだらけで追い打ちをかけられることもあります。参ったか・・ということです。そうした数々の不幸を克服することから途上国観光の醍醐味が始まります。おなかを壊した時に一番良く効くセイロガンは観光客やビジネスマンにとって必須のアイテムですが、国によっては怪しげな麻薬と勘違いされ、空港の兵士に別室につれていかれることもあり。諸君はカービン銃でホールドアップされたことはないでしょうが、私はモロッコの空港で取調室まで連れて行かれました。あれはかなり気持ち悪いです。何も悪いことはしていなくても。結局は搭乗客からタバコ一箱せしめるための芝居みたいなのですが・・・。向こうの芝居に乗ってあげないとハズミで大事件になる可能性もあります。何かクダを蒔き始めたので、この辺でやめましょう。

学生Q.先生がエジプトに行った時にお店でナイル川の泥水が出てきたとおっしゃっていましたが、あれは客の先生が日本人だったからですか?
コクジーA.まさか。そんなに嫌われていないですよ。むしろアラブや中東の人たちはものすごく親日的でした。当時、彼らはアメリカよりも本心ではロシアを恐れているように感じました。ロシアは軍事的にずっと南下政策を採ってきました。黒海を経て、とにかく南の海の出口を確保したかったのです。とりわけトルコにはその思いが強いようです。イスタンブール市の真ん中に位置する幅の狭いボスフォラス海峡がクリミア半島のロシア海軍基地から地中海へ出る唯一の水路なんです。ここを潜水艦で通過されるのをトルコ当局は強く警戒しています。この海峡を横断する橋梁や海底トンネルは日本の経済協力で作られました。ロシアの南下圧力を歴史的にずっと感じていたトルコや中東の人たちにとって、巨人ロシアを日露戦争で破った小国日本は一躍人気者に、そして尊敬の対象になったのだそうです。ずいぶん古い話に固執する人たちですが・・。でも、条件付きとはいえ、日本もイラクに派兵するなど、彼らの日本に対する気持ちもずいぶん変わってしまったみたいです。残念!! なお、トルコの観光はとても魅力的です。文化遺産はすごいし(でもギリシャ由来の文化遺産なので、トルコ政府はいまいち保護に熱心ではないとか・・)、カッパドキアのような奇観も見られるし、食べ物はおいしいし(脂っこいサバをオリーブオイルで付け焼きにするのだけは感心しませんが)、土産物も豊富です。友人は海泡石のパイプを買いあさっていました。イスタンブールには仕事で訪れたのですが、私は夕刻には絨毯屋に一週間通って、延々蘊蓄を聞かされ、小さな絨毯を購入しました。帰国後、奥さんに「これはまた暑苦しいのぉ・・」と言われて、あわれ絨毯は納戸行きになってしまいました。くそっ・・ですわ。ところで近年は偽物の絨毯で観光客を引っかける悪徳商人もいるそうです。対策としては裏地をよくチェックすれば簡単だそうです。偽物や安物は裏に模様がありません。長持ちするのはウール製ですが、シルクのものは壁掛けにでもするととても豪華です。

学生Q.インドに行った時に泥水が出てきたんですよね? それって飲んだんですか? めっちゃ気になります。もし飲んだんなら体は大丈夫でしたか? 
コクジーA.反響が大きいね。泥水、結構刺激的なエピソードだったみたいですね。でもインドでの体験ではなく、エジプトです。インドに申し訳ない。でも総合力で言えば、インドの方が怖いです。死体も流れてくるという話があるガンジス河の水が直接飲み水で出てくるとは思いませんが・・。エジプトでは飲みましたよ、水割りにして急いで。ウイスキーを入れたら、同じ茶色だし、アルコール消毒になるだろうし、ということで。そのときは大丈夫でしたが、一般に食べ物に当たるより、水に当たるほうが症状はきついです。ところで、男性にとっておきの話。エジプトのホテルのフロントの女性はほぼ全員クレオパトラ級の美人です。NOVA程度の英語力なら、覚えていった単語は100%どっかへ吹っ飛んでしまうくらいです。日本語すら出てきません。泥水くらいなんやねん、というくらい感激しますよ。そのときのホテルのエレベーターの箱は両横には壁があり、前面にはドアもあるが、後ろだけ何もなかった。フロント女性に圧倒されて、ふぬけのようになってもたれていたら、大けがしていました。なんというエレベーターなんでしょうか。諸君、海外旅行は油断大敵です。インドの話が少し出てきましたが、追加です。インドの物乞いはすごいです。生まれた子供の手足を折って障害者にしてしまう親がいるとか。稼ぎが多くなるというのです。また靴磨きを頼むと、こちらがよそ向いている間にナイフで靴を傷つけ、修理代をせしめたりするとか。とにかく観光=戦いですよ、毎日。

学生Q.京都のお寺のコケの話で拝観料を上げた、ということや予約制にした、などの話をされていましたが、京都について興味があるのでもっと詳しく聞きたいです。
コクジーA.なんか、君は物事を断片的に理解する傾向にあるね。京都のコケの話でまとめられたら困るよ。大事なのは「観光地や観光施設の適正収容力をどのような方法で守るか」ということです。例として挙げたのは「苔寺」という通称で呼ばれている西芳寺の話です。観光客の来訪過多で荒れ始めた苔の庭を守るため、拝観料の値上げで利用者数を意識的に減らしたのです。人数が減っても単価アップでなんとかしのいだのです。前述したように上高地や乗鞍岳や尾瀬ではマイカー規制をしています。京都の修学院離宮では予約制で対策をとっています。いずれも多すぎる利用客数を減らす、ということですから、観光ビジネスの観点にとって痛手な話なのですが、過剰利用を継続してしまえば、肝腎の「観光魅力」が消失しまうためやむを得ません。また別の課題で京都の事例があれば話しましょう。アドリブになりますが。

学生Q.日本では家族旅行が少ないということだが、他国ではどうなのか?
コクジーA.公平に比較できるデータはないのですが、欧米先進国では家族旅行は多いですよ。逆に職場のグループによる同世代の団体行動なんて本当に少ないです。日本でも少なくなってるけど。ただ、面白いのはフランスは大人と子供を結構峻別していることです。リゾートに滞在していても、子供はキッズルームなんかに預けてしまって、大人は大人どうしで楽しむ、というスタイルです。家族団らんの場とそうでない場の両方があるということです。もちろん、子供達には専門のインストラクターが用意されています。子供はあくまで半人前であり、レストランなども原則として子供は入りにくいシステムになっています。その分、社会全体で面倒見なければならない、というのがコンセンサスです。彼らは日本の年末年始の新幹線の中で子供が騒ぎまくる、といった光景には我慢ならないでしょうね。

学生Q.今回の講義中で、前私がわからなかった一般会計と特別会計についての区別がわかるようになりました。先生の話は分かりやすかったです。
コクジーAもう一度、簡単におさらいしましょう。国の予算は例えば保険など特定の事業を行う場合、事業ごとの収支を明確にするため、財政法によって、一般会計と区分した特会の設置が認められています。つまり、特別会計とは「特定の事業や特定の資金を運用・管理するための予算」のことで、通常の一般会計予算とは別建てで、特定の財政資金を管理するために計上されているものといえます。31特会の予算規模はあわせて387兆円、特会同士の重複部分などを除いても207兆円にのぼり、例外のはずの特会が、一般会計の5倍近い規模に膨らんでいるのです。
 特別会計には、道路整備、港湾整備などの公共事業に関するもののほかにも、財政融資資金、国立学校、国民年金などの特別会計があります。それぞれの特別会計で、別個に収入と支出を経理しています。特会の資金は一般会計からの繰り入れや独自財源、民間からの借り入れなどが入り組んで出入りが分かりにくく、国会などでも透明化しにくいのは事実です。社会保険料やガソリン税など特定の財源(自分たちで調達できる)を持つ特会では、財務省も支出だけを減らせとは言いにくいのです。この結果、各特会を所管する官庁が自分の財布のように自由に予算を使い、特会は各省庁や族議員の既得権益の温床になってしまったといえるでしょう。当然、一般の国民が見ても何がなんだかわかりません。たとえば国民年金特別会計は国民が支払う年金の掛け金が収入になります。これが「独自財源、自主財源」というもので、わかりやすい例です。言うまでもなく、これは税金ではありません。しかし、特別会計ではこのような潤沢な自主財源があるとは限らないので、一般会計から助けを借りる場合があります。それが40兆円とか50兆円になったりします。従って、貴方の心配通り、税金を元にしている「一般会計」から「特別会計」へお金が流れ込んでいっていることもあり得るわけです。しかも、厚生保険特会や国民年金特会では、巨額の予算が不採算の保養施設「グリーンピア」の建設や、特殊法人や関係団体に天下った厚生労働省OBの高額の報酬などに使われていることが判明しました。「母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特会)で子どもがすき焼きを食っている」(塩川前財務相)という表現もありました。このあたりで観光分野にも影響が出てくるわけです。中小零細の宿泊事業者にとってはたちうちできるライバルではありません。ひどい例は、他の特会にも数多いと言われています。このように財政制度や特別会計制度は専門家でもなかなか理解できない部分が多いのです。でも、この観光政策論では「特別会計制度と観光政策の関係についてその概要を記せ」なんて問題を期末テストに出したりしませんから、ご安心を。

学生Q.「民業圧迫」、このキーワードが印象に残りました。特別会計の中から、観光関連産業への支出が多大であることに驚くと同時に、無駄が多いのではないか、とも思いました。
コクジーA.「公的施設」が抱える問題は「民業圧迫」と「無駄遣い」です。公的施設は建設する際や運営するにも様々な補填があります。赤字になりそうになると自治体が有形無形で助けてくれるわけです。そのため経営に工夫しなくても、という「コスト意識の欠如」が生じて、それが無駄遣いとなるし、安い利用価格によるサービスの提供が可能になります。周辺の民間ホテルにとってそれは脅威です。それが民業圧迫です。また、サービスそのものも顧客にどれだけ質の高いものを提供するか、という意識も低くなり、「安かろう、悪かろう」という状態に陥ります。公的施設は観光需要が急拡大していた時代に民間投資が追いつかない状況を補完するために生まれてきたものですが、その後そういう意味づけも必要なくなりました。国の公的施設はそれ以外に「観光の素人たち」が資産の運用や天下り先の確保のために作り出したものが多く、批判されて当然でしょうね。

学生Q.観光に力を入れるより、まずは日本という国の建て直しが必要かも知れませんね。役所が予算の確保に躍起になる構造をなんとかしないといけないと思います。
コクジーA.私も同感です。毎年3月になるとやたら道路工事が多くなることはみなさんも知っているでしょう。あれは県や市の道路維持のセクションに割り当てられた予算が残りそうになると「やばい」とばかりに使い切る努力をしているのです。余らせると次の年には、予算が減らされる(ということは事業の必要性がなかったから余ったんだろう・・という解釈)からです。これを「予算主義」といって民間人は批判します。本当は余らせた所ほど評価されるべきなのですが。しかし、これは単に役所だけの問題か、というとそうでもない気がします。われわれ大学の教員にも「個人研究費」が給与とは別に一律に支給されています。他大学の友人には「あまり多くはないな」といわれましたが、この支出目的は資料の購入やプリントの印刷代、インク代、コンピューターやプリンターなどの備品、学会出席のための旅費など、様々ですが、余った分は大学に返還しなくてはなりません。そうなると緊急に必要ではないけれどこの際購入しておこうか、という気になってしまいます。もちろん、購入したものの所有権は大学にありますが、これは間違った使い方です。公務員だけを責めるということはできないと思います。

学生Q.先生の授業はとても丁寧でわかりやすいです。けど、もう少し詳しく勉強したいのですが、たとえば、多数省庁による分担でどのような政策の重複・欠落があり得るか、またあったのか、など。9省もあったら、少々ダブルこともあるだろうけど、その対策などしているのですか?
コクジーA.プリントにも列記してありますが、もう一度確認しますね。例えば、旧通産省の電源立地促進対策交付金事業や、旧運輸省の家族旅行村整備事業、旧国土庁の山間地域総合振興対策モデル事業、農水省の農村構造改革事業などはいずれも「過疎地域の観光開発を補助する」しくみですが、目的こそ微妙に違っていても、内容はよく似ています。また、国土交通省の外郭団体に独立行政法人の国際観光振興機構と(社)の日本観光協会があります。一応、前者は外国人を日本に誘致する仕事、後者は日本に来た外国人が便利に快適に旅行できるよう配慮する仕事、というように区分されていますが、訪日観光客が日本の国境を越えるまでか、越えてからか、といったような厳密な区別はなされず、お互いが相手の土俵に上がっていろいろな事業を行っている現状があります。これらは重複の例といえるでしょう。一方、政策執行の基礎である「観光統計」はいまだに「基準」すらありません。提言はされているのですが、都道府県ではなかなかその通り従う例は少ないのです。外国から何人観光で来ているか正確に把握していない県が殆どなのです。一応、空港で総数こそ把握はしていますが。この現状については別のセクションで、講義します。また、例えば「国民経済計算」という国レベルの経済フレームの統計から観光支出・観光収入は欠落してきました。今までは大した額ではなかったからかも知れません。財務省もこれではいかん、と騒ぎ出したのはつい4,5年前です。

学生Q.「公的宿泊施設」での観光政策に投下されている税金は8000億円、1,500億円と驚く額であった。そのうえ、赤字続きだと聞き、これからこの税金を減らすことができないのか、と疑問に思った。
コクジーA.例えば、兵庫県の三木市にグリーンピアという保養地があります。これは年金の特別会計により作られた施設で毎年の維持管理費も年金の特別会計から支出されています。各地でそういう例があり、それを合計すると、「ものを作るときのお金=初期投資」が8千億円、「ものを管理するのにかかるお金=経常的経費」に1,500億円がかかっている、という意味なのです。どちらのお金も特別会計から支出されているので、税金を元にした一般会計から、というわけではありません。しかし、税金による「一般会計」から「特別会計」にもお金が投じられているわけですから、間接的には、8000億円や1,500億円の中にもかなりの税金が入っていると考えるのが妥当でしょう。さて、そういうこともあり、もう国がこういう施設を作るのはやめましょう、持っている施設は手放しましょう、ということになりました。三木市にあるグリーンピアも所有者の年金事業団は兵庫県に払い下げ、兵庫県は民間企業に運営を任せることになりました。各地のグリーンピアも同様のことをしています。運営を任せる民間企業はどこでも良い、というわけではなく、健全な企業でなくてはなりません。その他のひどい例だと、10万円というような投げ売り状態のものも出現しました。持っているだけで赤字垂れ流しになるからです。

学生Q.地下鉄を作るのにそんなにお金がかかることにびっくりしました。我々の町の地下鉄は途中からずっと地上を走っていると思うんですけど、それでも地下鉄と呼ぶのですか?
コクジーA.私はまぁ「地下鉄」でも不都合ないです。地下鉄が地上を走っても、豚が川を泳いでも、魚が空を飛んでも・・・。

学生Q.今、日本政府の観光に対する役割は「オールラウンドプレイヤー」から「マネージャー」に移動する時期でしょうか? 観光産業が大きいフランスのような国では、民間事業に任せるのはとてもリスクが大きいと思う。
コクジーA.観光界における政府の役割はマネージャー的役割よりさらに進んだ第三段階目の「コーディネーター」の役割に過ぎなくなっていると思います。それだけ民間の力大きくなってきたということですが、もちろん、繰り返し言っているように、inboundの面に限れば政府がまだ積極的に誘致の先頭にたって様々な政策を打ち出しています。この部分では「マネージャー」的役割をになっているといえるでしょう。あなたの後半の質問にあるリスクというのは、誰にとってのリスクなんでしょうか? 観光産業が成長して大きくなる、ということは、すなわち民間企業が充分活躍している、ということの「結果」なのです。かつてのソ連ではホテルも旅行業者も航空会社もすべて国営でした。倒産というリスクは低かったけれど、いずれもサービスや経営技術がお粗末で、決して発展していく素地があったとはいえません。これも「リスク」といって良いでしょう。ソ連において観光の産業的規模が小さかったから、国営で済んでいたのだ、ということもできますが、ソ連が観光大国になっていたら、企業が国営のままで進んでいたか、というとおおいに疑問です。中国でも観光的発展に伴って、国有企業は減少し、民間の公司が急成長しました。韓国でも最初から民間企業が観光部門で活躍していた訳ではありません。でもあなたの質問は、考えてみると深い内容を含んでいるかもしれませんね。

学生Q.日本も他の国を見習ってもっと外国人を呼び寄せるべきだと思った。また、日本人も外国にどんどん旅行すべきだと思う。旅行することで世界のことを考えたり、日本を見直すきっかけになると思う。
コクジーA.その通りだと思います。そして、外国人に自信を持って見ていただけるような国や自然や町や国民でなくてはなりません。まちがっても短すぎる下半身をさらに強調するような「腰パン」などはやめましょう。さすがに本学ではもうそんな人もめったに見なくなりましたが。3,4年前、教室の最前列に鼻に輪を通した男子がよだれを垂らして爆睡していたことがあります。牛舎じゃないって・・・。

学生Q.温泉法の法律の話で、入浴剤を入れて温泉を作っていた事件の話をしてくださいましたが、その後、その温泉地ではどのような罰を受けたのですか?
コクジーA.法律に違反していることは事実なのですが、警告程度だったのではないでしょうか? もちろん逮捕とか検挙された、というようなことはありません。でも当該の温泉地や旅館は大きな経済的打撃を受けました。しばらく汚名は消えないでしょう。

学生Q.inboundの増加を計るために諸外国の行った政策、事業などの例を知りたいです。
コクジーA.観光プロモーションとマーケティングが中心といえるでしょう。しかし、国家レベルの権限を独立組織に与えて、外客誘致のための観光プロモーションとマーケティングを行わせている国も多くあります。この独立組織は一般に政府が設立した観光政策受託団体(NTO)として知られており、多くの場合、政府の観光行政組織(NTA)の外郭団体として半官半民の性格を有します。日本でいえば、NTAは国土交通省観光部でNTOは独立行政法人の国際観光振興機構です。ヨーロッパの多くの国々がNTOやその他の民間組織に政策を委嘱して進める、という考え方が中心になりつつあります。例えば、アイルランドではホテル格付けや出版事業など、アイルランド観光局が行ってきた各種業務も徐々に民間セクターへと移管され、この国独特の「美しい町」事業も環境省へ移管されています。またアイルランド観光局には、観光客が最初に問い合わせるべき対象としての役割は残されているものの、財政的には中央政府から独立した組織に変わりつつあります。現在、アイルランド観光局の主要業務は観光プロモーションとマーケティングであり、最近では、ベンチャー企業の設立や外国人観光客誘致などを民間セクターとの協働により進めています。ケニア,エジプト,ポーランドにおいては半官半民の政府観光外郭団体(NTO)の設立が検討されています。問題は、これらの国の民間セクターが十分な資本力を持たないこといえるでしょう。チリ、コロンビア、コスタリカでは、商業担当省や貿易担当省が観光行政を行っています。しかし、独立した観光省を持たないために観光関連予算の確保に苦労しているのが現状です。逆に、小国のジャマイカは8カ国に17ヶ所の海外観光事務所を展開しており、ヨーロッパ諸国は一般に多くの海外観光事務所を持っています。英国観光庁(BTA)は33国に40ヶ所の海外事務所を展開しており、以下、フランス35ヶ所、スペイン28ヶ所、オランダ14ヶ所、アイルランド17ヶ所となっています。特に新しい傾向がみられるのはフランスで、例えば1955年、台湾に設置されたフランス観光事務所は、シャンパーニュ・アルデンヌ州観光協会,旅行業者,フランス鉄道(SNCF),デパートチェーン,コンコルドホテル等からの出資により運営されていのが特徴です。一方、政府による直接投資(開発事業)は全体的に減少しており、現在でも政府が直接投資を行っている国はギリシャ,トルコ,東欧諸国程度に限られます。ただし、国立公園,美術館,歴史遺産等に対する予算は別です。現在の世界各国の観光政策の趨勢は、観光産業発展のための周辺環境整備であり、民間セクターの役割はその環境下でビジネスを成功させることである、といえます。講義で示した「図」のコーディネーターの役割に至っているということになります。しかし、南米諸国においては、政府による観光事業への直接投資が盛んなのです。特にメキシコが好例で、これは3年次開講の「リゾート論」でも紹介しますが、観光開発基金(FONATUR)はかつて社会資本整備,民間への財政支援,政府直轄観光事業への投資に関するマスタープランを立案・監理していました。アジア太平洋地域でも政府による観光事業への直接投資の例はごく少なく、インド観光開発公社(ITDC)は、その傘下に所有しているホテルや交通事業者を最近民営化しました。社会資本整備に目を転ずると、エジプト政府は航空会社とホテルの民営化を進める一方、新しいリゾート地整備のための社会資本整備を南シナイ地域において大々的に行っています。そして、中東産油国も観光産業の経済効果を認め、自国経済の多様化のために、観光関連の基盤整備を推進しつつあります。中東の香港と言われ始めたドバイが好例です。そして、民間の観光開発に対する財政支援制度はほとんどの国が行っているといえるでしょう。フランスのスキーリゾートはその例であり、降雪状況が悪いために観光収入が悪化したシーズンには財政援助を受けることができます。また、他のヨーロッパ諸国と同様に、ホテル近代化事業を進めており、低開発地域への投資に対する融資や資金援助を行っています。フランスのみならず、これら財政支援策の多くがヨーロッパ地域開発基金(ERDF)やヨーロッパ連合(EU)によって運営されています。こうした対策によって、自国への観光客誘致にしのぎを削っているのです。なお、各国の事例は「WTO国際観光機構」のレポートからピックアップしました。

学生Q.Inboundにこんなにも力をいれていない国は日本だけなんですか? 日本はOutboundよりもInboundにもっと力を入れるべきだと思います。
コクジーA.観光政策は貿易政策と密接にリンクしています。これまでは貿易による黒字を減らさねばならない、ということでOutboundに力を入れてきましたが、それだけが理由ではない、と私は思います。旅行業自体が「発業務」の利益率が高く、「着業務」というのはその反対でモチベーションがあがらないのです。海外の旅行業者の下請け構造、ということもあったでしょう。旅行業者にはセクションとして大きく、「海外旅行部」と「国内旅行部」が幅を利かせてきましたが、「外国人旅行部」がきちんと整っていたのはJTBだけ、と言って良い状況でした。2004年の取扱高を見ると、業界トップのJTBが、183億円、近ツが50億円、日旅は40億円というレベルにとどまっています。同年のJTBの海外旅行部門は4000億円、国内旅行部門は9000億円です。

学生Q.インバウンドの数が少ないのは日本が観光地として魅力がないからですか? 日本に海外旅行のパンフレットがたくさんあるように、外国にも日本旅行のパンフレットなどがあると思います。日本は何を売りにして、インバウンドを増やそうとしているのですか?
コクジーA.魅力がないとは思いません。しかし、われわれはいつも日本が真ん中にある地図を眺めていますが、欧米へ行くと全く地図が違います。中心に大西洋があるのです。その地図上の日本は東の端っこに位置します。西の端はハワイです。だから日本のことを「極東」といいます。それだけ実距離も心理的な距離も、経済的な距離も遠い、ということになります。つまり「行きにくい国」であることは否定できません。ただ、近年アジア諸国が経済発展とともに巨大なマーケットに成長してきました。その意味では今後、期待できるでしょうが、果たしてアジアの人々に「親しまれる国」になろうとしているのかどうか、もう一度考えてみる必要もあるでしょう。

学生Q.初めての授業だったのでどこに座ればいいですか?
コクジーA.調子狂うなぁ・・。イスです。とりあえず授業の前か後で申告にきてくれなければいつまでも指定の席は決まりません。他の学生の席に座ってしまうとトラブルになるので、よろしく。しかし、今頃初めての授業、ということは相当ハンデがついていますよ。

学生Q.日本が車を輸出してもうけたために、国がアウトバウンドが増えるように政策を進めていたのには驚きました。
コクジーA.海外旅行を5年間で500万人から1000万人に増やそう、という「テンミリオン計画」は5年間の計画より1年も早く達成されましたが、それは1990年のことでした。
  89年度の国際経常収支  534億ドルの黒字
 90年度の国際経常収支 298億ドルの黒字
このように黒字は44%もの減少となりましたが、この減少に大きくあずかったのが旅行支出を中心とする貿易外収支の赤字です。その額は89年度では126億ドルであったものが207億ドルへと拡大しました。国際経常収支の大部分は貿易収支です。もっと簡単にいえば、「90年度でも、国際収支は298億ドルもの黒字であったのですが、もし、日本人が海外旅行をしなかったら、379億ドルにまでなっていたのです」。当時、アメリカのデトロイトなど自動車産業の城下町では日本の車を通りへ引き出して市民がハンマーでたたき壊す、といったパフォーマンスが連日行われていました。結構、日米間は険悪な状況だったのです。

学生Q.今日はお父さんの誕生日です。プレゼントにカッターシャツを買いました。いつまでも若くいて欲しいと思い、ピンクのストライプが入った少し派手なモノです。着てくれるでしょうか。先生ならどう思いますか?
コクジーA.授業内容とは関係ありませんよ。とはいえ娘にプレゼントもらえるなんて、オヤジとしてはうれしいでしょうね。私ら、奥さんからすらもらえません。お父さんがおいくつなのかわかりませんが、周りで見ているより本人は年取っている実感はないですよ。自分が20代の時に見ていた40代の他人と自分が40代になった時の自分の姿は全く違います。これは男女問わず共通していると思います。お父さんを年寄り扱いしてはいけません。オレンジの水玉でもいいんでないかい?

学生Q.観光需要発生の3要素のうちの「考え方」=「情報」とは、観光地を知る、ということですか?
コクジーA.観光地や観光のしかたを知るという「知識」も需要を喚起する条件の一つですが、ここで言っているのは意味が違います。むしろ「生きる意味や価値観」に影響を与える諸情報といって良いでしょう。「知識」というより人間としての「知恵」です。人は何故旅に出かけたくなる時があるのか、旅が人間に何を与えてくれるのだろうか、私の見知らぬ土地で人々はどんな暮らしをしているのだろうか、CDでしか聞いたことのない音楽の作曲家が住んでいた町ってどんなところなのだろうか、・・様々な疑問や知的渇望をすべからく、われわれは持っています。自分の人生の中で旅や観光が大きな意味を持つんだ、という「考え方」が「旅行の需要」を生み出すのであって、その考え方を我々に知らせてくれるのがここでいう「情報」です。

学生Q.観光振興策は色々あるけれど、ハードはソフトに比べて形が見えるし、成果が分かりやすいから、ついついハードを重視してしまうものなんだなと思いました。けど、中身、ソフトが伴っていないとせっかくのハードも生かされないから、観光立国日本を作るため、ソフトの充実は不可欠だと思いました。
コクジーA.講義の感想としては満点だと思います。ソフトは中身が見えないだけでなく、「長い熟成期間がかかる」ということもありますね。パソコンだってソフトがなければただのハコだし、叶姉妹だってねぇ。私はあの姉妹はひょっとしてすごい短時間で肉体改造したのではないか、と「邪推」しています。

学生Q.観光の行動距離と頻度の関係についてもっと教えて欲しい。
コクジーA.これは単純に「近ければ行く頻度を増す」ということで、つまり、近いところに大市場があれば、かなり近くからやってくる人で観光利用がうまってしまうということを考えなければいけないわけです。あるいはそこに交通機関が導入され、到達性が改善されるとオーバー・ユース(過剰利用)になる可能性が非常に大きいということになります。たとえば貴方の家の近くにコンビニがあります。スーパーもありますが、距離は2倍くらいだとすると、よほどのことがない限り、貴方はコンビニに通うことになります。当たり前ですよね。これをコンビニ側、つまり観光地側からみれば、近くの町の住民ばかりで埋まってしまうことになります。経営の安定のために、もう少し離れた別の町からも観光客がきて欲しい、と思っても、それは観光地側からは何ともなりません。来訪客の数さえ、確保していればそれで良いではないか、という考え方もありますが、量の次は質が問題になるのです。近場の人は安価でコンビニエンスなものばかり買い求めます。しかし、観光地も成長し、高い質を求めていかなくてはならず、そのためには特定の客層だけに安住していてはいけないのです。

学生Q.観光地の計画として、ゴルフ場などの施設ばかりではなく、ソフトウェアを促進させることもこれからの観光政策に重要だと思いました。それでは、今まで作りすぎてきた施設を解体してソフトウェアに生かせる方法はないのでしょうか?
コクジーA.なんだか難しい質問ですね。作りすぎた建物はいくら解体しても「ハードのかけら」にすぎず、それをソフトウェアに生かす、というのはアイデアが浮かびません。沖縄の本部という町で利用客のいなくなったホテルが認知症の人たちのための病院に転用されたり、福祉施設に転用されたり、という例はありますが。

学生Q.現在、日本政府では観光に力を入れていますが、需要が意味する「暇」というのは社会人にとってはまだそんな余裕や時間がないのが現状であると思います。このような現状を政府により、改革すればもっと文化交流も増え、観光状況は上向きになると思うのですが、この考えは間違っていますか?
コクジーA.間違っていません。最近、祝日の一部が「何月何日」ではなく、「何月の第三月曜日」というように変わっているのを知っていますか。これは祝日三連休を推進するための法律を作って、「暇」を確保しようという政策なのです。観光業界もこぞって応援しました。教育現場ではカリキュラム編成が難しくなる、ということで反対の人が多いですね。ゆとり教育への批判も強くなりつつあり、逆風になるかも知れません。またその由来からして簡単に移動すべきではない祭日もあります。小中学生はともかく、私は大多数の大人には「ゆとり」は必要だと思います。ただ、これらは制度や法律も大事ですが、「われわれは何のために生きているんだ?」と、国民自身が考えることから始めなければならないでしょう。

学生Q.観光地に行くと、一番良いスポットに行けない時がたまにあります。そうゆうことを最優価値がないということですか?
コクジーA.理解度としては微妙だな。もっとも優れたものに最大限の価値が集中し、二番や三番の存在価値が認められにくい、というのが「最優価値の存在」の説明です。貴方の解釈は間違っていないのですが、「最優価値がない」という表現は少しおかしいです。「一番良いスポットに行きたかったのに行けなかった、がっかりだ。こんな気持ちが起きるのは観光というものには最優価値という現象があるからだ」というような表現が妥当でしょう。泉ぴんこと綾瀬はるかが並んで立って、おいでおいでをしていたとします。その魅力度を95:5とします。男性100人は95人と5人に分かれるでしょうか? いやいや100人とも綾瀬はるかに殺到するでしょう。価値は綾瀬はるかに集中してしまいます。その結果、綾瀬はるかにオーバーフローが発生し、環境破壊が生じます。観光地としては泉ぴんこ側になんとか付加価値をつけなくてはなりません。それが例えば展望台だとしたら、泉ぴんこ側にはトイレや休憩所やレストランを併設したり、パーキングを拡充したりします。

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