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穏やかな関係を - 3

食事しようと決めていた店に行くと、既に盛況。予約している人たちから順に呼ばれて店内に吸い込まれて行く。予約はしていなかったから、彼が待ち順のボードに名前を書いてくれた。暫し、二人で並んで呼ばれるまで待つことにする。

待っている間になにを話したかは、あまり細かく覚えていない。とはいえ退屈した記憶はなくて、和やかに待ち時間を過ごした。

既に賑やかな店内へ案内され、四人掛けテーブルに着く。向かい合わせとも隣ともつかない位置、彼の顔がよく見える。

ふと周りに目をやると若い従業員が多かった。若くても互いの連携がきちんと取れている事や、丁寧な接客態度、気遣いの細やかさが素晴らしいねと話したら、彼も同じ事を思っていて二人で笑う。同じ視点でものを見ているんだと気づいて嬉しくなった。

食事はどれも美味しそうで、メニューの前で悩んでいる私にシェアすることを彼が提案してくれた。パスタとピザをシェアすることにして注文をすると、お店がシェア前提の盛り付けをしようかと尋ねてくれる配慮が嬉しかった。

テーブルに届いた料理たちは味も美味しく、彩りも美しかった。笑顔で頬張る彼の顔が朗らかで、本当に嬉しそうでつられて頬が緩んだ。それと、彼が食べるペースが早い事も知った。初めて会った時にも一緒に並んで食事したけれど、その時は気付かなかった。ペースを合わせようと思うも追いつかないので、途中から諦めてマイペースに口に運ぶ。

食べながら「口元にピザソースがついていないかなあ」とか「上手く食べるのって難しいなあ」とか、そんなことも考える。そうやって、なるべく人によく見られたいと思うのは元からそういう気質があるから、とその時は思った。実際は異性として意識していたのだろうけれど、この時はまったくそれに気づいてすらいなかった。

おなかいっぱい食べ、もう少しゆっくりしたい気持ちもあるのに、混雑緩和のための時間制限でやむなく外へ出ることに。

とりあえず煙草が吸いたいね、と二人で喫煙所まで歩く。喫煙所へ向かいながら、煙草を吸いながら、煙草を吸い終えてからも「次どこへ行こうか」という話題ばかり。そして、結論も出ない。

もう何も入らないよってお腹は言っているから、カフェに行くのは却下したい。どこか買い物にでもと思ってもたくさん歩くのは更に億劫。満喫かなあ、カラオケかなあ、なんて話しつつ「おなかいっぱいで眠い」と欠伸する彼に「ホテルでゴロゴロしてお昼寝でもする?」なんて提案したのは私の方からだった。

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