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魂のふるえる場所 Ⅴ Ψ ♾ 神様からの特別なお知らせ No.42

「な、なんなんだ、あれ!」  
「ウソ、ど、どうなってんのっ?!」

この村で生まれ育った彼らが、めちゃくちゃ驚き、狼狽うろた えまくっています。


「こんな所から・・・アグン山が・・・こんなの見たことない・・・」


ワヤンはハンドルを握りしめたまんま真ん丸の目をして何度も何度も振り返りました。

聖なる山はそれから三日間、丸見えのまんまでした。

これが仮に何十年かに一度の天候の賜物だったとしても、私にはなんだかとても良い報せのように思えました。


それから数日後、マデが何か大騒ぎしながらバパの家にやって来ました。

どうやら物凄く不思議な夢を見たんだ、とか。


え、なに?! 不思議な夢ですって? ビビビ・・⚡️😍


私のアンテナが思わず反応します。(笑)

何でも、夢の中で彼はもっと小さな少年で、真っ青にどこまでも透き通ったこの世のものとも思えないほど美しい海の近くの、この世のものとも思えないほど美しい村の中を歩き回ったのだそうです。
それはこのタンバクシリン村なのだと言います。
もちろんタンバクシリン村の近くに海などありません。

けれどキラキラと目を輝かせ、興奮を抑え切れない様子で夢の中で見た美しい海の話をするマデを見て、近くで聞いていたバパも「そういう夢は神様からの何か特別なお知らせかもしれんな。」と真顔で言いました。

「これはもう夢とは言えないよ! だってだって、目を開けて見ているこの世界の何百倍も強烈でリアルなんだもん。ぼくはそこで歩いたり話したり、本当に生きて暮らしているんだよ。こんなの、ぼく、生まれて初めて!」

"目を開けて見ているこの世界の何百倍も強烈でリアル"  ・・・ですって?

フムフム、マデ、その類いのヴィジョンのことなら痛いほど良く分かるゾ❣️ 😍😍😍🎶

いやぁ、その類いによって私の人生は動かされてきたのだから。

だいたい "古代に封印された水源" っていうもの自体がその類いからの情報なわけで、
そのために私はこんな風にまたバリに来てしまっているわけだし、

マデの見た夢も、もしかして夢というより脳内映画の一種なんじゃないの?

てか、それって、もしかしてナムの見せてくれた映画と出所いっしょだったりして?!

あわわわわーー、∧( 'Θ' )∧💦💦 ちょ、ちょ、ちょと待て、落ち着け、先走ってはならぬ、

謎は謎のまま、下手にいじらす、どこへ導かれてゆくのか様子を見守るべし!


けれどその日から、さらに畳み掛けるようにしてワンダーランドの扉が次々と開かれてゆくことになるのです。


まずはワヤンとマデと3人でウブドまで買い物に行った帰りにタンバクシリン村から少し南下した辺りにあるぺジェン村のプナタラン・サシ寺院というお寺にに立ち寄ったのが始まりでした。

寺の奥に祀られた「ペジエンの月」と呼ばれる巨大な銅皷 どうこを見上げていると、どこからともなく若者がふらりと現れて「これは紀元前に作られたもので青銅製のドラムとしては世界最大、伝説では空に13個あった月のうちの一つが落ちて来て」と勝手に喋り始めました。

親切は嬉しいんだけど、それぐらいは観光案内書にも載っていることだし、別に説明してくれなくてもいいんだけどナ・・・

私はうわの空で境内をぶらついていました。

彼は押し付ける様子でもなく、世間話のように和やかにワヤンやマデに話し掛けていました。

けれどしばらくして、私は急に耳ダンボになり、思わず話に惹き込まれていきました。

それはなかなか表に現れることの少ないもう一つのバリの顔、バリ・アガと呼ばれる先住民族時代のとても興味深い内容だったのです。

バリの人々の多くは、自分たちはイスラム勢力に追われてジャワから渡って来たマジャパイト王朝の王族や学者や芸術家などのエリートの末裔で、手っ取り早い話、自分たちが来る以前にこの島には文化らしいものは無かったんだと、良くそんな言い方をします。

だから古代のことについて質問しても、何となくいつもはぐらかされた気分になることが多いのですが、彼はバリ・ヒンドゥーと呼ばれる独特の文化について、ヒンドゥー教と土着の精霊信仰アニミズム が融合したいきさつや、百万年以上もの昔、アジア最古の人類が発見されたというすぐ隣りのジャワと地続きだった頃のことや古代インドとの深い繋がりなどについて、まるで博物館の学芸員か歴史研究家のように詳しく語ってくれたのです。

そしてひとしきり話し終えると、

「ところで、バリのヘソとも言われている最も古く、最も重要な寺へはもう行きましたか?」

と、切り出しました。

え、今なんてった? "バリのヘソ" ですって⁉️💦💦

この人、いったい何者?


つづく


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木倶知のりこ 著書:●絵本『小箱のなかのビッグバン』 *・* ・*●『ナム "RNAM" 時空を超える光と水の旅』

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