天鳳の技術⑦(数多くの情報を処理する力)

世の中には数多くの麻雀戦術書が出回っているが、それを読むことでどの程度自分の雀力アップにつながるのだろうか。「平和ドラ1はリーチ」というのはもはや常識になっており、他にも様々な麻雀のセオリーが存在する。最近は特に統計学や数学的なアプローチが麻雀戦術論に新しい風をもたらしており、既存のセオリーを否定したり新しいセオリーを生み出したりしている。このような戦術が書籍やインターネットに拡散されることで麻雀プレーヤーの平均的な実力は確実に向上している。

だがそんな全体的な実力が上がった現代においても、他と差をつけることができるプレーヤーも存在しているのも事実である。では何故、実力差が減った現代において彼らは勝ちきることができるのだろうか。それは麻雀というゲームでは、勝ち負けに影響を与えるような要素が数多くあり、統計学などのデータ分析ではその要素を組み合わせたパターンを全て網羅することは難しく、できたとしてもそれをセオリーとして一般化することは難しいからである。点棒状況、手牌の価値、場況などには様々なパターンがあり、それに加えてルールやプレーヤーの特徴などを加えれば全ての情報を処理することなどは不可能なのである。

前置きが長くなったが、言いたいことは、このような情報の中から、その状況で優先的に考えられるべき要素を適切に把握・処理をして、打牌に生かすことが長期的な成績を残すために必要だということである。

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局面はオーラス。自分はトップ目から大きく離された2着目。ラス目に満貫放銃をすればラスに落ちるという状況である。もうトップを狙うのは厳しい状況で、さっさと流してしまいたいが、ツモったのは4索。普通に打つなら1索だが、さてどうする?

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選択したのは6筒。この状況で最も避けたいことは下家に振り込んでラスに落ちること。もし1索を普通に切り、その後リーチしてしまうと、1本場やリーチ棒を入れると、下家に5200点を打つだけでラスになってしまう。逆にリーチをかけなければ西の対子もあってオリやすい牌姿である。
だからこそ、ここはリーチをかけない手組み、つまり手役(3色同順と平和)を見て6筒打ちとした。

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すると次巡、上家から2索が打たれ、三色一本に絞ってチー。安全牌があるのと、上家が4筒を切っていて1筒が打たれやすいというのも仕掛ける理由であった。

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結果うまく行き、なんとか2着を守ることができた。

麻雀で結果を残し続けるプレーヤーになるためには多くの要素に気づき、その意味を理解し、それら全ての情報を頭に入れた上で最も適した打牌をしなければならない。今回は点棒状況がおそらく最も重要な要素で、次に安牌の有無や上家の捨て牌情報などが判断に影響を与える要素であった。ドラが既に枯れているのと周りがそこまで速い捨て牌をしていないということもある。

麻雀は非常に複雑なゲームだ。戦術書を読むというのも一般化できるパターンを学ぶという意味で雀力アップには有益である。しかしそのパターンを細分化してそれぞれの場況に応じた打牌をするというのはそれぞれのプレーヤーの役割である。ただ逆に言えばそれは他のプレーヤーと差をつけられる領域もある。一般的なセオリーを学びつつ、自らの経験や他のプレーヤーの闘牌を見て、その状況におけるベストな判断を見つけていく。そうすることで強くなれるのだ。

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