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【3分間のショートストーリー】後悔

ある日僕はいつもの道をいつものように歩いていた。
さっきまでは雲一つない快晴だった。
今は夕日が眩しくて僕はまっすぐ前を向けない。
歩いていると地面に穴があいている。
近づいてみると確かにそれは穴だった。
穴の大きさは僕の足のサイズくらいだ。
23cmの不思議な穴。

僕は気になって覗いてみることにした。
覗いてみると、向こうはお花畑があった。
僕が今まで見たこともない花がたくさん咲いている。
虫もいる。鳥もいる。動物もいる。
川が流れ、雲が泳ぐ。
あれ?でも人がいない。
あれ?何かがおかしい。
あれ?僕はこの世界に立っている。
あれ?僕は何をしていたんだっけ。
よく思い出せないや。

この世界には僕以外に人がいない。
でも何も怖くなんてない。
僕はこの世界で育ってきたんだから。
何も怖くなんてない。
でもなんだかモヤモヤするなぁ。
誰か僕と話してよ。
虫も、鳥も、動物たちも僕とは話してくれないんだ。
この世界では僕はひとりぼっち。
でも何も怖くなんてない。
今までずっとそうだった。
でもなんだかモヤモヤするなぁ。

誰かと話したい。
笑いたい。笑うってなんだっけ。
あれ?思い出せない。
僕は何が好きだっけ?
僕は何を食べてたっけ?
あれ?思い出せない。
怖い。とても怖くなってきた。
この世界では誰も僕を知らない。
僕は誰?
僕はひとりぼっち?
怖い。ひとりぼっちは嫌だ。
目の前がグルグル回る。
誰か助けて。
目の前がグルグル回る。

僕は解けた靴紐を結んでいた。
そういえば靴紐が解けていることに気がつかないくらい考えごとをしていた。
考えていたことはわかってる。
さっきお母さんとケンカしたんだ。
僕は家を飛び出した。
僕は家になんかいたくなかった。
お母さんにひどいことも言った。
ひとりになりたかったんだ。
なんで?
なんでそう思ったのかなんて忘れてしまった。
そういえばおなかか空いてきたなあ。
確か今日の夕飯はハンバーグ。
しょうがない謝ろう。
しょうがない家に帰ろう。

ひとりぼっちは寂しいよ。
誰かに言われた気がした。

なんだか少し寂しい気持ちになった。

早く家に帰ろう。
なんでケンカしたんだっけ?
とりあえずゴメンって言ってみよう。
大丈夫、きっと許してくれるはずさ。

帰り道に穴は1つもなかった。

だだいま。ハンバーグのいい匂いがする。


#処女作 #突然降ってきた物語

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