津波
津波3メートル以上「非常に高確率」南海トラフ地震71市区町村。食卓にあった昨日の新聞の見出しが目に入る。今朝の新聞を取ってこなければ。
一昨日は会社の新年会だった。会社といっても3人だ。それも久しぶりに会う。仕事やらプライベートやら。過ぎたことやこれからのことなど。気がつけば10時少し前だった。同じ店で4時間も喋っていたことになる。慌てて3人で店を出て別れた。
昨日の朝は二日酔いだった。前の夜の酒を少し残しながら分厚い本のレジュメのつづきを書いた。3日ほど前から書きはじめていたがまだ終わることができず。そのつづき。昨日午前中が締め切り。ほとんど時間がなかった。第1章だけだからそんなにページ数はないとはいえ僕にとっては難解。でもおもしろい。何かの役に立つというものでないがこれを書かなければ先に行けない。どこに行けないというのか、どこに行こうというのか、自分でもわからないけどとにかくそうだ。そんな感じだ。
午前中のいっぱいを使ってレジュメを仕上げた。グーグルドキュメントとして共有するのだがどうもこのグーグルの仕組みがいまいちというかまったくわからない。わかっていない。わからないわかっていないと言ってしまえばさらにわからなくなる。おかげでほんとわからない。(でも、このわからなさは昨日の夜にネットを徘徊してみて少しだけわかった。わかったといっても知りたいところだけ調べただけだけど、それでもまったくわからないからすればすこしはましになった。)
午後は朗読劇の稽古に参加した。久しぶりだった。参加者は5人。朗読の劇団ができてもう3年になるらしい。年月としては3年だが記憶としては5年か7年ぐらいやっているようにおもえる。それだけ関係の密度が濃いということか。よくわからない。
ことしになってはじめて顔を合わせる。いつものように一人ずつ近況をはなす。まずはYさんから。正月は寝正月だった。小学校3年生のときに行ったきり今日まで歯医者には行っていないという。一同驚く。ちなみにYさんは68歳だったかな。まぁそれぐらいだ。歯が痛くなったら市販の薬で治してきたらしい。なるほど綺麗な歯をしている。ここらあたり(稽古はいつも大阪の西成でしている)では歯が1本もない人も多いという。その話題でしばらく盛り上がる。
次に僕が近況をはなす。(略)
その次はSさんだ。ことしから新しい名前でいきますという。いきなりの宣言に一同びっくり。理由をいろいろ聞く。(略)3月には新しい名前を冠にした朗読劇の公演をするという。その名も「ちぃーちゃんの朗読劇」だ。さらに一同びっくり。すごいね。たのしそー。
次はMさんだ。Mさんの近況にもみなびっくりした。びっくりというより腰を抜かしてしまった。Mさん、はじめは何気ない身のまわりのことをはなしていたのだがそのとき何を話していたのか最後に付け加えるようにしてはなした内容にびっくりしてしまい忘れてしまった。
そのMさん、3月に東京青山のスパイラルホールで公演することになりましたという。え?どういうこと?なにそれ?全員揃って一斉に叫んだ。
実は昨年末、知人に、こんな企画があるけど応募する?と紹介されて気軽に応募したら合格しました。その企画というのは「私がこれまでに体験したセックスのすべて」をはなしてくれる人を募集しているというもの。対象は65歳以上。「これまでによかったセックス、最低だったセックス」のはなしをするそうな。そのはなしをもとに台本をつくりスパイラルホールで公演するという。出演者は5人。そのひとりに選ばれたという。案内パンフレットがあります、といってリュックから出したそれには『True Colors DIALOGUE 学校では教えてくれない、リアルな人生の物語』とある。なんとも立派なパンフレットだ。パフレットの表紙写真にMさんもいる。すでに東京へは何往復かしている。撮影もした。長い長いインタビューも受けた。そんなはなしが次々飛び出す。公演は世界各国で行われていてアジアは台湾のみ、日本では今回がはじめてらしい。
これはえらいこっちゃで!歯医者に行かないYさんが叫ぶ。他にもみんな口々に好きなことを叫んでいる。あきらかにみんな興奮している。Mさんだけが静かに笑っていた。Mさんはことし70歳になる。ええ記念になりますという。それはそうやけど。なんかドキドキする。
Mさんの衝撃は大きく。2時半頃になってやっと落ち着いた。はじめの近況報告だけで1時間半。密度が濃いはずだ。ストレッチ体操をして朗読の稽古に。時計は3時をまわっていた。
I先生は和歌山に伝わる昔話を持ってきていた。数話の中からそれぞれが読みたい昔話をひとつ選び、読んだ。語りを文字起こししたものばかり。昔の、しかも方言なので、そのまま読んだだけではわかりにくい。それぞれが自分が日頃使っている言葉になおして読むようにと手渡された。
短い昔話ではあるがこれがなかなか難しい。まず昔の方言の(微妙なニュアンスを含めた)意味を文字による情報だけを手がかりに理解する、これがたいへんだ。さらにそれに一番近い自分の日常語になおし声に出す。読んでも読んでも読むたびになおしたくなる。たいへんだけどおもしろい。電子レンジでチンするようなわけにはいかない。2168文字
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