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今必要な少子化対策を考えてみました Vol.1

2022年の出生数は80万人を割ることは確実で、77万人台になるとの予想がされています。コロナの影響などもあるのでしょうが、想定よりも少子化がかなり早く進んでいる中、2023年の年頭記者会見で、岸田総理が「異次元の少子化対策」に言及されました。

総理が述べられた少子化対策の3つの基本的な方向性は以下の通り

  1. 児童手当など経済的支援の強化

  2. 学童保育や病児保育など「子育てサービスの強化」

  3. 育児休業制度をはじめとする「働き方改革の推進など」

どれも必要ですが、これだけではまだまだ足りないと感じています。
私は創業時のキッズドアの定款の法人の目的に「少子化の解消に寄与する」と書いたぐらい、もう15年以上「少子化」を注視してきました。
ようやく、政府が本気になって少子化対策をすることへの期待を込めて、私が考える今の日本の少子化対策のポイントを考えてみました。

今の日本の少子化の課題は少子化の長期化と、その結果起こる労働投入の減少

  • 少子化というと、「赤ちゃんを増やさなきゃ」と考えがちですが、日本では第2次ベビーブームの1974年以降、すでに40年以上、ほぼ一貫して出生率が上がっていません。生まれる子どもの数「出生数」も減り続けています。

  • その結果、労働投入が減り経済の成長力が下がります。また、年金や医療など現役世代が支える社会保障制度が揺らぎます。

  • 少子化対策として、出生率や出生数を上げることはとても大切です。しかし、それだけでは、長期間改善が見られなかった日本の少子高齢化の危機は乗り切れません。

  • 少子化対策としては「赤ちゃんを産んでもらう」対策のみならず、今の現役世代や比較的短期間に稼ぎ手になる高校生や大学生などの若年層に投資をして、しっかりと稼いでもらう。増加する高齢者の社会保障を支えるためにも「目先の労働力の確保」もとても重要です。

  • 加えれば、今の高校生は100から110万人のボリュームがあります。20歳は122万人、30歳126万人います。この世代が「稼いでくれるかどうか?」は重要です。稼いで、結婚して、子どもを産んでくれるかどうか?が重要です。

  • 女性が出産できる年齢は限られています。出産できる女性群がまだ多い今、異次元の少子化対策をやらなければ、この先、子どもを産める母数は急激に減ります。若者に膝まづいて「子どもを産んでください」とお願いするべき時期に来ていると私は思います。


目先の出生数増と、目先の労働力確保の両輪での少子化対策を

国民が少子化で不安なのは、将来、働く人が減って社会保障制度が崩壊することではないでしょうか?少子化が急激に進むと、健康保険や年金が崩壊します。例えば、今70歳の人は「自分たちはなんとか滑り込みセーフ」と思っていたのに、政府の想定よりもかなり早く少子化が進むと、「これはまずいかも」と不安になります。
人生100年時代、あと30年は生きるとなると、誰が自分の老後を支てくれるのか?と急に不安になります。
多くの高齢者にとって、少子化は自分とあまり関係ないと思っていたものが、実は自分にも直接影響がありそうだということで焦っておられるのではないでしょうか?

2022年に生まれた赤ちゃんは77万人余り(推定)ですが、2022年の70歳は178万人もいます。赤ちゃんの2.3倍 70歳がいます。

今の70歳の人が安心して老後を送るためには、20年後に働き始める今の赤ちゃんや、これからの少子化対策で生まれる赤ちゃんが増えることも大事ですが、自分が80歳、90歳、100歳の時に働き盛りの現役世代がどれだけいて、納税や社会保障費が確保できるかも、同じくらい重要なのです。

つまり、少子化の不安を解消するには、今の子どもや若者が5年後、10年後、20年後にちゃんと稼いでくれるのか?税金や社会保障費を納めてくれるのか?がとても重要です。

40年以上少子化が続いてしまった日本では、これからの出生数をあげることはもちろんですが、目先の労働力を確保する、今の大学生・短大・専門学校生や高校生、すでに働き始めた非正規の若者などに教育投資をして、皆がしっかりと働けるようにすることがとても大事だと私は思います。

少子化対策では、現役子育て層、若年層、高校生など層別のきめ細やかな対策が、とても需要だと思います。
Vol.2では、年齢階層別の少子化対策についてお話しします。


■「少子高齢化のトップランナー日本 40年以上少子化が続く日本で今必要な少子化対策を考えてみました!」
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