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橋迫瑞穂氏による障害者差別について、所属機関に告発します

4月24日、および25日と連続して、私に対する差別発言を謝罪するよう求めてきた橋迫瑞穂氏から、27日の朝にTwitter上で回答があった。

上記2つのリンク先を読んでいただければ明らかだが、私は当初から連休が明ける5月7日まで待つと明言しており、回答を急かしたり煽ったりすることは一切していない。特に後者の記事では「学問の本義である熟慮と黙考の上で」、答えてほしいとさえ述べている。

彼女が謝罪を拒否したために、最後まで争点となったのは、2021年11月の以下のツイートである。

このツイートが、精神科の病歴を理由にその人(この場合は與那覇)の「言論の自由」を否定する、障害者差別に当たることは明白であるので、私は撤回と謝罪を求めてきた。対して、27日に橋迫氏が行った回答は、以下のものである。

文章が切れている部分は
原ツイートから読めます

橋迫氏に謝罪の意思が「心底、一切ない」ことは、下記の文面から明らかである。正直、社会学の博士号を持つ人がここまでの「完全なる差別者」だとは思わなかったので、唖然としている。

まず私は①当たり前ですがアゴラのコラムは一切支持していません

以下、引用は橋迫氏のツイートより

いったいなにが「当たり前」なのだろうか。4月18日に彼女は、アゴラのコラムについてどう考えるのか「総括」せよ(橋迫氏自身の表現)と私を挑発したが、「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決は私のコラムの正しさを証明した22日に回答したのに対して、橋迫氏はなにひとつ具体的な反論を返せていない。

メンタルの病気を批難の言葉にしてはいけませんが、しかし與那覇さんはそれくらいの言葉を投げつけられる覚悟はお持ちだったと思います。

これは、あらゆる差別に反対する思想や運動を否定する主張である。被差別属性(病気の他にも、出自・性別など多様にあり得る)によって相手を攻撃するのは「いけません」が、しかし現にしゃしゃり出て発言する以上は攻撃を受ける「覚悟はお持ち」だろう、だからしかたない、と考える社会学者が存在するとは、驚くほかない。

煽る方が與那覇さんをけしかけるために與那覇さんの病気を口実にして、自分たちの手を汚さないで北村〔紗衣〕さんを追い詰める非常に卑怯なやり方への違和感の表明でした。

橋迫氏は、私が誰かに「煽」られたり、「けしかけ」られてコラムを連載したと決め込んでいるが、これほど障害者の主体性を侮辱する発想が他にあるだろうか。どうせお前は操り人形で、いざとなったら「まぁこの人は病気だから」と守ってもらえる便利な道具として、唆されて文章を書いただけだろう? と、彼女は公言し居直っている。

なお、自らの意志で連載を続けた私の印象では、「正しいから與那覇支持」・「間違いだから與那覇批判」の双方の立場からの反響は多数あったが、「間違っているが病気だから見逃してやれ」なるレスポンスは、目にした覚えがない(むろん橋迫氏が見たというなら、今はその言明は否定しないので、然るべき場所で挙証責任を負われたい)。

今後はツイッターで何が〔ママ〕答えることは一切いたしません。また、noteを必ずしもみてるわけではないので返答を読まない可能性があります。何かありましたらDMなどにご連絡ください。

なんといっても最大の侮辱はこれであろう。私は2014年にメンタルの不調でTwitter を使えなくなり、今も利用していない事実を、病気の体験記に書いている。それを「あいつは嘘つきで、実はこっそりやってる」かのように揶揄する行為は名誉毀損になる旨を、はっきりと24日の記事で伝えておいた。

にもかかわらず、橋迫氏は「DMなどにご連絡ください」と、私がTwitter を使い続けていることを前提とした要求をしている(DMは、Twitter の相互連絡機能)。いざとなったら、いやいや、「など」と入っているからそうではない、と言い逃れるつもりなのかもしれない。

残念ながら、橋迫氏は当初「連続ツイート」で私に回答する予定だったようで、その際に書いて後で消したオリジナルの文面が、私の手もとに残っている。「きっちりねっちゃりずっとXに入り浸ってエゴサかけまくる」人と異なり、私は食事の後、お茶やお酒で過ごす息抜きの時間に自分の評判をスマホで眺める生活を送っているので、朝飯時にツイートした橋迫氏は不運であった。

橋迫氏による
最終回答の「下書きツイート」
(現在は削除)

こうした人に反省を期待しても無駄なことは、「豚の嘶き」こと嶋理人氏の例からも明らかなので、遺憾ながらまずは、橋迫氏が研究員として所属する大阪公立大学に対し、すでに予告したとおりの質問状を送付することにする。また弁護士との協議次第だが、よい折なので嶋氏が勤める熊本学園大学に対しても、「嘶き」に対する判断を求めることになろうと思う。

今回、橋迫氏に対する告発に踏み切るのは、私自身の寛容さにも限度があるからだが、以下の2つの社会的な意義をいま、見過ごすべきでないと考えたためでもある。

第一に、近年はうつ病を始め、メンタルの病気の体験をカミングアウトして、言論活動を行う著者は多い。橋迫氏のような、病気を理由に相手の発言権を否定し、抗議を受けても「あなたの悪口ではなく、煽ってけしかける人への批判だった」と居直る姿勢を放置するのは、そうした人たちの言論の自由を危うくするものと考える。

第二に、リンチ的な言論弾圧としてのキャンセルカルチャーの概念が定着するのに伴い、「それを言ったら、社会的な弱者の正当な抗議が難しくなるではないか」との反論が寄せられる例も増えている。もちろんそんなことはなく、不法なキャンセルに陥らないまっとうな抗議活動は、法と秩序の下でも十分に可能なことを示したいと思う。

なお橋迫氏(と嶋氏)は、「中傷や差別的言動を生み出す文化を拒絶し批判することで、誰もが参加できる自由な言論空間」を希求したことで知られる、著名なオープンレターの署名者でもある。

他人を叩けるときには中傷や差別といった語彙を振り回し、自らが批判されるや免罪符のようにそうした署名の実績を楯にする不誠実な学者の存在については、彼女が「当たり前ですが一切支持していません」と侮辱する、アゴラでの連載の第1回(2021年11月3日)から一貫して指摘してきた。

実際には差別をなくそうとする意志などないが、しかし勢いのある「差別批判祭り」には乗っておいた方が、自身が行う差別に批判の矢が向くリスクを低くできる。そうした自己欺瞞でなされる「署名ロンダリング」は、キャンセルカルチャーを暴走させる大きな要因であり、狭義の署名偽造と比べても責任は軽くない。この問題についても、改めて提起したい。

将来にわたりすべての活動費用を必ず自弁できると、断言するほどの自信はありませんが、現時点ではカンパ等は募らず、ひとりで個人の権利の主張として行います。ご賛同くださる方は、著作を購入する形でご支援賜れますなら幸甚です。

(ヘッダー写真は内閣府のサイトより)

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