【考察】『黄金』と『死』の時系列【エルデンリング/ELDEN RING】
エルデンリングは作中において、月日や年を表す記述が無く、その為に正確な時の流れや、起きた出来事の順番を把握する事は困難となっています。
とはいえ、幾つかの記述や出来事を比べ、ある程度流れを把握する事は可能です。そんな中で今回は、「黄金樹時代の始まり」と「黄金律の始まり」、「運命の死が取り除かれたタイミング」と「宵眼の女王が敗れたタイミング」などにスポットを当て、実際の記述や出来事をベースにかつ具体的に考察していきたいと思います。
▶『黄金“樹”時代』のはじまり
黄金樹時代が“いつから”“どのように”始まったのかを表す記述は『マリカの言霊』と『黄金樹の護り』の二つにあります。
『巨人戦争』を示した言霊ですね。
必要な部分だけに要約して読むと、
「巨人たちを打ち滅ぼし、はじめようじゃないか。我ら黄金樹の時代を!」
となります。
つまり、
「黄金樹時代は巨人戦争の後に始まった」という事が伺えるかと思います。
巨人戦争を終えて始まった黄金樹時代は、その後戦続きであった事がこの記述からは伺えます。
実際、リエーニエ戦役や嵐の王との一騎打ち(リムグレイブ征服)、ケイリッドでの戦いなど、碑文等に残されている文面からも、その事自体はわかるかと思います。
▶『黄金“律”時代』の始まり
先程述べた『黄金樹の護り』のテキストの最後に、
「数知れぬ戦いと勝利によって、それは律となったのだ」
とありますね。
巨人戦争の後、幾つもの戦の痕跡がある事を考えれば、「数知れぬ戦いと勝利」はそれらを示す言葉でしょう。
「巨人戦争の後からケイリッドまでの征服の間」とも考えられますが、前文の「黄金樹の敵は全てだった」という記述を重んじれば、「敵対者がいなくなった後」と考える方が自然でしょう。
つまり、
『黄金律』としての時代が始まったのは、ケイリッドの戦いが終わった後と考えられます。
『リエーニエ戦役』をケイリッドの後と考える方も居るようですが、それについては後程解説する為、それも含めこの段階では「狭間の征服が終わった後」と認識してもらえるといいかもしれません。
さて、黄金律の始まりを示す記述がもう一点存在します。
それは『死王子の修復ルーン』です。
ストレートに解釈するのであれば、先程の『黄金樹の護り』の記述と合わせて、「狭間の地征服後に、『運命の死』を取り除いた結果『黄金律』が誕生した」という具合になるかと思います。
脱線する為、今回は詳細を省きますが、「取り除く」とは即ち「黄金律と運命の死は元々同体であった」事を意味します。
しかしそれだと少し違和感が残ります。
もう一度『黄金樹の護り』の記述を確認しましょう。
注目して欲しいのは「それ」という表記です。
これが何を表しているのかというと、考えられるのは概ね、
・全てに対する敵対意識
・敵対意識を持っていた真意(黄金樹の自我)
のどちらか、或いは両方になるのでは無いかと思います。
では黄金樹の性質について考えてみましょう。
黄金樹は、修復の仕方(修復ルーン)によって新たな法則を取り入れ、本来とは違う律となり、樹の色は変化します(各エンディング参照)。
新しい法則を取り入れる事で、本来とは違う性質になるのであれば、逆に存在する法則を取り除いた場合も本来とは違う性質になるはずです。
さて、「それ」についての話に戻りましょう。
「それ」というのが何を示すにせよ、「一貫性のあるもの」と考えるのが自然ではないでしょうか。
例えば、数知れぬ戦いの最中に「それ」の一部が消えてしまったら、法則が変わり、「それ」ではなくなってしまうのではないでしょうか。
具体的に言えば、「敵視」をやめてしまうかもしれません。
何が言いたいのかと言えば、
最後の締めとして『運命の死』が取り除かれた事で『黄金律時代』がはじまったわけではなく、運命の死が取り除かれた事で「それ」が誕生し、やがて『黄金律』となったのでは無いかと言う説です。
若干屁理屈なような気もしますが、あくまでこの一文は「黄金律の始まり」を示してはいるものの、「黄金律の時代の始まり」は示していません。
また、「それ」というものがやがて『黄金律』となっている事を考えれば、「それ」を「黄金律の始まり」と称してもおかしな事ではありません。
▶『運命の死』の取り除き
ほとんど前項で書いてしまいましたが、つまるところ『運命の死』が取り除かれたタイミングは巨人戦争よりも前だと考えられます。
これはあくまで、運命の死の「取り除き」と「封印」とを別物とした場合の説でもあります。
では、「運命の死を取り除いたらどうなるのか」について考えてみましょう。
先程「取り除き」と「封印」を別物とした場合と述べましたが、その場合、反対である「回帰」と「解放」も別物として考えた方がいいでしょう。
この「回帰」に当たるのが『死王子の修復ルーン』、
そして「解放」に当たるのが『マリケス撃破後に見れるムービーシーンでの出来事』ではないでしょうか。
「解放」をした場合どうなったかと言うと、
この台詞通りなら、「狭間は暗い死の運命に覆われた」事になります。
「解放した状態」即ち「封印していない状態」がこの状態であると考えた場合、ただ運命の死を“取り除くだけ”では、デミゴット達の不死性は生まれないと推測できますね。
逆に言えば、運命の死を封印して初めてデミゴッドは不死になると考えるべきでしょう。
さてそうすると、なんだか取り除く事自体には大して意味がないようにも思えてきますが、取り除いた結果運命の死に仕える存在、即ち『宵眼の女王』たちが後に誕生したのだと考えられます。
というのも、分離して出来た「それ」に仕え続けた存在としてマリカ達が居るので、反対に一個体として分離した『運命の死』に仕える存在も当然居るわけです。
▶『運命の死』の封印
取り除かれた時期が巨人戦争の前だとして、「封印された時期」、言い換えれば「宵眼の女王がマリケスに敗れた時期」がいつなのかという話も考えなければなりません。
結論的に言えば、少なくとも「巨人戦争の後」になります。
根拠となるのは『黒炎僧兵』の存在です。
元々『火の監視者』であった黒炎僧兵ですが、この監視者は巨人戦争の後、炎が消えない巨人の釜を監視する為に誕生しています。
つまり、監視者が存在しない巨人戦争より前の時間に黒炎僧兵の誕生はありえません。
また「神狩り」「禁忌」とある事から、まだ力を失っていない、即ち運命の死を封印されていない時期の出来事だと推測できます。
余談になりますが、同じ理屈から、宵眼の女王が活動していた場所は、『巨人たちの山嶺』であると言えます。
『霊呼びの洞窟』に『神肌のおくるみ』があったり、霊体の『神肌』が出現する事からも、そう断定していいでしょう。
『神肌』が死んでいる事も考慮すれば、マリケスと戦った場所も、恐らく山嶺と見ていいでしょう。
つまり、宵眼の女王が敗れた時期、運命の死が封印された時期は、どんなに早くても巨人戦争の後になります。
では逆に、
「どんなに遅くてもどの時期の前になるのか」を考えてみましょう。
これを導き出す為に必要なのが、以下の記述です。
逆説的に読むと、
「デミゴッド達が英雄であったのは、“運命の死を宿したマリケス”が存在していたから」
という事になります。
デミゴッドの武勇が語られている記述は少ないのですが、今回は時系列が比較的わかりやすい『ゴッドウィン』の活躍を例にしてみましょう。
ゴッドウィンが存命である時期といえば、当然彼が殺される『陰謀の夜』よりも前になります。
碑文として残されるような活躍ですから、十分に「英雄」と呼べるでしょう。
そしてデミゴッドであるゴッドウィンが英雄であるという事は、この時マリケスが既に運命の死を封印している事を意味します。
つまり、「どんなに遅くても、運命の死が封印されたのは『古竜戦役』よりも前」という事になります。
いやいやそれだとだいぶ範囲広くなるぞ!
という声が聞こえてきますが、まったくもってその通りです。
では少し角度を変えてみましょう。
大事なのは「恐れ」即ち、「マリケス」を“知っている”事です。
極端に言えば、「マリケスと面識があればいい」という話にもなります。
本当に極端ですが……
この考えでいくと、「英雄たるデミゴッドがうまれた時にはマリケスは既に運命の死を封印している」という事になります。
結論で言えば、「運命の死が封印されたのは、ゴッドウィンが生まれる前」まで絞れるわけですね。
そうなると考えなければならないのが、「ゴッドウィンはいつ生まれたのか」という問題です。
一度解説を省いた、「『嵐の王との一騎打ち』と『リエーニエ戦役』どっちが先か」問題を先に片付けましょう。
リムグレイブはローデイルから向かう場合、リエーニエを経由しなければなりません。
この事実上、リムグレイブに向かう為には、リエーニエの人々が、侵略の為に武装しているであろう黄金樹勢力を黙って通過させなければ実現しません。
「敵は全て」という記述通りに解釈するなら、わざわざ目先のリエーニエを無視してその先のリムグレイブを攻めるとも考えにくいところです。
「リエーニエとリムグレイブを同時に攻めた」という可能性はあっても、「リエーニエより先にリムグレイブを攻めた」という事はとても考えられないのではないでしょうか。
また、『リエーニエ戦役』は二次に分かれている為、同時であるなら「一次戦役とリムグレイブ侵攻」「二次戦役とケイリッド侵攻」をそれぞれ同時と捉えると綺麗かもしれません。
ゴッドフレイの活躍中にマリカの痕跡が無い(活躍後と思われる『第三マリカ教会』の言霊はある)事も踏まえると、「ラダゴンとして出払っていた」と見てもいいかと思います。
さて本題に戻りますが、なんとなく
ゴッドフレイの子 ⇒ レナラの子 ⇒ ミケラとマレニア
の順番で産まれているのではないかと思っている方は多いのではないでしょうか。
少なくとも、巨人戦争の時点では二人が婚姻している事がこの記述から伺えるかと思います。
「婚姻しないと子が産めないのか」というと別にそういう訳では無いと思いますが、他の表舞台に立っているデミゴッドが婚姻後に産まれている印象が強い事を考えると、ゴッドウィンも同じであると推測してよいでしょう。
とはいえ、「運命の死の封印は巨人戦争の後」である事を考えると、ゴッドウィンが産まれたのも同じと考えた方がいいかもしれません。
ただし、リエーニエ戦役などが始まると、マリカもゴッドフレイも手が空いてないと思いますので、その点を考慮すれば「巨人戦争とリエーニエ戦役の間」になるのではないかと思います。
作中で唯一「坊ちゃま」と呼ばれているゴッドウィンですが、もしかしたらマリカがラダゴンとして不在の間、まだ幼かったゴッドウィンの世話を指読みが代わりにしていたとも考えられます。
だいぶ長くなってしまいましたが、要するに
・ゴッドウィンが産まれる前からマリケスは運命の死を封印している
・ゴッドウィンが産まれたのはリエーニエ戦役よりも前
という二つの仮説が正しい場合ではありますが、運命の死が封印されたのは、宵眼の女王が現れたのは、巨人戦争から程なくして、という事になります。
「そのはじまりにおいて」
つまりは「運命の死を取り除いた事によって全てが敵となり、その結果巨人戦争を起こした」とするならば、運命の死が取り除かれたのは巨人戦争の直前になる為、孤立した運命の死という概念に使徒ができた時期を考えても、不自然はないのかなと思います。
「赤」と言えば『運命の死』の色は赤が特徴的な色をしています。
赤味を失った事が運命の死の封印と関係しているのであれば、「束の間の豊穣」と「黄金樹の時代が始まりから程なく運命の死が封印された」という考えと一致するのではないでしょうか。
取り除かれた状況でも、封印されていなければ影響を及ぼすのは、黄金樹が燃えた事で確認できます。
▶まとめ
まずはここまで長々と読んで頂き、ありがとうございます。
今回の内容で時系列を構築すると以下のようになります。
(※『▶』はその上の出来事と同時期或いは直後と思われるもの)
①『運命の死』の“取り除き”
②『巨人戦争』
▶『宵眼の女王』誕生
③『黄金樹時代』到来
▶『運命の死』の“封印”(『宵眼の女王』敗北)
④ゴッドウィンら黄金の一族誕生
⑤『リエーニエ戦役』
▶ゴッドフレイの活躍
⑥『律』(黄金律)の誕生
以上で今回の考察を終わりたいと思います。
拙い考察ではありましたが、少しでも楽しんで頂けていたら幸いです。