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4度目の冬

久しぶりの連絡は大学合格の知らせだった。
当時中学2年生だった彼女の息子は今、高校3年生。進路の報告を律儀に親戚でもない私たちにしてくれるなんてちょっと出木杉君じゃない?


彼女が居なくなって4度目の冬。


寂しさや悲しさは時間の共に少しずつ色褪せて、それでもやっぱり真っ白になることはなく、小さくなりつつも私の心に留まっている。


生きていたら一緒に合格祝いのパーティーしたのにな。とか実現不可能な戯言は相変わらず楽しいものばかりが頭に浮かぶ。


やっぱり、それら私の生きているこの世の中はまだまだ楽しいことが溢れているからだと思う。楽しいことと言うのはささやかなもの。


おろしたての靴を履く瞬間とか、お店で買おうと思っていた商品がラスイチで手に入ったとか、食べだみかんがとびきり甘かったとか。


ふと気がつくと左手の甲にシミができていた。顔だけじゃなくて手の甲にもいよいよシミが現れてきたのかと少し物悲しい気持ちになりつつも、若いままの彼女の写真を眺めては歳を重ねるのも悪くないとまた思うのだ。



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