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企画は突然にやって来た

いつかはやってみたいと思っていたけどそれは突然にやってきた。

突発的企画
山野カエルのZoom深夜便

きっかけは些細なことだった。今年になってから僕はオンライン読書会を主催しはじめた。こちらも以前からチラチラやりたかったことで昨年末からはじめてみた。企画を3本立ち上げてみた。既に1本は完結し終了した。あと2本はいまもつづいている。当分はつづきそうだ。

昨日の午後。古くから知り合いのCさんからメッセージが届いた。(僕が主催する)オンライン読書会に参加したいのですがズームって何ですか?と書かれていた。一瞬、ズームの説明からはじめなければならないのはさすがに辛いなとおもった。こちらにズームのいろはから教える義務も責任も何もない。オンラインで読書会を主催しているといっても無料でしていることだし主催といっても気楽なもんだ。だからはじめた。いまさらしんどいことは嫌だ。

とても逃げ腰な姿勢を保ったまま、僕はズームに関連するウェブサイトの情報と手元にあったズーム解説のPDFデータをメッセージも付けずに送った。

無言のメッセージを返してしばらくしてえらく不親切な自分に気づいた。もう少しなんとか教えてやってもいいんじゃないの?もうひとりのよい子の僕がつぶやく。わかったよ。リアルな僕はよい子の彼の意見を聞き入れ。Cさんにたずねた。いまパソコンからですか?Cさんからは、はいと短い返事があった。

つなぐだけなら、パソコンからなら、そんなに難しくないかも。そう考えた僕はズーム用のアドレスを臨時で作成し送った。このアドレスをクリックしてみてください。つながるから。わかりました。Cさんの短い返事のあと数分、それはほんのわずかの時間だった。僕がパソコンの前で事務作業をしながら待機していたらピンポーンとチャイムが鳴った。パソコンの画面にはきょとんとしたCさんの顔が写っていた。できた。これでΟKですよ。簡単に画像と音声の操作だけを伝えて。もう大丈夫です。これでオンライン読書会には参加できますからね、といって接続を切った。

あまりにも簡単だった。Cさんもびっくりしたようだが、僕もびっくりした。どんなことも実際にやってみると意外と簡単だったりする。逆にやってみたら意外と難しいということもある。世の中そんなものだ。どちらでもありどちらでもないのだ。しかしどちらにしてもやってみないことにはわからない。当たり前のことが当たり前のようにそこに横たわっているだけだ。そんなことを改めて。Cさんとの一件で教わった気がした。

この昼の出来事がきっかけとなった。テレビやネットではイベント自粛のニュースと一緒にリモートワークとかオンラインとか在宅勤務とかいろいろ騒がしい。いまオンラインは旬なことでもあるにはある。ならばやってみるかと思いついたのが、この突発的企画だった。

前置きがこんなに長くなるとは思わなかった。書いてみるもんだ。いつものことではあるにはあるが結構な長さの文章になりそうな気がする。まぁええ。文章筋トレやし(笑)

でその突発的な企画というのがこれ。思いついてすぐにFacebookに告知したわけで。時刻は昨日の20:18。突発的というか衝動的に投稿したものだった。

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突発的企画
山野カエルのZoom深夜便
本日23時00分~23時30分

※ここに一行、ズームの接続用アドレス記載した

深夜にズームでつながってみようというただそれだけの企画です。ズーム!はじめてですけど!という方も大歓迎です。超かんたん。いっぺんやってみましょう。やっときましょう。パソコンから上記にアクセスしてください。それだけです。それだけでつながります。あとは成り行きです。

僕は確定申告前の追い込み作業中です。たぶん風呂上がり。ちょっと一杯はいってるかもしれません。でも酔ってはいません。たぶん。パソコン立ち上げて待ってます。さて誰が来るかな~

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ドキドキした。友だち限定で投稿したとはいえ。誰が来るかわからない。3時間後の意味不明な企画。もし来ても親しい人に限られてるだろう。それに告知から開催までが短い。どれだけの人の目に触れるか。せいぜい20人か30人そこらだろう。わからないなりにいろいろ思いはめぐった。たのしかった。

投稿したすぐ後は、さすがにドキドキしていた。しかしそれも束の間。なにしろ僕は午後から確定申告の準備に追われていたのだ。明日、税理士に会う約束をしている。ぼやぼやしてられない。僕は領収書の山と格闘した。少しの休憩を兼ねて風呂にはいって、また作業に没頭していた。

領収書と領収書の山の間でスマホが光った。友人のYさんからのメッセージだ。とりあえず、あとで寄ります。とある。??? あっ!しまった!時計を見たら11時を過ぎていた。しかも8分も。焦った。忘れてた。なんということだ。バカもんが。あわてて、これからつなぎます!とだけメッセージしてズームを開いた。数分してYさんの声と顔があらわれた。よかった。ありがとう。来てくれて、ありがとう。もうそれだけで十分だった。

何をバカなことをといわれてもやりたかったのだから仕方ない。そんな企画に付き合ってくれてありがとう。僕も実はやりたかったことなんですよ、Yさんがぼそっとそう呟いた。驚いた。嬉しかった。同志だ。ひどく単純にそう思った。

ピンポーン。また来た。こんどは誰だ。Hさんだ。Yさんとも知り合いの女性だ。というかわれわれ3人は最近、ある会でよく会う仲間だ。なんだそうか。そういうことか。なんだか世の中の大きさが一気にわかったようでうれしかった。そういうことなのか。

YさんもHさんもくつろいだ表情をしていた。深夜23時だからね。本当にひとりひとりだとおもった。ひとりひとりだからこそ引き合うなにかがある。ひとりひとりだかからこそつながれる。そんなことをふとおもった。

30分というのはあっという間だった。いや、実際には遅れてしまったから20分とちょっとだったと思う。時計の針は23時30分になろうとしていた。

突発的企画!山野カエルのZoom深夜便!なぜか企画タイトルを叫びたくなって声に出した。終わりがけにタイトルコールもいいもんだ。2人は笑っていた。いい時間だった。おやすみと言いあいながら手を振り僕は接続を切った。

夜が明けて今朝、Yさんがnoteに夕べのことを「それぞれの空間でつながって過ごすことの面白さ。」書いてくれていた。うれしかった。またやろう。

そして人生はつづく。2645文字


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