風邪について

ゴールデンウィークに入る前から三歳氏(3)に風邪症状(鼻水と咳)がある。ご近所の小学生の間でも似たような風邪が流行っているらしい。もう二週間続いている。ちょっと食欲がなかったりちょっと元気が無かったり症状が改善したりを繰り返しながら、ゴールデンウィーク中休み、幼稚園から帰るとめちゃめちゃ機嫌が悪くなっていたので小児科受診、その翌日からやっと発熱、これで次の日治ったかと思ったらまた上昇。上がったり下がったり繰り返しながらゴールデンウィークが明けるころには食欲が戻ってきて、熱も下がってきて、今朝は朝6時半に目を醒ましてねーちゃんを見送り、さあ登園できるかと思ったら、妙にほかほかしており、37.9℃あった。今私の膝の上に座ってアマプラでブンブンジャーを観ている。

うちの子供達は38℃超えていてもわりと遊んでいられるタイプで、熱性けいれんもやったことが無く、私はずいぶん楽をさせてもらってきている。去年の今頃コロナに初感染(子供はワクチン未接種)、去年の11月くらいにインフル感染(ワクチン済)。幸いどちらも普通の風邪程度の症状で済んだ。上の子が生後6か月で保育園行き始めた頃も、なぜか土日ばかりに熱を出し、もうちょっと家にいたいくらいなのにあんまり休まずに済んだ(子連れ長距離通勤をしていたので)。とはいえ、職場や学校での「風邪」の取り扱いみたいなのに思うところがいろいろ溜まってきたので書いてみたい。

言いたいことは、ついったーで以前ペン二郎さん(今は橙ペン二郎uCqGB3EYcs4353というアカウントで情報発信してくださっている)が仰っていて全くその通りだと思ったことだ。一言で言えば、風邪感冒全体のより詳細なデータ収集をすべきだ、という話だ。(covid-19に関して、私の考えていることは別の記事にあるが、ペン二郎医師の発信する内容のスタンスが知っているついったーアカウントの中で最も同意・納得するところが多い。その次は例の眼科医だ(ダメなところはあったが騒いでくれたことにとても感謝している))

コロナのPCR検査は不要だと言う人も存在するみたいだが、個人的には最も拡充が必要で、この結果をもとに個々人が行動の判断をするというのが一番合理的だと思っている。信頼性は当初予想されたよりも高く(確か下火になっている時でもきちんと陽性率が下がり続けていた。偽陽性が多ければ底打ちになるはず)、15分程度で結果の出る機器も普及した(温度変化必要なくてPCRと言えるのかって感じだけど)。15分のやつはコロナに特化してるけれど、リアルタイムRT-PCRによる検査は原理的には適切なプライマーの用意さえあれば、コロナに限らずいろいろな病原体の同定ができるはずの検査だ。これを恒常的に利用して、あらゆる風邪症状の原因微生物・ウイルスの同定を目指すことは不可能ではないはずだ。

もしそれを実現した場合に何ができるか考えてみる(例えば病院だけではなく薬局や学校で気軽に同定検査ができるようになっているとする)。病院に行くほどでもない鼻かぜや喉の痛みでも検査を行い、情報を患者に提供する見返りとして統計用に情報収集する(病原体の配列に関する情報、症状、患者の属性や罹患歴などの背景情報(任意)、曝露の程度に関する情報)。
・風邪症状に対する個人の対応の適切化
・風邪症状に対する学校や職場の対応の適切化
・薬の処方の適切化
・症状や程度・期間・季節と病原体(の型)の関連の解析
・個人の症状の推移の予測
・適切な治療の方針や病院の受診提案
・流行状況の把握
・流行の伝播のパターン学習・分析
・流行による各自治体への注意喚起や対応方法の提案
・薬の処方があった場合その効果の分析(男女差の分析もできそう)
・マスク着用や消毒など、個人的な予防措置を取った場合の効果分析
・学級閉鎖など大きい予防措置を取った場合の効果分析
・未知の病原体の存在のあぶり出し(黄砂にくっついてくるやつとかあると思う)
(情報が十分に集まった後ならバイオテロ行為の観測とかもできないかなあ)

個人情報過ぎてどうかとも思うけど、マイナンバーカードと医療情報が紐づけられたなら(マイナンバー紐づけじゃなくても一人の患者の医療情報を集約する仕組みができたなら)そこにPCR検査の結果や、それを元に調査した流行の病原体情報(配列とか)が加わるようにすると、相当面白いと思う。多分自分の遺伝情報も知りたい人はいると思うから、希望者には無料で調査、その代わりの情報提供してもらうと結構なボリュームの情報が手に入るのではないか。

これ書いてて思ったけど、風邪とか軽い身体症状の原因微生物の調査って十分なのかな。っていうか、薬処方したあとどういう経過で治ったかみたいな情報の蓄積って軽い病気ではあんまりないんじゃないか。個人的には、自分の医療情報に受けた医療とその後の経過の情報を自分で書き込めると良いと思う。市販薬の使われ方とかの情報も面白そう。漢方の効き方のデータみたいなのもとれるだろか。あと発症まで時間のかかる病気に関する情報も増えるだろう。

特に子供には、適当に風邪に罹る経験も必要っぽいから、どの程度が適切なのかみたいな検討もされてほしい。通常時は、できるだけ罹患者の数を減らすのが最適、とはならないはずだと思う(調べた結果そうなる可能性は否定しない)。子供が病気になって親に看病してもらう経験みたいな側面もあると思うし。学級閉鎖とかする前に、皆でマスクを着けて、軽症で感染しておくみたいなのを狙う、というような意図的な行動もあり得るかもしれない。そしていざやばめの感染症が流行った時に、迅速な対応ができるといいなと思う。そういうときに迅速に全国に専用のプライマーが配備されて、風邪と同じ感覚でPCR検査ができると良いと思う。

(多分現実的には、そこまで大々的にやるメリットがそこまで大きくないのではないか。特に今の政府は一般国民の生活レベルや文化レベルを落としたい欲求があるみたいだから、「より良くする」みたいなのには消極的どころか反対するように思える。矢より人間の方が安いみたいなノリというか。となると、金のある民間が主導すると良いのかな。どこかの自治体と協力して。だめか。薬は無駄に使われた方が儲かるだろうし。こういうのこそ公がやらないといけないやつか)

2-3世代にわたってデータを蓄積することができれば遺伝性の疾患や体質についてもわかるかもしれない。

ここまで書いおいて同時に思うのが、でも分からない方が良いこともたくさんあるよなあということだ。分からないまま、何かの責任や非の所在を曖昧にしてできるだけ丸っこく収めることがベターであることはよくある。分からないまま、薄い根拠やなんとなくでいろんな選択肢をそれぞれの人がとって、選択に多様性が産まれることは人間の集団としてのリスク分散でもある。明確で必要十分な根拠を持って明らかに正しい選択肢を割り出さないということが最適になり得る。あるいは、明確で必要十分な根拠を持つことや明らかに正しい選択肢を割り出すことは不可能に近い。高校数学や物理とは全然違うとこだよな。

生物のことはまだまだわからないことだらけだ。今世紀に入ってから解剖学ですら新しく神経に名前が付いたりしている。2010年前後くらいに新しい免疫細胞が発見されたりもしている。前提が全く同じでも、初期条件のちょっとした違いによって全然違う結果になることもよくある。個人差も大きすぎる。人間の個々の病態については、ある病気についての統計の外れ値の一つ一つも一人の人間で、その人にとってはそれが全てだ。データを取ってより適切と思われる振舞が決定できたとしても、それが最適でない可能性はいつも心に留めておかなくてはならない。

みたいなことも書いたけど、やっぱり風邪のデータ収集はするべきだと思う。自治体レベルのスケールでいいから一回やってみるべきだ。国がやれ。それによるデメリットとか市民の声みたいなのもちゃんと集めて。

えーと、溜まっていた思うところちょっと違ったな。まあいいや。なんか、幼稚園や学校の感染症への対応についてもっと思っていたことがあるような気がしていたんだけど、よくわからなくなってしまった。ああ、風邪ひいた時に、軽い風邪でも病院に行くべきなのかっていう問題があるんだ。保育園だととりあえず病院に行って医者のお墨付きもらってきてくれ、っていうのがあったりする。他の子にうつった場合にその保護者に対応するために必要なんだと思う(子供の体調不良時に休みやすくするという社会や親の変化が一番にあるべきだが)。コロナの時は軽い風邪でもできれば病院行って医者のお墨付き貰ってこい圧力があった。その辺の負担が、病院以外で同定できて、感染力の予想ができることによってちょっと減るのではないかとかちょっと思った。利用できる医療資源が減った時には頼りになりそう?そんなときにそんなインフラ整える余力はないかな。

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