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第103回:官僚の人事異動のタイミングでやるべきこととは?将来の事務次官、医薬局長を予想する方法とは?

1.4月は霞が関の人事異動の重要なタイミング


千正組に4月から新しい仲間が5人入社しました。メンバーのご紹介については改めてしていきますが、シン・千正組として気持ちを新たに頑張ります。
さて、皆さんの会社でも新しいメンバーが入ったり、これまでの仲間が異動したりとあわただしい新年度をお迎えでしょうか。
霞が関は、通常国会が閉じた後の6月・7月ごろ大異動の季節です。でも実は、4月も重要な異動のタイミングです。退職する幹部がいたりしますし、民間企業や地方自治体への出向などはこの時期に行われることが多いからです。そして春のうちから構想を練っておくことで、人事異動のシーズンにしっかりした対応ができるようになります。

【参考】
通常国会は、毎年1月中旬から6月中旬頃までです。この会期中は、法案審議や骨太の方針や新しい資本主義実行計画の作成に向けた作業などで、政府内も大忙しです。実務に詳しい官僚をこのタイミングで異動させることはリスクを伴います。
そのため、国会が閉会し、大きな仕事がひと段落した6月末から7月が異動に最適な時期なのです。人事は幹部から決まっていき、9月までには年次が若い職員も含めた人事が確定します。


2.政策に関わるものは官僚の人事を把握すべし


なぜ、官僚の人事を、よく理解しておかないといけないのでしょうか。主に、以下のような理由があります。

1)将来の幹部を予測する

官僚人事を理解すると、将来、政策決定に強い影響力を持つ人物が見えてきます。

官僚は年功序列・横並びで昇進していくイメージがありますが、内情をよく知ると、年次とポストを見ることで、評価に差がついていることがわかります。
いま配属されているポストから、将来そこまで出世しそうかはある程度予測できますし、将来就くポストも見えてきます。「将来の幹部候補」は、課長補佐ぐらいのポジションになったころからうっすらと見えてくるものなのです。
今回は事務次官になった人物と医薬局長になった人物の実際の人事異動の記録を見つつ、将来を占う際のポイントとなる具体的な「ポスト」についてお伝えします。

2)人事異動があっても政策を後退させない

人事異動に注目するもう一つの理由は、異動が政策実現の「障壁」になるのを防ぐことです。

官僚の人事異動は、短くて1年、長くて3年。同じポストにいるのは、概ね2年程度です。そのため、2年間で課の職員がすべて入れ替わるとすると、一回の異動では、職員の半分が異動する計算になります。

担当する人たちがガラッと変わるのですから、政策実現に向けた土壌も大きく変化します。これまで、色々と話をしてきた人がいなくなり、新しい人が来るわけですが、このタイミングで、どのようにアプローチするかは、政策実現のためにとても重要なのです。 今回は、人事異動のタイミングでしておくべきことについて説明します。

(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)


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