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盗難にあった怖い話


初めましての人は初めまして、木村あしえです。




今年の夏も暴力的な暑さに見舞われましたね。




さて、夏の風物詩と言えばなんでしょうか?



花火?

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新型なんちゃらウイルスで中止です。
(開催した地域もあるみたいですが。)





おやつcs?

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これも新型なんたらウイルスで延期。







そう、怖い話です。






今回は、夏と言うことで僕が実際に体験し、肝を冷やした怖い話にお付き合い下さい。


………






時は2013年の初秋、僕が高校3年生だった時の話だ。


僕の高校はロボット競技と呼ばれる、毎年変わるお題に合わせてロボットを作成し、これを操縦して点数を競うと言う部活が有名だ。


僕の地元では敵なしの無敵状態で、鬼に金棒、アムロにガンダム、ZweiLanceにデスザーク、県大会優勝は当たり前で、毎年全国大会に出場する強豪校だった。


この県大会は、出場校のいずれかの体育館が会場になるのだが、この年は丁度僕の高校で、そのロボット部の顧問が僕の担任だったため、クラス総出で会場の設営に駆り出された。


僕は普段、財布を制服のポケットにいれて持ち歩いていたのだが、この時は力仕事の邪魔になるだろうと通学に使用しているカバンに放り込み、教室を後にした……。















そして、運命の歯車はこの時

既に回り出していた。












会場の設営を終え、教室に戻ると自分のカバンの異変に気付いた。

通学等の移動時以外、日頃半開きにしてあるカバンのチャックが完全に閉まっていたのだ。





不思議に思ったのだが、もしかしたら貴重品を入れたため無意識の内にチャックを閉めたのかもしれない。
















しかし、その考えは一瞬にして裏切られた。










「チャックの閉め方が違う。」










僕はファスナーを必ず左右どちらかの端っこで終わらせるが、この時は丁度中央で終わっていたのだ。



























僕は確信した。


















「他に誰かカバンを触った奴がいる。」















一応教室が空になる、所謂移動教室の場合には防犯のため教室の扉を施錠することになっている。

つまり、この状況下で教室に侵入するには鍵の持ち主か、そいつが内通者で第三者に鍵が渡ったか、完全犯罪のどれかだ。









しかしそんなこと今はどうでもいい。










背中に冷や汗が流れ、

嫌な焦燥感に掻き立てられる。










「いや、まさか……」











それまでの人生で一度も盗難被害に会ったことのない僕は、宝箱に化けたミミックを警戒するかの如くカバンを開き、恐る恐る財布を確認する…。



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(ミミックとは、国民的RPGのDゴンクエストに登場する、ダンジョン内の宝箱に擬態してプレイヤーを襲うモンスターである。そこそこ強い。)







決して信じたくなかった嫌な予感は見事的中した。









やはり、朝にはあったはずの5000円札が綺麗さっぱりなくなっていたのだ。








「やられた!」









一般的にはこの時点で、この焦りが落胆や怒りに転じるだろう。













しかし、僕の焦りは収まるどころか、

心拍数が一気にはね上がった。











僕は当時からデュエルマスターズ大好きボーイだったので、放課後はほぼ毎日DMに打ち込んでいたため、常にデッキを持ち歩いていたのだ。






そして、このとき同じカバンに当時トップメタの一角だった初期型の墓地ソースが入っていた。

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(多分、こんな感じのリストとレアリティだったと思う。)




当時は5000GTが文字通り一枚4500~5000円くらいで、おまけにスファイアWINNER版は確か3500円くらいだったため、





下手をすれば5000円の喪失どころの騒ぎじゃなくなる!









むしろこっちが本命と言ってもいい!!









「やばい!!!」









僕の脳裏に一閃の光が疾り、
脇目もくれず、ストレージを確認する!







慌ててカバンの中身を掻き出すが、黒いカバンと保護色の、やのまんの黒いストレージは、カバンの奥底に不動の如く鎮座したままだった。



しかし、中身がどうなっているかは分からない。



ストレージからを墓地ソースのデッキを取り出し、デッキの枚数、そしてそれらの高額カードの有無を慌てて確認する!



「頼む…!間に合ってくれ……!」 





…。



















……。














………。
















「あぶねー!間に合った!!!」

















盗人にはTCGの知識が無かったのか、現金しか目に入らなかったのだろうか、どちらにせよ奇跡的に40枚全て無事だった。


僕は、生きた心地のしなかったこの数分の緊張感から解放され、胸を撫で下ろした。


そして、その日の放課後もDMに勤しむため、まだ夏の余韻が残る秋空の下、勢い良く自転車を漕ぎだしたのだった・・・。








5000円盗難された事も忘れて。


-fin-










如何だったでしょうか?


「現金を盗難されたけど、それ以上の物が同じカバンの、しかも財布のすぐ下にあった」と言うお話でした。



もし犯人にTCGの知識があり、レートを理解している奴だったらと思うと今でも背筋が凍ります。




ちなみに後日、この犯人は見つかったみたいです。








やはりと言うか、

5000円は返ってこなかったけど。



あしえ

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