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Inside of BIJapan

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Webメディア「Business Insider Japan」の記者や編集者のコラム集です。取材裏話から日常の体験などを綴っていきます。
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記事一覧

2011年の私から来たメッセージ

今週、13年前の自分からメッセージが来ました。 小学校卒業のとき、タイムカプセルに20歳の自分に宛てたメッセージを入れました。今回はタイムカプセルではありません。 届けてくれたのはFacebook。最近はたまに投稿するくらいですが、「2011年6月9日」の自分の投稿がトップに出てきました。 書かれていたのはこれだけ。 「適材適所っていうのは、じつはいいようでよくない。お会いする機会に恵まれた、某大物編集者の言葉」 ありがたいのは友達です。このよく分からない投稿に対して

上半期、びっくりチャートBest3

事実は小説より奇なり! 「先行き不透明な時代」といわれる昨今。日々、データが累積されていくチャートには、そうした状況が如実に反映されています。 2024年も、はや折り返し地点。この上半期に見返しておきたい、個人的にもっともびっくりしたチャートBest3をご紹介しましょう。 1. S&P500の「残酷」すぎる真実 2024年に入って、たびたび史上最高値を更新しているS&P500。でも、その好調さを牽引しているのは、上位わずか数社だけ……。そんな残酷な真実を示しているのが

WWDC開催直前。アップルの生成AIでiPadやiPhoneはどう変わる?

5月から6月にかけて、IT業界は主にアメリカの企業の発表会ラッシュでした。 アップルの新型iPadの発表、OpenAIの「GPT-4o」発表、グーグルの「Google I/O」開催、マイクロソフトの「Build」開催といった具合です。 そして、こうした流れの「トリ」となるのは、6月10日(現地時間)開催予定のアップルの開発者会議「WWDC」です。 昨年2023年のWWDCはアップル初のヘッドマウントディスプレイ「Apple Vision Pro」が披露されました。 今

幸福の国デンマークの「コミュニティディナー」

東京・世田谷区のゆったりした空気が流れる商店街。歩いていると現れたのがガラス張りの小さな空間です。イベントスペース風ですが、ちょっと様子が違います。ここでデンマーク流の「コミュニティディナー」が体験できると聞いて、出かけてきました。 コミュニティディナーとは、シンプルに言うと「みんなでごはん」。コペンハーゲンの文化施設「アブサロン」で開かれているものが有名で、初めて会った人たちがテーブルを囲んで夕食を楽しむというもの。レストランと違うのは、同じテーブルの人で協力して配膳し、

あ…ありのまま この間読んだ 「金融本」の事を話すぜ!

そう魂に訴えかけてくるんです、私の中の全ポルナレフが。20万部のベストセラーとなっている経済教養小説『きみのお金は誰のため』についてです。 念のため、記事タイトルと冒頭部分は、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』から引用されたネットミーム。もともとはジャン=ピエール・ポルナレフというキャラクターの台詞で、想像を超える出来事が起きた際に、その驚きを伝えるために使われます。 それだけ『きみのお金は〜』は不思議な魅力を湛えた作品でした。既読の方なら、私がポルナレフにその「ワールド」

グーグル本気のAI「有料版Gemini」をお試し中

自分は自他共に認める「新しいもの好き」です。テック系記者としては珍しくないもしれませんが。 「Tech Insider」もそうですが、最近のニュースは「生成AI」でもちきりです。 新しいサービスがどんどん出てくる中、人々の興味関心は「AIを使うか、どう付き合っていくか」に移ってきていると感じています。 人にオススメばかりしていては説得力も欠ける。そんな思いで、自分もさまざまな生成AI機能を日々試行錯誤しています。 最近では、特にグーグルのGemini(ジェミニ)と作業

イタリアのイメージはここ40年で変わった

「旅と物語」をテーマに何冊か挙げるとしたら? 本が好きな友人と最近盛り上がりました。『深夜特急』は定番すぎる、『夜間飛行』はいいね、と話しながら私が思い浮かべたのは須賀敦子さんの『ミラノ 霧の風景』。20年くらい読んでいなくて熱心な読者とはとても言えないのですが、好きな作家の一人です。 今週たまたま、この30年ほどミラノと東京を拠点に活動する方の話をじっくり聞く機会がありました。イタリアに対して、高級車やデザイン家具、高級ワインというイメージを持っている人も多いかもしれま

FIREナンバーを「ほぼ半額」にする魔法を知った

「う〜ん、9900万円かぁ……」 これが、自分のFIREナンバーを調べたときの正直な第一印象です。具現化すると一気に実感が湧くFIREナンバー。にしても、やっぱり遠いは遠いんですよねー。 FIREナンバーとは、FIRE(経済的自立・早期退職)を達成できる具体的な金額のこと。それを導く方程式は超簡単で、年間支出額に25を掛けるだけです。 その数値の資金をすべて投資に回せば、毎年4%ずつ引き出しても、得られる利益によって元本が減ることはないそう。これは「4%ルール」と呼ばれ

新型SurfaceではなくiPad Proを買ったワケ

こんにちは、Business Insider Japanのテック専門メディア・Tech Insiderの「ゆうこば」こと小林優多郎です。 今週も1週間のテック記事の振り返りつつ、編集裏話をお送りします。 今週はマイクロソフトの発表が大きな反響を呼びました。 マイクロソフトが「Copilot+PC」というブランドを立ち上げ、生成AIがより快適に使えるWindows PCを展開していく、という話です。 自社PCブランドである「Surface」も、もちろんこのCopilot

これを超える映画にはしばらく出合わないかもしれない——『悪は存在しない』

映画を観てきました。この先しばらく、これを超える映画に出合わないかもしれない、と思う作品でした。 濱口竜介監督の『悪は存在しない』です。 それぞれ別の活動をしている知人3人から、「これは観た方がいい」と聞いて予備知識なく映画館に出かけました。後日チェックした公式サイトには「ストーリー」としてこう書かれています。 ”長野県、水挽町(みずびきちょう)。自然が豊かな高原に位置し、東京からも近く、移住者は増加傾向でごく緩やかに発展している。代々そこで暮らす巧(大美賀均)とその娘

『光る君へ』で気になる、平安貴族の懐事情

ああ、毎週日曜が待ち切れない! 単なる情愛を超えて、ソウルメイトとなった紫式部と藤原道長。共に目指すものが見えてきた二人は、日本の中世をどう変えていくのか? これまで個人的に、知識も興味もなかった平安時代。NHK大河ドラマ『光る君へ』は、それを彩り豊かに、心が滾(たぎ)るストーリーに仕立てているんです。 主人公2人の心の交流から目が離せないのは当然のこと。Money Insiderの担当としては、特に平安貴族の懐事情も気になります。 なにしろまひろ(紫式部)一家の生活

「PDCAと対極」の庭づくり。設計図なし、構想なしでなぜできるのか

「跳び箱と長縄、どっちが高い?」 山手線に乗っていたら、モニター越しにヒカキンから出されたクイズ。答えは跳び箱、とぼんやり眺めていたら、モニターにBusiness Insider Japan(BIJ)のロゴが現れました。 首都圏のJR主要10路線とゆりかもめ車内では、今週からBIJの動画番組「今、知りたい世界のこと」が流れています。この4月から始まったJR東日本の「TRAIN TV」の中で、BIJも番組を一つ持つことになったのです。 今回のテーマは「海外と日本の働き方の

"NISA圧力”に負けるな!!

最近、未経験者に対して、投資を勧めることを辞めました。だって、どんな言葉を尽くしても、結局「怪しい人」になるんだもの。 というか、個人的にもピンと来ていないんですよね。 「投資と投機は違う」という金融業界の主張についてです。パーソナルファイナンス関連情報でよく見かけるでしょう? たしかに、「投資」と「投機」の目的や考え方は違います。なので、ある程度知識がある人には、その理屈は通るかもしれません。 でも、どちらもやっていることは結局同じ、金融商品の売買なんですよ。だった

もし「IKEAの部屋」に西洋の名画があったら?評判の企画展に行ってきた

国立西洋美術館。行ったことがなくても、東京・上野駅を降りると目に入ってくるコンクリートの建物を見たことがある人もいるのではないでしょうか。企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」が面白いと聞いて、連休中に行ってきました。 西洋美術館と言えば? 日本唯一のコルビュジエ建築。名のとおりモネやロダンなどいわゆる西洋美術を所蔵。プラド美術館などヨーロッパの美術館のコレクション展がある——。 65年の歴史の中で初めて「現代美術」を大々的に展示したということ