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【か】 頭無遺跡

頭無遺跡 かしらなし いせき (旧石器電子辞書)

                              前原 豊

1 遺跡の位置
群馬県前橋市頭無遺跡は、赤城南麓に広がる丘陵性台地の末端に位置し、周辺の遺跡とともに柳久保遺跡群を形成する。遺跡一帯の標高は109m前後であり、その西側には赤城山麓から湧出する宮川が南に向かって流れ、荒砥川と合流している。荒砥川はさらに桃木川に合流した後、利根川となって太平洋に向かう。

2 発掘調査と出土層位
本遺跡は1987年4月から10月にかけて前橋市埋蔵文化財発掘調査団により調査された。調査によって東北系珪質頁岩を主体石材とする削片系細石刃石器群が検出された。写真の赤矢印が石器群の出土層位で、As-YP以前、As-SP以降が主たる包含層位とみられる。

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3 検出された細石刃石器群
 検出された細石刃石器群は426点を数え、細石刃核1、細石刃核関連用品5、細石刃120、荒屋型彫器9などで構成される。また、石器群の中には少数ながら黒曜石がみられ、蛍光X線分析では6点中、5点が箱根畑宿産、1点が神津島恩馳島産という結果が得られている(須藤ほか2021)。
出土品は前橋市教育委員会文化財保護課に保管されている。

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【引用参考文献】
前原 豊ほか 1988 『柳久保遺跡群Ⅷ』前橋市埋蔵文化財発掘調査団
須藤隆司ほか 2021 「赤城山麓削片系細石刃石器群に伴う黒曜石の原産地推定結果とその検討」旧石器研究 第17号

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