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料理と書類の下ごしらえについて(だらだら書いてみたシリーズ)

「下ごしらえ」と言えば料理を作る際に、のちのちの工程での作業が滞らないように、また、きちんとした味のあるご飯を作るためには必要な作業だと思う。何をするにも下ごしらえと言うものは重要になってくる。1にも2にも下ごしらえ。下準備。

 でも、「下ごしらえ」ってその一連の作業の全体像が身につかないと、「何を下ごしらえればいいのか」もわからないんじゃないかなってことを体感してきた。下ごしらえが出来ないから作業が滞る以前の問題である。身体で作業全体の流れを自分の力で掴まない限り、つまり場数を踏まない限り、書物に記載ある小技も、先人たちの小言も、自分の役にはなかなか立ってくれない。場数をこなしてやっとこさ、そこに書いてあることの意味や、言われた言葉の意味が少しずつ「ああなるほどな」と分かってくるものだと思う。

 勿論、私はこんな事苦手で仕方なかった。必要なものはその都度冷蔵庫からだし、あれが足りないこれが足りないと言いながら洗ったまな板をまた引っ張り出しては冷蔵庫から野菜を取ることなどしょっちゅうであったが、最近下手に料理に時間を掛けたくない事もあったり、作業自体に慣れてきたのもあるのか、下ごしらえ(事前準備)をすることを少しずつ意識するようになってきた。まずはその日使う材料を冷蔵庫から全部出す。全部出しても置き場がない場合は、包丁を使って切る必要がないものとか、コンロで火を通す必要がないものなんかは別枠にする。そして、カットが必要なものは全部切っちゃう。全部切っちゃってから、でかいバットに並べて置いておく。こうすると、何をどの皿に置いて、更にその皿をどこに置いたのかを忘れなくて済む。(ただし、大目に野菜を切っておいた場合は、都度ラップでくるむか、フードコンテナに入れて冷蔵庫に入れる)次に、下茹でが必要なもの(根菜類)なんかは切ったらレンジで茹でる。その間にまな板あらって、包丁で切る必要のないレタスとかをちぎったり、肉に塩コショウかけて下味をつけたりしている。あとはコンロでパスタ茹でたりとか。そういう事をちょっとずつだけど、意識をしている。勿論何も考えないでコンロの前に立って「あれ、私何したかったんだっけ」と思ったり、今日なんかもじゃがいもの上にツナ缶のせて焼く気でいたのに、肝心のツナ缶忘れたまま、トースターにじゃがいも突っ込んでいたりそういう事も全然あるけど。でも、「使うものは全部出して全部切る」を心がけるようになってから、ちょっとばかし作業が楽になった。と言うかとくに、作業台がろくになくて、コンロも1つしかないと、コンロ使っている間に作業する場所がないから、切るなら切る作業を先にやっておかないと本当にめんどくさい事になるのだけなのだが。

 それで、台所での作業で下ごしらえを意識するようになったころ、仕事でも下ごしらえにちょっとずつ意識が行くようになった。いや、この仕事を始めて11か月にしてやっとですかと言う気もするが、そこは触れないでいただきたい。と言うわけで、備忘録とリマインドと意識を保つために、個人メモも兼ねて下ごしらえ重視の仕事の「とっかかり方」を記してみようと思う。とっかかり方なので、一連の作業の全部は書かない。とっかかり方だけね。

 第一に、私の職種は、職種名だけ言えば「貿易事務」職。イメージは人それぞれあると思うが、「ええっと、貿易に必要な英語で書かれた書類を扱っている人」と言うイメージに不一致はないと思う。輸出担当・輸入担当・買付担当と担当により仕事の内容は違うのだが、私の今の担当は輸入で、毎日の主な仕事は輸入通関書類の整合性の確認と、それを業者へ依頼書類を転送することだ。業務のスタート地点は、上司から通関書類の束が1日5件程渡されるところから。渡されたらまず、貨物のフリータイムを調べる。海上貨物の場合輸入港のコンテナヤードにコンテナが蔵置されることになるんだけど、搬入先のヤードによりコンテナをタダで置いておける期間が異なっている。このタダで置ける期間がフリータイム。だからタダで置いておける期間内に輸入通関を切って、ヤードからコンテナ出さないと延滞料取られちゃうんですよね。そこでまず、フリーが短いものから手を付けていかないといけないので、優先順位が決まるのだ。フリーを一通り調べてメモをしたら次に共通のファイルから業者への依頼書面と、書類不備がないかを確認するレ点チェックシートを出力する。これを、その日処理する分すべて先に出力する。すべて先に出力、と言うのは上司からのアドバイスなのだが、とりあえずのことはありがたく聞いておくものだ。仕事を始めたころは、1件1件書類が混ざるのが怖くて、1件片づけるたびにもう1件1から書類出し直しと言う事をしていた。確かに初めのうちはその方が確実で、上司が「纏めて書類出した方が早い」と言ってもその理由を体得できなかったからやらなかった。それからプリンターの位置も近かったから、逐一取りに行ってもそこまで手間にはならなかった。だが流石に、11か月も経つと、そしてここ2か月でプリンターまで遠い席に引っ越しをしたとなると、さすがに出せるものはとりあえず全部出す、と言うやり方に変えた。そして(やっぱり)プリンターまで遠いので、印刷した紙を取りに行く序に、今度はその日処理する通関書類の束をすべて持って、プリンターまで行く。印刷が終わった書面は控えておき、次は持ってきた束の中から、コピーが必要な書面のコピーを取る。1束分のコピーが終わったら、原本もコピーもひとまとめにして束の中に返してまたクリップで止めておいて、そして次の束も同じようにコピーしてまた戻す。これが全部終わったら席に戻る。

「ふぅ、コピー終わりー」と一息ついてお茶でも1口飲んだら、チェックをする書類の束を1つ選ぶ。選んだら出先ほど出力した該当するチェックシートと依頼書面を抜いて合致させる。この時、先ほどコピーを取った書類の原本(船荷証券と原産地証明書の原本)が束の中に書類があれば引っこ抜いてしまい、送り状(依頼書面と同じなんだけどさ)記載のB/L番号・Invoice番号と照合し、蛍光ペンでチェックを入れる。いくらどんどん書類を処理するとはいえ、目視だけでは余計勘違いを起こしそうなので、私は送り状にさえ蛍光ペンチェックを入れてしまう。(逆に書類を自分が受け取る際も、チェック痕が残っていた方がいいっちゃいいかもしれない。)照合が出来たら送り状と纏めてホチキスで止める。それをクリアファイルの中にどんどん突っ込んでいって、1日の業務のめどがついたところで、依頼業者に郵送する処理を行う。それからさっきコピーを取った海上運賃や諸費用の振込金額が記載されたArrival Noticeもこれまた引っこ抜いてクリアファイルの中にどんどん突っ込む。これも後で1日分を処理する。

…此処までやって初めて通関書類の整合性をチェックすることができる。

 上記の「書類原本を全部持って行って全部コピーしてまた束に戻す。」という方法にいたるまではそれこそ11か月掛かった。当初は実際に大量の書類をコピーして、同じ番号ごとのものを纏めるという作業が面倒で、正直に1回に何束分のコピーもしたくない。その面倒さが先に出て、今までは扱う書類1束ずつコピーをしていたが、今度は1束ずつコピーするのが逆に面倒になってきたので、とりあえず全部コピーだけ取ってしまおうと、コピーする必要がある書類だけを引っこ抜いてコピーをしたら、今度はどの書類をどの束に戻せばいいのかが分からなくなってしまった。然し、書類をクリップで丸ごと持っていき、束ごとにコピーを都度都度纏めていく方式を思いついてからは、書類をどこに戻せばいいのかわからなくなる問題は随分解消された。それからあとは1件1件捌く中で、送る原本書類、伝票切るA/Nを振り分けていくので、書類がまた混乱することも減る。あんまり自慢できるような技ではないが、この整理整頓と効率よく物事をこなすことが不得意な私が、良くここまで工夫が出来るようになったなあと自画自賛したい。まだ効率が悪い所だらけなのが現実だが、「事務職なんて絶対無理!向かない!」と怯えていた頃に比べれば出来るようになった事もあるものだ。

 ううん・・・・・・・・。料理にせよ書類捌きにせよ、なにがそうさせたかと言えば、小技も小言もそうだけれども、「結局は反復して体得する」という体育会系のコメントしか残せないのが残念だ。小技も小言も受け入れる素直さは大切だけども、同時に「合わない」と思ったら一端脇に置いてみる事も必要だ。それで自分がしっくりくる方法が他に見つかればそれを続ければ良いし、一端脇に置いた小言や小技がやっぱり良いなと思えばもう一度そうしてみればいいのではないか? なんだか受験生の時にああでもないこうでもないと勉強方法を模索して、やっと自分にフィットする方法が見えかけてきたころの感覚に似ている。

 ただ、ここまで書いてみて、自分自身では「おお!これは発見だ!流石だ!」と思っていた技も、文字にして読み返すとどこを読んでも書いてある小技にしか過ぎないねえ…。と思うのだが、備忘録なのであまり気にしない。


 と言う、柄にもない記事を記すほど、私は平和ボケしそうで恐ろしい。

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