見出し画像

【考察】エンディングのその後【エルデンリング/ELDEN RING】

続編や後書きが無い限り、幕を閉じた物語のその後を、読み手が追う事はできません。
フロムソフトウェアのゲームの多くもその一つであり、その後の“展開”を示唆する文面、或いは台詞が作中に登場する事すら「ソウルボーン」と呼ばれるジャンルでは稀です。

そんな中、エルデンリングに存在するエンディングの一つ『星の世紀』において、「その後どうなったのか」一部を少しだけ読み取る事ができる(或いはそう解釈できる)のでは無いか、というのが今回の考察内容となります。

▶『星の世紀』とは

本題に入る前に、そもそも『星の世紀』というエンディングが一体どんな物なのかについて触れておきます。

「生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥かに遠くにあればよい
確かに見ることも、感じることも、信じることも、触れることも
…すべて、できない方がよい
だから私は、律と共に、この地を棄てる」

ラニの部屋 「小さなラニに話しかける」より

この台詞からわかる通り、『星の世紀』というのは概ね、
「地上にある“律”(エルデンリング)を宇宙に上げ、それと共に自身も宇宙に旅立つ」
というような事になります。

「律を地上から遠ざけるとどうなるのか」
という具体的な事については一切の記述が存在しないため、明確な事は言えません。
言葉のニュアンスとして、
「律が遠ざかったとしても、律との繋がりが断たれるわけではない」
という事は伺えますが、そこから更に考えるならば、
「概念としての繋がりはあっても、物理的に“見える”事ができなくなり律に惑う事も、律を奪い合う抗争(“破砕戦争”“褪せ人が呼ばれたような事”)も起きない
といった事にもなるのかもしれません。

▶本題

さて、そんな『星の世紀』エンドの“その後”を少しだけ伺える記述が、『暗月の大剣』にあります。

歴代のカーリア女王たちが
その伴侶に贈るという月の大剣

『暗月の大剣』アイテムテキストより

一見何もないように思えますが、「歴代」「たち」というワードが少し気になります。というのも、『カーリア女王』はこれまでに“二代”、つまり“二人”しか存在していないからです。

若き日、レナラは卓越した英雄であった
月の魔術で学院を魅了し、その長となり
輝石の騎士たちを率い、カーリアを王家となしたのだ

『満月の女王の追憶』より

カーリアが“王家”となったのはレナラの代であり、『カーリア女王』としてはレナラが最初(一代目)になるはずです(念のために書きますが、『レアルカリア学院の長』としては別)。
ともすれば、直接の娘であるラニは二代目であり、ゲーム中の物語ではそこで止まっているはずです(隠し子が居ない限りは)。

語源に対するイメージ的な部分もありますが、二代しか続いていない状態で「歴代」という言葉を扱うのは、少々不自然に思います。
また、「贈るという」とある事から、伝統的に今後も続いていくのではないかとも、言葉のニュアンスから解釈できます(少なくとも、そうした“言い伝え”が広まっている事は確かである)。

これらを踏まえると、
「カーリア王家は、ラニの後も新たな子(女王)をなし、絶える事無くずっと続いていった」
と考えられます。

▶おわりに

カーリア女王が末長く、世代を変えて生まれ続けたとして、それが一体「誰の子」なのかまではわかりません。
ストレートに考えれば、「ラニと主人公の子から続いていくのではないか」と思いますし、或いは「レナラが(正気を取り戻して)再婚し、新たな子を授かった」と考えることも、プレイヤーがとったルートによっては「ライカードの子」なんて考えてもいいかもしれません(それが事実かは別として)。

ただ一つ、カーリア王家に、或いは律に縛られた狭間の地にさえも、誰かを愛し、子を産み、代を重ね、血を紡ぎ続ける“願い”があった事は事実であり、星の世紀の後、そんな世界をラニ達は創れたのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?