【1】 定食屋さん
ここは老夫婦が二人で43年営んできた食堂です。
近頃はコンビニの開業や牛丼チェーン店など、近隣に安くて手軽に食べられる店が増え、だんだんとこの店の客足も減ってきました。
たった一人の息子も跡を継ぐ気は無く、東京へ出たまま帰ってくるのは盆暮れだけ。
そんな中、毎日この食堂へ通う常連のサラリーマンが居ました。
開業当時はつやつやとした真っ黒な髪だったのが、今では真っ白に染まり、顔にはシワが増えました。
サラリーマンと夫婦が会話を交わすことはほとんどありませんでした。
毎日メニューの同じ定食を指差して、
「これください。」「はい、お待ちくださいね。」
何十年と顔を合わせているのに、もうずっとそれだけ。
ある日の夕方、いつもより少し遅い時間に彼は定食屋を訪れた。
いつも通りのスーツ姿で、いつもの席に座る。
「これください。」「はい、お待ちくださいね。」
いつもと同じ定食を頼んだ彼だがいつもと違うのは、その傍らに花束があったことだ。
彼はいつもと同じ定食を食べ、いつものように米粒の一つまで残さず食べ終えると、
「うまかった!」
大人しそうな外見の彼が、急に大声を出した。
何より、彼から初めて聞いたその言葉に老夫婦は驚いた。
彼は少し照れ臭そうにしつつも、いつものように隣の椅子に置いたカバンを持ち、花束を抱えて店を出て行った。
彼はその日以降、店に来ることは無かった。
定年退職なのか、はたまたリストラか。
名前も会社も、年齢すらも分からない彼を。たった一人の客のことなど気にかける事ではないのに。
老夫婦は彼の笑顔を、彼の「うまかった!」の一言を、いつまでも忘れることはなかった。
ここでなぞなぞです。
サラリーマンが毎日食べてた定食はなーんだ!
(ヒント:サラリーマンは養蜂事業会社の社員)
↓答えは一番下に!↓
↓答え
↓
↓
答え:B(Bee)定食
サポート費は主に球場飯代になります!