色について語る時にぼくの語ること

 ぼくは、その人の好きな色を聞くのがその人の本質を知るのに一番適した質問だと思っている。生活にはあまりにも多くの色が溢れている。ぼくらは、生まれてから数えきれないほどの色に囲まれている。図工の時間に、まず出てくるのは、目の前の白紙の画用紙をどの色で埋めるのかという問題だ。そこで、受動的にせよ、能動的にせよ、ある特定の色の選択を迫られる。色について、本質的に考える人が少ないからこそ、自分の潜在的意識が色の好みに表れると思っている。

 ぼくの最近の大きな変化としては、嫌いとも言えた赤色に強く惹かれていることである。

 ぼくの基本的に好きな色は青色である。完全に100%自分の意思で青色を好きなのか、青色が好きという私念に自分を押し込めて、青色が好きだという自認を持っていたのかは定かではないが、少なからず自分は青色が好きである。

 ただし、生来的に青色が好きだった訳ではなく、認識の限りでは、中学〜高校くらいまでは、水色やオレンジ色が好きだった。この頃については、好きな色について考えたこともなく、持っていた筆箱やポーチなどが全て水色をしており、クラスメートに「水色好きだね」と言われたことで、自分が水色を好きなのだと自覚した次第である。なので、恐らくちゃんと好きだったのだと思う。

 それが次第に青色に惹かれていった。間違いのないキッカケは、フランスのYves Kleinという青色の作品を中心に制作する現代アーティストを大学生の頃に知ったことであろう。まあ〜そこで青という概念にとてつもなく食らった。   

 青色はとてつもなく高尚かつ難解な概念で、ここでぼくが中途半端に青色の凄さや良さについて熱弁するのには余りにも荷が重いし、中途半端な説明をする気にも慣れないので、青について語るのは別の機会にさせてください。ただぼくは、Yves Kleinとの出会いをきっかけに青色に深くのめり込んだ。*1 (ただ今思うと、高校の頃からTHA BLUE HERBや宮沢賢治、たけし映画など、特徴的な青の使い方をする作品を好んでいたので、青が好きな片鱗はあったのだと思う)

 そんなこんなで青色が好きなぼくが、突然赤色にハマったキッカケは何だったのだろうか?なんと、花火の赤色がとてつもなく綺麗だったからである!

 今年の夏に花火を見に行く機会があったのだが、そこで見た花火の赤色にとてつもなく魅せられた。頭で述べたように、ぼくは、赤色という色に対して、どうしても苦手意識を持っていた。それは、熱血や情熱さといったぼくと真逆のタイプやイメージを想起させることや、血の色としての余りにもの力強さや怖さを感じていたからで、つまり赤のタイプじゃないと思っていたのだ。ただ純粋に、花火会場で見た赤色は色として余りにも美しかった。そこで、赤色いいな〜と簡単に思うようになった。

 そこから、ここまで赤色に惹かれるようになったのに難しい経緯はない。GEZANというバンドにめっぽう食らったからである。ある程度、日本のバンドシーンや音楽を追っている人なら、聴いたことはあるだろうGEZAN。ぼくももちろん名前は知っていたが、しっかり聴いたことはなかった。今年の8月にライブ行きて〜!と急になった時に、GEZANのフロントマンである、マヒトゥ・ザ・ピーポーの主催イベントである遠雷がたまたまその日開催される予定があり、当日券もあったので、軽い気持ちで足を運んだ。そこで、マヒトの赤色にめっぽう食らった。と言うのも、知ってはいたが、マヒトは全身赤色の服しか着ないのである。その赤色が、筆舌に尽くし難いほど美しく、この世の存在とは思えなかった。

 勿論、それはマヒトのパフォーマンスが素晴らしかったのもあるが、なんて言うか、赤色の持つエネルギーに強く惹かれた。GEZANは赤色であり、その日以降GEZANやマヒトの音楽を、真剣に追っており、その度に赤色の虜になって行った。(今酔っているので、GEZANの魅力についてはここで触れないが、全人類に聴いて欲しいと思う。それくらいには、今の世界にとって必要な音楽だと思う)

 赤色にハマる過程で、色についてのぼくの意識も大きく変わっていった。色のことを調べていくうちに知ったことだが、電磁波の一つに可視光線(いわゆる虹の7色!)という概念がある。今の研究によれば、虫などは紫外線や赤外線などの色は認識できるが、可視光線は色として認識することができず、その7色は人間のみしか認識することができないらしい。凶悪な資本主義の仕組みや世界で起きている戦争や紛争を前にして、酷く人間に対して絶望の気持ちを抱いていたのだが、可視光線の概念を知って、人間のみがこの自然の美しい色を認識できると知って、何故かすごく嬉しくなった。同時に、ぼくはもっとこの自然に溢れた色に敬意を持つ必要があると思わされた。それくらいにこの仕組みには価値があると思う。



 相変わらず酔っているので、もう終わりにしようと思う。酔っている時に本質的なことを書くのは辞めたい。皆さんの好きな色はなんですか?いつでも良いので、聞かせてください。待ってます。


*1 青についてのおすすめのコンテンツは、小林康夫『青の美術史』(平凡社ライブラリー)がとてもおすすめ。また、デレクジャーマン監督の『BLUE』という映画も素晴らしかった。

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