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DMが2024年改訂版に期待する事

全世界に5,000万のファンを持つ、世界最高のロールプレイング・ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は今年2024年に50周年を迎えた。
2014年に「第5版」が発売されて以来、その人気は加速し、この10年間で多くの追加ルールやエラッタが登場してきた。これは何も、公式製品のみならず、ユーザーや他企業が作ったサードパーティー製品においても、である。
そして今年、ルールやデータを更新した「改訂版」の基本ルールブックが発売される事となる。

一般認識との違い

D&Dをまだよく知らない人の為に、書かねばならない事がある。D&Dはよく「データゲーム」と呼称されることがある。キャラクターを作成する際、そしてそれを成長させるとき、種族やクラス等を選び、呪文を選び、それぞれに効果や用法が存在するからだ。
当然の話かもしれないが、ボードゲームやカードゲーム、よりデータを濃く扱うTRPGシステムなと、データは書いてある通りにそのまま運用するのが一般的だろう。しかし、D&Dにおいては “そうではない”ことの方が目立つ。というのも、先述の通りサードパーティー製品が盛んであり、数多くの追加ルールや変更案が世にあるのだ。また、5版製品のみならず過去版を含めて独自のルールやデータを作って遊ぶ者もいる。
何故このような事になるのかと言えば、D&Dというゲームはダンジョン・マスターによって作られ、“自分のゲーム” を作ることこそがDMの本流だからだ。このことは基本ルールブックの1冊である『ダンジョン・マスターズ・ガイド』を読めばわかるだろう。ルールブックやそこに書かれたルールやデータといったものはあくまで “スタートライン” でしかないのだ。

すべてが『アセット』

改訂版の中身は徐々に公開されており、確認してみると大きな変更がどこもかしくもされている。はっきりと言えば「同じ名前の別データ」であり、2014年版と比較してどちらが好きか好みが別れるようなものもある。
しかしこれは『アセット』、つまり自分たちのゲームを作るための素材だ。2014年版や他の製品と合わせ、良いと思ったところ取り入れ、悪くなったと思うところを省き、よりゲームバランスが良くなると思う変更を自由に加えて良いのだ。昨年2023年に発売された『バルダーズ・ゲート3』においても、第5版をゲーム的により遊びやすく楽しいように改善した作りになっている為、大きな参考や素材になるだろう。

おわりに

インターネットによるオンライン・セッションが盛んになり、いわゆる「野良卓」が主流となった関係もあり、ルールブックの記載やデータままの運用の需要は確かに高い。その方が「共通認識」が持てるからだ。
しかし、DMであるなら、せっかくD&Dを遊ぶのであれば、無限の創造性とそこから生まれる可能性を殺す道理はないと、私は思う。
我々のゲームに幸あれ。

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