カルロ・マリア・ジュリーニの生誕110年を祝す

本日、指揮者のカルロ・マリア・ジュリーニが1914年5月9日に生まれてから110年目を迎えました。

ジュリーニというと名声の高さに比べ、世界的な楽団を率いた時期が短く、その経歴の多くの時期を特定の団体に関わることなく送ったということもあり、「孤高の指揮者」とも呼ばれることは広く知られる通りです。

また、3回にわたって来日したものの、1982年を最後にその芸術が完成期を迎えた最晩年は待望されつつ日本を訪れることはありませんでした。

結果として、1998年10月に引退するまでの16年間の活動に接するためには、現地の公演を鑑賞留守の出なければ、もっぱら録音を頼りにするのみとなっています。

残念ながらジュリーニを直接目の当たりにし、演奏に耳を傾けることのできなかった私は、当然のことながら録音を通してその芸術に親しんだものです。

そのため、私の手元にもジュリーニが手掛けた音源がいくつかあるものの、とりわけ印象的なのは1992年にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と収録したドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」です。

これは1996年にソニー・クラシカルの一枚として販売された際には、自由が丘東急ビルの新星堂で買い求め、一音ずつ丁寧に磨き上げながら作品を組み立てる様子と、特に第4楽章の悠然とした雰囲気は数ある「新世界より」の音源の中でも屈指のものと感慨深く耳を傾けたものでした。

このCDには特典としてジュリーニがその半生を振り返る談話を収録した8センチCDが同梱されていました。

サンタ・チェチーリア音楽院でヴィオラを学んだ際の体験や26歳で徴兵されて第二次世界大戦に従軍した経験が自らを平和主義者に変えたという経緯などをジュリーニの声を通して知ることが出来たことは、その音楽をよりよく知るためにも意義深いものでした。

今も色褪せることのないジュリーニの芸術に敬意を表しつつ、その生誕110年を祝賀する次第です。

<Executive Summary>
Celebrating Carlo Maria Giulini's 110th Anniversary (Yusuke Suzumura)

The 9th May, 2024 is the 110th anniversary of Carlo Maria Giulini, a conductor and a Former Music Director of the Los Angeles Philharmonic, who was born on 9th May 1924. On this occasion, I remember miscellaneous memoris Giulini.

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