やまとなでしこに逢いに

一時期、毎年のように京都へ旅をしていたことがある。
常に夏だった。
もっと過ごしやすい時期にすればいいのに、何を好きこのんで暑い季節に暑い場所へと飛び込むのかと周囲には訝しがられたが、不思議と行きたくなるのである。
一種の中毒としか言いようがない。


京都には浴衣姿の人が多い。
何度か旅するうちに、在京の人とそうではない人との違いが何となく分かるようになった。
胸元をくつろげ手で風を送りながら、下駄を引きずるようにして歩くのは大抵旅行者である。
反面、しゃんと背すじを伸ばし、わたし暑くなんてありませんわと言いたげな面持ちで涼しげに歩いているのは京都の人達だ。
暑くないわけがない。
だか、常に美しくあろうとするその心意気は見ていてほれぼれとする。
凛としたその姿を拝みに、私は京都へ向かうのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?