第1回ジサスタグラム 清水裕也

日本の自殺者を0にするにはどうすればいいか。

そんなことを毎日考えている。

私が行いたいのは自殺者予備軍(うつ病)の人への対処ではなく、自殺者予備軍が現れないような社会の基盤作りだ。

自殺が起きる原因の多くに教育環境の問題があると私は考えている。

学力テスト、マラソン大会などで順位をつける教育スタイルは先進国内では異端な扱いを受けていることはご存知だろうか。

テストや宿題がないというのが世界の学力トップクラスを誇る北欧の教育スタイルで、日本の教育スタイルとはかけ離れている。

それでもなお、日本の教育スタイルが正しいのだという方は脳科学を少し勉強してみてほしい。日本の教育スタイルがいかに非合理的であるかは火を見るより明らかだ。(ここでは脳科学の話はしないが、興味がある方はぜひ学んでほしい)

ただ、日本の教育スタイルを一気に変えることは難しい。すでに現在の体制で利益を得ている団体や職員が多すぎるからだ。

いずれ日本も他人と比較しないような教育スタイルになることを望みつつ、今回は自殺を考えたことがある私が、その当時の話をしようと思う。

今回、このような記事を書こうと思った理由は2つある。

1つめは、人が自殺をする理由を多くの人が勘違いをしているからだ。

自殺をする人は精神的に弱い人と定義する人が多いが、自殺と精神的強さの相関性は全くないと私は考えている。

むしろ、我慢強くて、一見すると精神的に強そうに見える人ほど自殺をする確率は高い。

このことを伝えられたらと思う。

そして2つめは、いま自殺者予備軍(うつ病など)である人になにかメッセージを届けたいという狙いがある。

自殺を考えて落ち込んでいる人に対してポジティブな言葉をかけて励ます人は多いが、それは正しいソリューションではない。

その状態まで精神状態が落ち込んでいる人には、もはやポジティブな言葉は届かない。

だからといってネガティブな言葉をかけて自殺へと更に追い込みのも違う。

私はいまから体験記を書くが、生きていれば良いことがあるから死なない方がいいとか、そんなポジティブな言葉を投げかける気は毛頭ない。

生きるのはそれなりに辛いし、どれだけ頑張っていてもうまくいかないこともある。

さて、前置きはこのくらいにして本題に入る。

私が自殺を考えたのはいまから15年前。20歳の時だ。

20歳で幼少期からの夢だったプロの競輪選手になった私は、いきなり大きな壁に直面した。

アマチュアではそれなりに成績を収めていた私が、プロの世界では全く歯が立たなかったのだ。

私は7歳の時から競輪選手になるのが夢だった。

幼少期から体格に恵まれているわけではなかったし、スポーツの才能はほぼ0だった。

それでも競輪選手になりたいという想いは止められず、12年間にわたって弱い自分の身体を鍛え続けた。

運良く19歳の時に競輪学校(プロテストのようなもの)に受かり永年の夢を叶えたのに、デビューしてすぐに解雇されるかもしれないという状態に直面した。

20歳の私にとっては競輪が人生の全てだったし、それを失うのは死と同等だった。

頑張らなくてはいけないと思えば思うほど肉体は蝕まれていく。

うつ病は精神的なものなのだから、精神さえ治ればなんとかなると考えている人が多いが、うつ病で最も辛いのは肉体だ。

私の場合、まず目眩が止まらない状態が続いた。
そして吐き気が四六時中するため、ご飯をまともに食べられる時間は極めて限定的だ。

また、肌は身体中ボロボロになり、表皮の剥げたところが痛くて動けなくなる。

だから、元気なときは当たり前にできていたことが、うつ病になると一切できなくなる。

買い物にいくことも、シャワーを浴びることも、外食にいくことも困難だ。

そんな状態が1ヶ月、2ヶ月と続き、もうこの症状は治らないのではないかと思い始める。

頭にちらつくのは常に自殺の2文字で、死んだらどれだけ楽になるだろうと常に考えていた。

「その状態をどうやって脱却したのか?」とよく聞かれるが、時間が経過したからだというしかない。

私の知る限り、精神的病における一番の医術者は「時間」だ。

どんなに苦しい状態であっても、時間が経過すれば人間は正常な状態に戻ろうとする機能が備わっている。

苦しいときの1ヶ月は、そうでないときの1年にも2年にも感じるものだが、そうなったときは何も考えず、とにかく時間の経過を待つことがおすすめだ。

ここで苦しいのにも関わらず、無理をして行動をする人が自殺をする。

前述した、精神的に強い人ほど自殺をしやすいと言った理由はここにある。

通常、人間は体調が悪くなれば会社や学校などを休むが、自殺をしてしまう人は少し体調が悪いくらいでは休んだりしない。というより、相当体調が悪くても、なんとか休まずに体調の回復を待とうとする。

自殺をする人の多くは真面目で努力家で、人の痛みを知っている人だ。私はこれまでの人生で4人の人を自殺で失っているが、みなそういった人たちばかりだった。

私はその4人がみんな大好きだった。
なぜ彼らが自ら死んでしまったのか。
自分ができることはなかったのか。
いまでも時折そんなことを思う。

いま、自殺を考えているほど落ち込んでいる人に、メッセージを送りたい。

いま、自殺を考えている人は、ほぼ100%の確率で未来に希望が見えないという人のはずだ。

しかし、未来に希望などなくても生きていれば必ず幸せを感じることはできる。

なぜならば、世間一般からみたら希望がない未来をあなたがこの先送ったとしても、幸せは相対的なもので絶対的なものではないからだ。

人生において、マイナス100を経験できる人はそうそういない。

いまあなたが自殺を考えていて、その状態をマイナス100だったとしよう。

あなたの人生において、これからいいことが全くなかったとしても、時間の経過と共にあなたのなかから「自殺をしたい」という感情が消えたとする。

この時、マイナス100が0になったとしたならば、あなたは100の幸福を感じることができるのだ。

屁理屈のように感じるかもしれないが、これは紛れもない事実だ。

つまり、マイナス100を経験した人はその後幸せを感じやすい体質になるのだ。

もちろん、マイナス100からマイナス200になることもあるだろう。

そんなときはやはり時間の経過を待とう。

「絶対死にたい」から「死んじゃってもいいかなあ」への変化を待つのだ。

人間にはホメオスタシスといって、元の状態に身体を戻そうとする機能が常に働いている。

あなたの意識とは無関係なところで、あなたの身体は生きているだけで働いているのだ。


繰り返し言うが、生きていれば必ずいいことがあるなどと言うことを言う気は毛頭ない。

ただ、マイナスを経験している事実はこれからの人生において必ずプラスに作用するということは伝えておく。

もしあなたが仕事で悩んでいるならば、苦しい思いをしてまで続けなければならない仕事など存在しないと伝えておこう。

もしあなたが恋愛で悩んでいるならば、この世界にはおよそ40億人の男性と40億人の女性がいることを伝えておこう。

もしあなたが全てを失ったと感じていたとしても、本当に全てを失っているのかを冷静に考えてみてほしい。たいていの場合、失ったとショックを受けているのは仕事かお金か人で、あなたが経験してきたことや、知恵、スキルはなに一つなくなっていないということを強く伝えておこう。


最後に、この企画ジサスタグラムは過去に自殺を考えたことがある人のリアルな体験記を書くことで、いま自殺を考えている人にメッセージを届けることを目的として作った。

もしも、過去に自殺を考えたことがあり、この企画に賛同してくれる方はぜひインタビューをお願いしたい。

メッセージ欄より、コメントをお待ちしています。






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