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古い写真にまじって

もしも引き出しの中から、古い写真にまじって、見たことのない写真、それも自分が写った、そんな写真が出てきたら・・・

その写真、よく見ると自分。いや自分らしい。自分ということだけは辛うじてわかる。けど、それは、見たことのない自分で。もっと。もっと正確にいうと。そこに写ってるのは過去の自分では、なく。それは。たぶん。まぁ言うたら、未来の自分。信じられへんけど。そう思うしかない。そう思える。いや見える。

10年先、いや20年ぐらい先か。とにかく先。先の自分。あきらかに年とってるがな。それはあきらか。自分やからわかる自分。まだ見ぬ自分。未来の自分。おぉ。

びっくりするで。誰でもそうやろ。そんな写真を見た日にゃ。びっくりするに決まってる。俺もそう。当然。至極当然。びっくりしてる。こんなんに、なってるんか〜。愕然。

見たくなかった。誰?誰なん?こんな写真を引き出しの中に入れたん、誰なん?何のために?こんなことすんねん。こんないたずら。腹立つ。憤る。

あー。いやや。見なんだことにしたい。でも見た。見てしもたがな。俺は見た。それはあきらか。しかも目に焼き付いた。ばっちし。そうか、そして俺は、あの写真の20年先にむかって生きていくのんか。そうや。きっとそうなんや。あー、いやや。いやや。ほんま、いやや。

いや、いや、しかし、ちょっと、待てよ。ものは考えよう。20年先の写真があるということは。少なくとも20年は生きているということ。そう。そうやで。つまりそのやな。どんな無茶しても、死なずにってことやんか。

いや、でも、わからへんぞ。何度も何度も死に目にあいながら生きながらえてるってこともあるで。この先、どんな時間が待ち受けてるんか。そんなんわからんがな。肝心なこと、これでは、なんもわからんがな。

しかし、しかしやで。あの写真の様子では、そんなんではなさそうや。何度も何度も死に目におうて生きながらえてる、そんな様子やなさそうや。楽観的すぎるかな。そうそう。楽観的すぎる。あの一枚、あの写真だけでは、わからんがな。この先、20年のことなんて、わからん。わかるわけない。あー悩まし。ほんまに悩ましわ。

しかしまぁ、あの写真、生気はあった。それはたしかに。そやった。他にないかな。あんな写真。もうちょっと探してみよ。

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