漫画「ちはやふる」の最終回について

 アニメ化•映画化もされた大人気漫画「ちはやふる」。実は私も数年前に読んでハマり、単行本勢として追っていました(私はアニメ•映画は未視聴)。ちなみに8月31日までアニメ1期がYouTubeで無料公開中みたいです。
 その「ちはやふる」が2022年8月1日に最終回を迎え、その最終回が割と賛否両論だったので自分が感じたことをつらつらと書きたいと思います。
めちゃくちゃネタバレしてるので苦手な方はブラウザバックお願いします。

 以下ネタバレ注意



 結末から言うと私としても「う〜ん」となってしまう結末だったと言わざるを得ません。
 いわば「太一エンド」となった最終回ですが、荒れている理由は「展開があまりにも唐突だったから」でしょう。
 本作において心理描写は新より太一の方が詳細に書かれていた面は強かったですが、千早が異性として意識していたのは新の方でした。それは作中で千早が告白を新から受けた際には態度を保留した上で後日「かるたがひと段落したら答えを出したい。」旨を伝えているのに対して太一からの告白には「ごめんなさい」と明確にNOを回答していることからも言えると思います。この太一告白後にかるた部から太一が離脱した後にも、千早が太一不在を寂しく思うシーンは多くありましたが、それにより太一への恋愛感情を意識するみたいなシーンはありませんでした(最終回終了後全巻読み返しました)。
 また、最後のクイーン戦・名人戦前には奏からの「今でも千早のことが好きか?」という質問に太一は「わからない。でも千早への気持ちは段々と薄れていくと思う。」と答えていました。
 上記を踏まえれば、多くの読者は最終回では新の告白へ返事をしたうえで新と結ばれるエンドか異性関係に疎い千早から明確な回答を出さずに仲良しエンドという形を予想をしていたかと思います(個人的には新エンドを予想していました。)。
 しかし、蓋を開けてみれば最終回においてはらそれまで近くにいた太一が遠くの大学に行ってしまうこと及び机くんの発言によって「今の千早は太一にとって"ただの友達に過ぎない"ことを実感する」くらいしか千早が太一を異性として意識し直すきっかけといえるものがなく唐突に太一エンドになってしまいました。
 上に述べた2つのきっかけは恋愛漫画にて自分の恋愛感情に気づくかきっかけとしては王道ではありますが、かるた部から太一が去ったことや告白された上で振った事の方がよほど異性を意識する機会としてインパクトが強く最終回の描写のみでは描写不足でしょう。
 加えて言えば、新からの告白への回答を「かるたがひと段落したら」としていながら、新に結論を伝える前に太一に告白してしまった千早がかなり薄情に映ってしまいます。割とコミカルに描かれているとはいえ、太一と付き合った事を伝えるシーンにて実質的に新を振るシーンはかなり残酷です(NTRシーンみたい)。
 千早、太一、新の3人とも好感度が高いキャラクターであったため、荒れるというよりは、かなり心理描写を細かく描いていた本作だっただけに賛否両論という形になってしまったという印象です。

 とここまで最終回について、割と否定的な意見を書いてしまいましたが、漫画「ちはやふる」は間違いなく名作です。何といっても「競技かるた」という今ではマイナーな競技の魅力を存分に伝えながら高校生の青春をこれほど紡いだのはとても素晴らしいと思います。キャラクター1人1人も綺麗な絵でとても魅力的で丁寧に描かれており(だからこそ最終回が残念なのですが)、不快な人物はいないと言ってもいいです。終盤は掲載誌の影響かやや引き伸ばし感はあったものの、全体としてはとても素晴らしい作品でした。
 末次由紀先生15年間連載お疲れ様でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?