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シャイで繊細なキダ・タロー先生

先日この世を去った「キダ・タロー先生」。関西のテレビ、ラジオではたくさんの楽曲たちとともに追悼し、関西の街の人、インタビューを交えた。

ゆかりある人やキダ先生にテーマソングを作ってもらった企業へのインタビューの中で印象的だったのが円広志さん。円さんの個人事務所にキダ先生が所属し、生前特に親交が深かった。そんな円さんはキダ先生の人柄をこう語っていた。

シャイで繊細

人付き合いにせよ、音楽にせよ、コメントするにせよ、キダ先生はこういう素質に悪いところが出てなかった。円さんが人間関係に悩んでいたときには

人には近付かんこっちゃ

と程よい距離感をアドバイスした。

その結果なのだろうか、円さんは「となりの人間国宝さん」という関西人は誰でも知ってる街ブラでレギュラーを16年務めている。関西に限っては絶大な人気だ。

ラジオで桂吉弥きちやさんが話したキダ先生エピソードにも繊細さが垣間見える。「探偵!ナイトスクープ」の探偵になった桂二葉にようさんがキダ先生にコメント求めたときにしみじみしてこんなことを言った。

いやぁ、久しぶりに優しい綺麗な大阪弁聞いたわ

二葉さんの調査内容ではなく、落語家の命である話し方を褒めたことにテレビを見てた吉弥さんは「落語家として最高の褒め言葉」と心底喜んでいた。唐突に思ったことをふと言っただけでも、これだけ感動させる姿や天才と称される繊細さの片鱗はそこかしこにあった。

「繊細さん」「HSP」なんて言葉を使わず、自称しなくても、そうやってキャラを評価され、関西人の心に残す実績を築き上げてきたキダ先生。目立つようなキャラではないものの、文化を作り、人の心を動かし続けたキダ先生は繊細さを巧みに使いつつも持って生まれ持ったセンスとノリがよかったのかも。

結果的に生涯現役でこの世を去っていたことから見ても、こういう人が息の長い活躍をするもんやと思う。そういや、浜村淳さんもやな。

なんとなくキダ先生みたいになりたいなぁなんて思う僕ではあるが、自分のセンスの良し悪しはわからないし、楽しませたい思いはあっても他人を窺うことは止めない。そう思うとキダ先生は自身の感覚に正直だったのかもしれない。

真に繊細だと言えるキダ先生の人柄はこういう生き方をしてみたいと思ってしまう。「HSP」「繊細さん」と言ってスベっても、キダ先生の人柄から自分の悩みとかこんな人になりたいとか言ったら伝わるのではなんて思う。それぐらい自分自身も心打たれている。

繊細さを器用に扱ってきているし、シャイとは言ってもあのコメント力。関西人のノリや冗談も平気で言ってのける。

「シャイで繊細、でも時々テキトー」と言える愛されキャラとしがらみに囚われない自由さ。キダ先生のそんなキャラクターを学ばずにはいられない。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。