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40年前に受けた「性別変更」は、医療ではなく詐欺だった。 (The ‘Sex Change’ I Had 40 Years Ago Was A Scam, Not Medicine. ) (翻訳記事)

by Walt Heyer(ウォルト・ヘイヤー 著作家・講演家)
2023年3月23日配信
"The ‘Sex Change’ I Had 40 Years Ago Was A Scam, Not Medicine." (The Federalist)

◯私がつらい経験を通じて学んだように、『ジェンダー肯定治療 “gender-affirming treatment”』(GAT)は医療詐欺であり、医療不正である。

セラピストから「性別移行」こそが私の根強い精神的困難を解決する唯一の答えだ、と言われてから、今年4月で40年になる。残念なことに、私は彼のアドバイスに従い、女性ホルモン剤を入手し、手術を受けた。この厳しくつらい経験を通じて私が学んだように、「ジェンダー肯定治療  “gender-affirming treatment”」(GAT「ジェンダー肯定ケア」とも呼ばれる)は、医療詐欺であり、医療不正である。

人の性別は変えられない。いま、私はそのことを知っている。私は8年間、女性として生きてきた。ホルモン剤と手術は、私の性を変えなかった。手術前の私は男性であり、手術後も男性であり続けた。これは、神の完璧な設計の真実、つまり男性と女性という2つの分離した明確な性、それは、生まれつきのものであり、不変性を持っている。

私が、自分を女性であることを確認するためにとったすべての措置は、私を女性にしたのではなく、男性として、父親として、夫としての私自身をおとしめたのだ。一歩一歩が、私の男性の身体とアイデンティティを非人間的なものにしていった。いわゆる「ジェンダー肯定治療(GAT)」が、私の人生と人間関係、そして家族の人間関係を破壊したのだ。

同じことが、よりもっと若い年齢を除いては、いま現代の人々にも起こっている。私は知っている。私は、実際に彼らからのメールを受け取っている。

私が手術をした後の数十年間、「ジェンダー産業」は廃れるどころか、何千人もの人生を切り捨て、人間性を奪い、破壊してきた。私が詐欺に引っかかったとき、患者は成人の男性ばかりだった。今日、この業界がターゲットにしているのは、思春期の感情的・身体的な感情や感覚に影響され、不妊や、骨密度の低下、心臓障害といった長期的な副作用を知ることができない、男女ともに傷つきやすい思春期の青少年たちである。

親たちは、子供が医療による治療を拒否されたら自殺で死ぬかもしれない、と言われているが、それは迷信である。「子どもと親の権利キャンペーン(The Child and Parental Rights Campaign)」は科学的証拠を集めた。

それによれば、ホルモン阻止剤(思春期ブロッカー)や異性ホルモン剤、ジェンダー「移行」手術が自殺を防ぐ、という長期的な証拠はない。それどころか、最も長期的な研究によれば、医学的なジェンダー移行を経験した人が自殺する割合は、一般集団の19倍である。


◯不妊化への道

「ジェンダー肯定治療 GAT “gender-affirming treatment” 」には、多くの破壊的で価値のない処置が含まれる。社会的移行においては、元のアイデンティティを消し去るような新しい名前と代名詞を採用する。「思春期ブロッカー(正常な成長と成熟を停止させる、深刻でよく知られた副作用のある薬)」が投与される。

それに続いて、女性・男性ホルモン剤が投与される。強力な薬物で、医学的に知られている破壊的な副作用があり、異性の外見を強制する。最終段階は外科手術である。侵襲的で破壊的な手術によって、女児は健康な乳房と子宮を、男児は健康な性器を切除する。

それは、不妊手術への道だ。精子や卵子は思春期を経なければ成熟しない。思春期ブロッカーに続いて異性のホルモン剤が投与されると、10代の子供は恒久的に不妊化されてしまう。これを化学的去勢と呼ぶ人もいる。さらに、明白なことを言えば、手術で睾丸や子宮を摘出すれば、実子を持つ可能性はなくなる。

子どもを反対の性として認定することは、感情的・心理的な児童虐待である。強力な薬物や不妊手術で健康な子供を人体実験の対象とすることは、医療不正行為の典型であり、恐ろしく野蛮なものである。


◯「後悔はめったにない」のか

女性として8年間生きてきた私は、それでもなお極度の精神的苦痛を経験し、トランス解除(detransition)、つまり男性としての生活と表明に戻る決断をした。ジェンダー・セラピストと性転換外科医にそのことを話すと、彼らは、元の性別に戻った人の話を聞いたことがあるのは、私だけだと断言した。

「性別変更(ジェンダー移行)」がジェンダーの問題を解決できなかった唯一のケースが私であることに興味を持ったため、他の人に呼びかけるためにウェブサイト「SexChangeRegret.com」を立ち上げた。すると、私の経験は珍しいものではなかったことがわかった。この10年間で、私のようにGATが解決策ではなかったと知った何百人、何千人という人々から話を聞いてきた。

調査でも似たような結果がある。残念な結果が、20年近く前の新聞の見出しを飾っている。2004年7月、英国『ガーディアン』紙(左派)は、100の医学研究のレビュー結果を、"Sex Changes are Not Effective, Say Researchers "(翻訳:性別変更は効果的でない、と研究者の見解)という見出しの記事で報じた。記事はある調査結果を要約している。

「性別適合医療・手術がトランスセクシュアル(TS)の人々の生活を改善するという決定的な証拠(エビデンス)はなく、多くの人が手術後も深刻な苦痛を感じ、自殺さえしている」と。

2011年にスウェーデンで行われた長期追跡調査でも同様の結果が出ている。「ジェンダー肯定治療」GAT “gender-affirming treatment” を受けた人々が自殺で死亡する確率は、一般の人口の19倍であった。

メリットについて証拠(エビデンス)がないことにも関わらず、ヨーロッパやアメリカの熱心な「ジェンダー専門家」たちは、この危険な慣習を子どもや思春期の青年にまで拡大した。小児科ジェンダー・クリニックは、異なる性として肯定されなくても、ほとんどの子どもたちが大人になる頃には、自分の性別(sex)と生物学的リアリティを調和させ折り合いをつけていることを示す証拠を無視して、急増した。その代わりに、クリニックは「ジェンダー肯定治療」GAT “gender-affirming treatment” のみを推進し、提供した。

そして2022年、スウェーデン、フィンランド、英国の小児科ジェンダー・クリニックが、客観的に証拠を検証した。その結果、潜在的な利益よりもリスクの方が上回ると、未成年者に対するGATの実施は正式に終了し、より優れた心理的・社会的ケアに取って代わられた。最近、ノルウェーも同じ決定を行った。


◯他国がやめても米国が続ける理由

しかし、米国では話が違う。伝統的な医療機関は、急進的でリスクの高い医療化、不妊化、健康な身体の一部の切除を、青少年に対する唯一の効果的な治療法として押し付けている。カウンセリングもなく、併存する精神障害の診断や治療もなく、リスクや害についての議論もほとんどなく、十分に観察し待つこともなく、それに代替案もない。

テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学医療センターの小児トランスジェンダー・クリニックのビデオに見られるように、病院はジェンダー・クリニックで儲けようと躍起になっているようだ。

最近、セントルイス小児科病院のワシントン大学トランスジェンダー・センターの勇気ある無私の内部告発者が、確立されたプロトコル(手順)の欠如と、被害が実際に存在することを暴露した(訳注:ジェイミー・リード氏告発)。

子どもたちとその親は、このような医療の詐欺行為から保護される必要がある。だからこそ、いくつかの州の議員たちは、有害な医療行為から子どもたちを守るための法案を提出しようとしているのだ。アーカンソー州、アリゾナ州、アラバマ州、フロリダ州、テキサス州では保護法が制定され、他のいくつかの州でも制定が進められている: ミズーリ州、ユタ州、モンタナ州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、ミシシッピ州、テネシー州、オクラホマ州である。

フロリダ州は2022年、未成年者に対するGATの利益とリスクの包括的な評価を専門家委員会に委託した。科学的に厳密な検証の結果、有益性を示す質の高いエビデンスはなく、有害性は十分に証明された。この分析により、フロリダ州医師会は行動を起こし、青少年に対するホルモンや外科的介入の広範な使用を制限することになった。


◯私に女装を勧めたのは、児童虐待だった

子供の頃、私は祖母から女装を勧められ、そのことを肯定された。祖母は私が4歳のとき、紫のシフォンのイブニングドレスを作ってくれた。私たちだけの秘密よ、と祖母は言った。女装したドレス姿の私をいつも肯定する、祖母の繰り返しの愛情の反応行動が、結果的に私を破滅に追いやった。男の子である私自身に、何か問題があるのに違いない、という有害な考えを植え付けたのだ。

現代との類似性を考えてみよう。アメリカの公立学校という環境は、(幼稚園から始まる)問題あるカリキュラムを生徒に教えることで、子どもたちに同じような内的アイデンティティの混乱をもたらしている。公立学校は「性別移行」"トランス"のための教化センターとなり、訓練も免許も、多くの場合は親の許可もなしに医療行為を行う、事実上のジェンダー・クリニックのサテライト施設となっている。

教師たちは、幼稚園や小学校1年生というような早い時期から、子どもたちに「性別はたくさんある」「どれを選んでもいい」と考えさせる。子どもたちが、自分が女の子なのか男の子なのかについて動揺したり当惑したりしているように見えると、学校のカウンセラーや教師は、彼らを「トランスである」と不適切に診断し、次のステップに進む準備が整っている。
「学校で使う新しい名前と洋服を選びなさい、ご両親には秘密にしておくから」。実際、保護者が知らないうちに、多くの学区では職員が保護者に知らせることを禁止している。

子どもたちが、間違って毀損され、「移行」 させられないように守って保護してください。アメリカの公立学校から、そのような人々を追放してください。

◯ "トランス" の子供たちと親

私自身の人生で、そして両親や、いま一緒に仕事をさせてもらっている "トランス解除者" の人生で発見したように、ジェンダーの苦悩はさまざまな症状であり、医学的「診断」ではない。公立学校での教え込みや肯定、地域の仲間集団の影響や社会的伝染、自閉スペクトラム症や精神障害など、青少年をトランスである、と自己認識させる要因はたくさんある。

その他の要因としては、TikTokのようなソーシャルメディア、性的なトランスジェンダーのゲーム、アニメなどがある。最後に、性的虐待、精神的虐待、両親の離婚、ポルノへの暴露、いじめ、その他の認知されたトラウマ(心的外傷)などの幼少期の不利な経験がある。

子供たちは、「ジェンダー」セラピストやホルモン剤を必要としたり、健康な体の一部を切り落としたりする必要はない。必要なのは、学校の洗脳やピア・グループやソーシャルメディアの影響から守る親なのだ。子どもたちには、根底にある有害な子ども時代の体験や精神障害を掘り起こし、対処する手助けをしてくれるトラウマ・セラピストが必要かもしれない。


◯私の幼少期の有害な体験

私がなぜ女装して女の子のふりをしたかったのか、推測するしかない。確かに、ブルージーンズをはいた垢抜けない男の子としてではなく、紫のドレスを着た女の子としての私を、祖母が明らかに喜んでくれたことは、私の男性としてのアイデンティティを傷つけた。もうひとつの有力な候補は、母と私の関係だった。

私が生まれたとき、20歳の若さだった母が、私を必要とし、愛し、受け入れてくれたと感じたことは一度もなかった。その思いが確信に変わったのは、数年後、母が私の友人と驚くべき話をしたときだった。

恥も外聞もなく、彼女は私の手首をつかみ、片方の腕で私を床から引き上げ、もう片方の腕でぶら下がった私の体をフライパンで殴ったのだ。私にはその記憶がない。片手で吊るされるなんて、私はとても幼かったに違いない。

私は一度も母を憎んだことはない。私はいつも母に認められ、愛されようとしていた。悲しいことに、母が生きている間、私をどれだけ愛しているかを語ったことは一度もなかった。亡くなる少し前、母は私と妻に、私が幼児の頃、母に強く揺さぶられてもう少しで殺されそうになったことを明かした。

今にして思えば、4歳の男の子は、怒った母に片腕で引っ張られてフライパンで殴られるよりも、紫のドレスを着ておばあちゃんのところで愛され、感謝されるほうが好きなのは、容易に想像がつく。おばあちゃんが私を女の子として肯定してくれたことで、私は女性に変わりたい、という圧倒的な願望を抱くようになった。

子どもの頃に受けた心理的・精神的虐待は、私の人間性を蔑ろにし、人間性を奪うものだった。大人になってから私は、医師から、女性ホルモンを大量に投与し、外科医に体を切り刻まれ、女性になったと宣言されることが唯一の治療法だと信じ込まされた。それが、40年前のことだ。今日、子どもに対する「ジェンダー肯定治療」 GAT “gender-affirming treatment” は、少年少女を切り捨て、破壊し、人間性を奪う、金もうけ主義の医療虐待である。

スウェーデンをはじめとする国々は、その証拠を検証し、廃止した。フロリダ州は質の高いエビデンスを検討し、その結果、フロリダ州の医師会はこれを中止した英国の裁判所は、タヴィストック・クリニックが提供した証拠を検討し、実験的なもので子どもにはふさわしくないと決定した。

子どもたちが必要としているのは、愛であり、真のケアであり、優れた心理・社会的カウンセリングであって、アイデンティティの変更ではない。


ウォルト・ヘイヤー(Walt Heyer)氏は、アメリカの著作家・講演家であり、著書 "Trans Life Survivors "の著者でもある。自身のウェブサイト「SexChangeRegret.com」とブログ「WaltHeyer.com」を通して、性別変更医療を後悔している人々や、その結果によって被る悲劇的な結果について、世間に訴えて支援や関心を呼びかけている。

ウォルト・ヘイヤー(作家)

原文:"The ‘Sex Change’ I Had 40 Years Ago Was A Scam, Not Medicine."
https://thefederalist.com/2023/03/23/the-sex-change-i-had-40-years-ago-was-a-scam-not-medicine/

訳注:原文掲載誌 The Federalist は、米国の保守系のニュースメディアで、オンラインマガジン。政治、宗教、文化、政策について、主に左派、リベラル派や民主党を批判している。

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