ライブ授業で使用する機材

 前回はオンデマンド教材の撮影について書いたので,今回はライブ授業の使用機材について書こう。現在の私が主に使っているのは,カメラ及び三脚,マイク,映像スイッチャー,パソコン2台,そしてプロジェクタとスクリーンである。

初期の使用機材

 5月中はまだ機材が揃っていなかった。最初の記事で書いたように,映像と音声にこだわりたかったが,特に映像周りの機器は入手困難だった。幸い,授業を実施する教室に音声ミキサーYAMAHA MG 10XUFがあった。これがライブ授業で使えるのかどうか,全くわからなかったので,音声ミキサーのことについて学んだ。これまたYouTuberから。音声ミキサーを使うのは,パソコンからの音声とマイクの音声を1系統にまとめて出力したかったからで,期待通り綺麗な音で出力できた。この音声ミキサーは,zoomのホストパソコンにUSBで接続する。

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 映像スイッチャーはすぐに納品可能なものを探し,RolandのV-1HDを購入した。最大4系統の映像を入力でき,出力したい映像をスイッチングできるというデバイスだ。出力は1系統ではなく,ピクチャインピクチャ(PinP)や画面分割を使って同時に2系統出力できる。すなわち,スライド画面を表示しながら説明している自分の姿をワイプで表示させることができるのだ。下の写真でV-1HDの上に映っているのはElgato Game Capture HD60 S+で,V-1HDの出力をパソコンでカメラ映像として認識させるために必要なキャプチャデバイスである。要するに,HDMI信号をパソコンに入力しても,それをカメラの映像信号としてzoomは認識してくれないので,このようなデバイスを挟むことで信号変換する必要があるということだと思う。私と同じように,カメラは持っているのにどうして使えないの?と思った人は結構いるのではないか。
 なお,現在このV-1HDは授業では使っていない。とはいえ,2つの映像を画面分割で一つにまとめて映すことができるので,オンライン会議の時に同じ部屋で2人参加するときなどはとても便利で,今でも重宝している。

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 映像スイッチャーには①自分を映すカメラと②自分の目の前に置くパソコンをHDMIで入力する。この2系統の映像をアウトプットのHDMIから上に書いたキャプチャデバイスを通してUSBに変換し,zoomのホストパソコンに接続する。

 これにより,zoomのホストパソコンには音声ミキサーと映像スイッチャーからの信号が入力される。後はzoomの設定で音声は音声ミキサー,映像は映像スイッチャーを選択すれば良いだけだ。ちなみに,上記②のパソコンでもホストとは別アカウントでzoomに参加している。
 zoomのホストパソコンでは,(1)授業ルームを主催する,(2)出力映像を切り替える(カメラ①の自分1人の映像を映すか,パソコン②のスライド映像+カメラ①の自分の映像をPinPで両方映すかの2パターン),(3)ブレイクアウトルームを管理するという役割をあてている。おそらく映像で高負荷がかかるのだろう,授業中はずっとファンの音がうるさくて,ホストパソコンの寿命は縮まっているのではないかと思う。
 それから,zoomのホストパソコンの映像は,下の写真右に映っているように27インチのモニタにミラーリングして出力していた。また,音声出力はホストパソコンからUSBケーブルで接続できる集音マイクJabra Speak710をスピーカーとして使用していた。

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 初期の頃はzoomホストパソコンにMacBookAir,②パソコンは12インチMacbookを使っていたが,現在ホストパソコンにはMacBookProを使っている。一度,Let's noteをホストパソコンに使ったこともあるが,スペックは良くても映像関係には弱いので,カクカクしてしまいホストマシンとしては使えなかった。
 なお,上の写真からわかるように,zoomホストパソコンは自分から離れた場所に置き,TA(Teaching Assistant)に操作してもらっている。

現在の使用機材

 初期の構成は準備に時間がかかり大変だった。4月末に注文していたBlackmagic DesignのAtem Mini Proが5月末に届いたので,これ以降は新たな構成で行っている。
 新しい機材構成を説明する前に,ライブ授業時のセットを57秒でまとめた動画を下に載せておこう。

 映像スイッチャーのAtem Miniが届いたことで,Elgato Game Capture HD60 S+を使う必要がなくなった。Atem MiniはパソコンとUSB-Cで接続するのだが,信号変換してくれるようで,キャプチャデバイスがなくともzoomでカメラとして認識される。

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 こちらも4系統の映像を入力できる。音声のオン・オフもボタン一つでコントロールできて便利なので,音声ミキサーの使用もやめた。スイッチャーに入力する映像は初期と変わらず,カメラとパソコンの2系統である。zoomホストマシンでプレゼンソフトを画面共有するという方法ももちろんある。しかし,ホストマシンにかかる負荷が高いので,分けた方が良いと思う(負荷が高いのは受講生が全員顔を映しているからで,顔を出さなければ負荷はそれほどでもないのかもしれないが未検証だ)。

 また,ホストマシンとは別に目の前にパソコンを置くことの良い点は,ブレイクアウトルームを作成したときにある。ホストはメインルームに残したまま,目の前のパソコンで参加しているzoomアカウントで,ブレイクアウトルームを見て回っている。ただしそのときは,目の前のパソコン用のイヤフォンとマイク(AirPodsを使用)を使用しなければいけないが。

 さらに変更した点は,教室の天吊りプロジェクタを使ってスクリーンにzoom画面を表示させるようになったことである。なぜ最初からここに気がつかなかったのか・・・おかげでモニタを用意する必要がなくなった。おまけに,大画面なので学生の顔が見やすくなったし,カメラ目線のまま学生を見られるので良い。

 ある時,zoomの録画映像を見ていて気になったのは,画面の自分がゆらゆら揺れているということだ。理由は明らかだった。立ちっぱなしで脚が疲れるからだ。対面授業時には教室を歩き回るが,オンライン授業では基本的にカメラの前から動かない。見ていてみっともないし,学生としても気になるだろう。そこで,下の写真にあるオカムラのスイング脚チェアL122を購入した。高さ調整でき,脚も動くので便利である。

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 これでライブ授業時の機材は一通り揃った感じがする。前回の記事とあわせて読んでいただくとわかるように,いろいろな機材を買いそろえた。その辺の話は別記事でまとめようと思う。

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